「このまま 引き下がりはしないぞ」散会する時 新垣忠明は威すように 新垣連( しんがき れん)に言った
だが忠明が手を組もうと その力をアテにもしていた相手は 完全に手を引いてしまった
退任騒動が落ち着いてから 再度入院した新垣豊造(しんがき とよぞう)は 見舞いに来た連に教えた
ずっと病室に篭りっきりで外の空気など吸いたいと豊造が言い出し 連は看護師に許可を取るとベッド脇に置いてある車椅子に豊造を乗せて 病院の中庭に向かった
「儂はなぁ・・・・・自分の素性は言わずに・・・・・ お前の姉の働く店に時々行っていた
こっそりとー行っていたつもりだった
あれが 輝子が 気にしていたように 儂も引き離してしまったお前の姉のことは気になっていた
じじいだと名乗ろうと思いながら 普通の老人として親切に接してくれる蓮を見ているのが嬉しくてな」
不意の豊造の告白を 連は静かに聞いていた
「それがアダになった こっそりのつもりが忠明に気付かれておって
忠明は調べて 蓮がお前の姉だと知った
自分に当たるかどうかもわからん 遺産の取り分が減ると思ったか
バカ息子を使いおって 蓮を・・・・・
そう 儂は蓮が どんな目にあったか 知っておる」
豊造の告白を無言のまま ただ連は聞く 聞き続ける
「儂は連 お前が どういう人間かわかってなかった
忠秀があの娘(こ)を 蓮を酷いめにあわせたDVDを あろうことかお前に見せて
お前が何ら表情を変えなかったという報告を受けて お前という人間の底知れなさに気付いた」
連は小さく溜息をつく
「忠秀さんは 僕が小さい時から 僕をいじめて泣かせることに喜びを感じる人でしたから
こう見えて僕は負けん気が結構強いんです
泣いて 相手を喜ばせるなんてごめんでした
それだけです」
「お前の姉さんが あんな目にあったのは この儂が不注意だったためだ
お前達が生まれた時 儂が千希良一政(ちぎら かずまさ)に この頭を下げることができていたら
頑固な年寄りのために 愚かなジジイのために
あの娘(こ)は 蓮は・・・・・・」
「会いに来てくれていた 気にかけてくれていたんだーそう知ると姉は喜んでいたと思います」
「お前達は・・・似ておるのだな どこか 雰囲気というか
顔は そう似ていると思わんが どちらにも面影がある
共通する何か・・・・・」
言葉を噛みしめるように 暫し豊造は黙った
「もう一つ 儂はお前に話すことがある
元気で健康だった一郎と静子さん この二人がどうして病気がちな体質に変わってしまったのか
儂はそれが不思議で少し調べたことがある
連 お前は 死んだばあさんから 輝子から 阿美津村について少しは聞いておるか
昔 儂らの住んでいた村はな 火事で燃えてしまって 今は もう無い
地名も変わってしまった
消えた村と言ってもいいかもしれん
村の者を診てくれていた医者の家が火事になり その火は山に移って村も殆どが燃えてしまった
一郎も静子さんも 火事の前に医者から「風邪の予防だ」と言って注射されておる
二人だけではない わかったところで 村の元気な者ばかり10人が注射されておる
風邪の予防であるならば むしろ年寄りや子供にすべきだろうに
おかしな話だ
あの医者は病んでおった
同じ村出身のこの病院の院長がな まだ医学生時代に街の病院で会ったそうじゃ
当時その病院には村の医者と同じ大学で勉強した医者がおってな
こういう昔話を聞いたそうじゃ
村の医者は 将来を楽しみにされている いわゆる天才であったのが
一人の患者に死なれて変わってしまったと
患者の少女を 村の医者となった男は愛しておった
明るく優しく 誰からも好かれる青年医師は 愛する娘を死なせたことで すっかり変わってしまった
おかしな研究に走り とうとう大学も追われた
そして阿美津村の奥で暮らすようになった
何かあやしいことをしておるという噂はあった
しかし医者としての腕は確かだった
あの医者は自分の病状 死期を知って それまで続けていた何かを注射という形にして 一郎や静子さんに打ったのではないかと 儂は考えておる」
だが忠明が手を組もうと その力をアテにもしていた相手は 完全に手を引いてしまった
退任騒動が落ち着いてから 再度入院した新垣豊造(しんがき とよぞう)は 見舞いに来た連に教えた
