先輩を忍んで(その2終わり)
しかし、よほど落胆されたのであろう。「おい、親父さん、お袋さんと一緒で良いから婿に来てくれよ」なんて半
ば冗談、半ば本気で言われたことも思い出す。
訪問はしたけれど、面識の無い私を、奥様と、そしてお婿さんを迎えられた娘さんは、歓迎して下さった。
話してみると、どうやら先輩から私の話題を聞かされていたようである。良い話か、悪い話かは判らないが。
私の麻雀の先生でもあり、その事も話題になった。
奥様は麻雀牌を棺に入れようかとも、一瞬考えられたそうである。
私と同じ麻雀のタコが指に有った事をふと、会話の途中で思い出した。
次々と共通の思い出話が出て、時の経つのも忘れ長居をしてしまった。
今度は我が家で、先輩の思い出話をする事を約束し、最後にもう一度遺影に手を合わせ、お別れをした。
私の青春の一コマ、ラッセルと麻雀。一つの時代が完全に終わってしまったのだと思った。
(終わり)