昔、うちの親戚に新聞記者が居た。夏の午後に社旗を翻してジープで来たことがあった。格好の良い職業だと思った。しかも彼はスポーツ刈りだった。その職業に憧れた。
ある時「公平な基準で記事が扱われない」と文句を言ったら、「新聞は毎日何ページかの紙面を作るので、どうしても記事の量によって扱いに差が出てしまう」と子供の私に丁寧に説明してくれた。
もうその人は居亡い。彼は途中で記者を辞めて研究に入った。高名なジャーナリストにならなかったが、大著を残した。
十年ぐらい前に老記者と知り合った。彼がふと「何故大阪都構想は成立しないのだろう」と聞いた。
「大阪市は浪花、プライドがある。例えば、横浜も、神戸も、名古屋も自ら都に成ることがあっても、県に入れられて都に成ることは嫌なんじゃないのかな」と勝手な見解を言ったら、妙に感心してくれた。
彼は足で調べる昔気質の新聞記者だったのかもしれない、…。