ずっと病室に篭りっきりで外の空気など吸いたいと豊造が言い出し 連は看護師に許可を取るとベッド脇に置いてある車椅子に豊造を乗せて 病院の中庭に向かった
「儂はなぁ・・・・・自分の素性は言わずに・・・・・ お前の姉の働く店に時々行っていた
こっそりとー行っていたつもりだった
あれが 輝子が 気にしていたように 儂も引き離してしまったお前の姉のことは気になっていた
じじいだと名乗ろうと思いながら 普通の老人として親切に接してくれる蓮を見ているのが嬉しくてな」
不意の豊造の告白を 連は静かに聞いていた
「それがアダになった こっそりのつもりが忠明に気付かれておって
忠明は調べて 蓮がお前の姉だと知った
自分に当たるかどうかもわからん 遺産の取り分が減ると思ったか
バカ息子を使いおって 蓮を・・・・・
そう 儂は蓮が どんな目にあったか 知っておる」
豊造の告白を無言のまま ただ連は聞く 聞き続ける
「儂は連 お前が どういう人間かわかってなかった
忠秀があの娘(こ)を 蓮を酷いめにあわせたDVDを あろうことかお前に見せて
お前が何ら表情を変えなかったという報告を受けて お前という人間の底知れなさに気付いた」
連は小さく溜息をつく
「忠秀さんは 僕が小さい時から 僕をいじめて泣かせることに喜びを感じる人でしたから
こう見えて僕は負けん気が結構強いんです
泣いて 相手を喜ばせるなんてごめんでした
それだけです」
「お前の姉さんが あんな目にあったのは この儂が不注意だったためだ
お前達が生まれた時 儂が千希良一政(ちぎら かずまさ)に この頭を下げることができていたら
頑固な年寄りのために 愚かなジジイのために
あの娘(こ)は 蓮は・・・・・・」
「会いに来てくれていた 気にかけてくれていたんだーそう知ると姉は喜んでいたと思います」
「お前達は・・・似ておるのだな どこか 雰囲気というか
顔は そう似ていると思わんが どちらにも面影がある
共通する何か・・・・・」
言葉を噛みしめるように 暫し豊造は黙った
「もう一つ 儂はお前に話すことがある
元気で健康だった一郎と静子さん この二人がどうして病気がちな体質に変わってしまったのか
儂はそれが不思議で少し調べたことがある
連 お前は 死んだばあさんから 輝子から 阿美津村について少しは聞いておるか
昔 儂らの住んでいた村はな 火事で燃えてしまって 今は もう無い
地名も変わってしまった
消えた村と言ってもいいかもしれん
村の者を診てくれていた医者の家が火事になり その火は山に移って村も殆どが燃えてしまった
一郎も静子さんも 火事の前に医者から「風邪の予防だ」と言って注射されておる
二人だけではない わかったところで 村の元気な者ばかり10人が注射されておる
風邪の予防であるならば むしろ年寄りや子供にすべきだろうに
おかしな話だ
あの医者は病んでおった
同じ村出身のこの病院の院長がな まだ医学生時代に街の病院で会ったそうじゃ
当時その病院には村の医者と同じ大学で勉強した医者がおってな
こういう昔話を聞いたそうじゃ
村の医者は 将来を楽しみにされている いわゆる天才であったのが
一人の患者に死なれて変わってしまったと
患者の少女を 村の医者となった男は愛しておった
明るく優しく 誰からも好かれる青年医師は 愛する娘を死なせたことで すっかり変わってしまった
おかしな研究に走り とうとう大学も追われた
そして阿美津村の奥で暮らすようになった
何かあやしいことをしておるという噂はあった
しかし医者としての腕は確かだった
あの医者は自分の病状 死期を知って それまで続けていた何かを注射という形にして 一郎や静子さんに打ったのではないかと 儂は考えておる」
ここにきて何やら怪しげなお医者さんの登場。
ゾンビ化した真相がここらへんにあるのかも♪
このお医者様のおかげで派生したストーリーも幾つか創れそうでもありまする・笑
変化していく遺伝子からの悲劇
先日 細胞から耳の骨をつくるというニュースで ねずみの背中に浮かび上がった人の耳の形を見ました
確かに必要で重要な実験なのですが ひどくグロテスクにも思えて 病気治療に役立てる実験なのですがー強い気持ちでいないと続けられない仕事だなーとも感じました
なまなかな神経ではできない 続けられないと