たいそうなタイトルである。まあそういう本の名前なのである。水野和夫『資本主義の終焉と歴史の危機』集英社新書。
16世紀に西洋では利子が2%を下回った長い低迷期があったと、それと今の21世紀の先進国の超低利子の状況がよく似ている、ということだ。
著者の資本主義の定義は中央があって周辺(途上国)を侵して、奪って、利潤を貪ってきたという。
今や周辺は奪い尽くし、しかもグローバリゼーションにより途上国もBRICS諸国のように発展してしまった。
もはや金も物も世界中に広がってしまったので、電子(IT)空間に周辺(フロンティア)を造り、そこでアメリカウォール街によるマネーゲームをするようになった。
今なお「先進諸国は成長の病に取り付かれ、国境の内側や未来世代からも収奪している」
その代償は「経済の危機のみならず、民主主義の危機、地球持続可能性の危機という形で顕在化する」と結ばれている。
現在のグローバリゼーションによる「電子金融空間」に140兆ドルの金があるというのは、ただ驚きだ。
翻って、コロナ禍にも株市場は堅調に値上がる異常さには気づいていた。
どうも、アメリカウォール街に供出された日本の金(国債や年金)が実は庶民の貯蓄額800兆円を担保としてアメリカ帝国に差し出しているのではないか、と背筋が寒くなった。
異次元緩和・黒田バズーカのアベノミクスは勤勉な国民を裏切る無責任な経済政策ではなかったのか!