信号雷管(その2終わり)
春の好天の下、列車の運転状況も上々、各種の訓練は終わり最後の信号雷管の効果試験へと順調に進んだ。
ダイヤを確認して、信号雷管はレールに取り付けられ予定時刻が近付いた。
支区体制へ移行直前であり、軌道検査長兼軌道作業長と複雑な職名を付けられた責任者が時計を見るが、
予定時刻になっても予定の上り貨物列車は来ない。
全員が落ち着き無く過ごしているうちにようやく貨物列車が見えてきた。
しかし大変なことに下りの特急列車「とき」もまた接近して来たのだ。
ちょうど信号雷管を取付けた場所ですれ違うことになってしまった。
両列車は「ダダダーン」と、激しくそして順調に連続の爆発音を発した信号雷管取付け場所ですれ違い、そして停車した。
責任者はまず特急列車の前頭部に走った。運転士に説明し「とき」が発車した後、ようやく貨物列車も発車した。
後日「明らかに当該列車以外への信号と思われる、特殊信号であっても認めた場合は停車しなければならない」と言うような旨の文言を見つけた。
結果として乗務員と保線の双方を考えさせる訓練となったのだった。懐かしい思い出になっている。
(終わり)