遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国の台頭には、日本と台湾が米国本土を守る為に必要

2021-04-28 01:23:55 | 米中新冷戦時代
 バイデン大統領は、世界の首脳の中で最初に対面会談する相手として日本の菅義偉首相を選びました。
 会談では、覇権主義的な行動をとり国際秩序を乱す日米の共通の敵である中国に、共同で対抗するという認識で一致。「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調。米国にとって日本は最も重要な国だと世界に示したのでした。
 既に多くの評論がなされ、当ブログでも触れさせていただいた話ですが、日米の関係が片務的と見られるきらいがあるが、実態は両務的と解説しておられるのは、元自衛隊幹部学校戦略教官室副室長で軍事アナリストの西村金一氏。
 
尖閣諸島を死守しなければならなくなった米国 中国の台頭で、日本と台湾が米国本土を守る要塞に | JBpress(Japan Business Press) 2021.4.27(火) 西村 金一 : 軍事アナリスト

 米国のジョー・バイデン大統領は、世界の首脳の中で最初に対面会談する相手として日本の菅義偉首相を選んだ

 米国にとって日本は最も重要な国だと世界に示した形である。会談では、
覇権主義的な行動をとり国際秩序を乱す日米の共通の敵である中国に、共同で対抗するという認識で一致した

 
併せて、「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調、「日米安保条約5条が尖閣諸島に適用される」ことが再確認された。

 具体的には、日本には最前線である尖閣が有事になれば、米国に介入してもらう。台湾には、米国に現状維持を支持・支援してもらうというものだ。

 
中国、日本、台湾を中心に地図を見ると、米国に介入してもらうという片務的に見える。だが、米国の関係を環太平洋の地勢で眺めてみれば、日米同盟は、片務的ではなくて、双務的に見える
<中略>

日米同盟の意義が変化
 日米に対するロシアと中国の脅威については、東西冷戦の時代と現在とでは大きな違いがある。また、想定される戦争の構図も大きく異なる。

 このため
日米同盟の意義にも大きな変化が生じてきている。そのような変化が生じてきているにもかかわらず、いまだに「日米安保は不公平だ」との発言がある。

 日米安保の片務性については、ドナルド・トランプ前大統領が繰り返し次のように発言している。

「現在の日米同盟は米国側にとって不公平だ。もし日本が攻撃されれば、米国は日本を支援するが、米国が攻撃されても日本が軍事的に米国を支援する義務がない」

 
日米安保条約第5条には、日米は「日本の施政下にある領域において、・・・武力攻撃に対処する(要約)」と記述されている

 これには、
米国本土の防衛については記述がなく、片務的で不公平だと言われるゆえんだ。

 東シナ海・南シナ海を中心に地図を眺めると、米軍が本土からこの地まで来援し、中国の海洋進出を止め、共に戦ってくれる、あらゆる方面で支援してくれると認識してしまう。

 
現在、日米同盟を語るときには、中国の脅威が上がってくる

 日本にどのような脅威があるかという視点で語られるが、
米国本土にどのような脅威があるのかについては、ミサイル攻撃を除き言及がない

 だが、日米同盟の解釈にあたっては、世界には中国・ロシアと米国の軍事的対立の構図があり、その中で米国に向かう脅威と日本が晒されている脅威の両面を見なければならない。

 しかも、地図を東シナ海・南シナ海を中心に見る場合と環太平洋全体で見る場合とでは、日米同盟の意義が大きく異なるのである。

 
環太平洋全体で見てみよう。日本と台湾が中国の太平洋への進出を止め、その遠い先に米国がある

 地政学的見地から考察すれば、
日本と台湾が中国の進出を止めているので、米国本土は自動的に守られている

 ここには、
日米安保条約の条文に表されていない現実的で一種独特の同盟関係がある

中国の台頭が日米同盟を双務的に
 ソ連邦崩壊によるロシア軍事力の低下と入れ替わり、中国軍の急激な増強で、米中が広大な太平洋を挟んで対立する構図が新たに出来上がった。

 
地政学的観点から米中を見ると、日本列島(特に南西諸島)と台湾が中国の太平洋への進出を塞ぐように位置している。

 つまり、
日本の独立が守られて、そこに米国の勢力圏にあるからこそ、中国軍を東シナ海以東に抑え込むことができるのだ。

 すなわち、中国軍は米本土(ハワイを含む)に近づくことができず、米国本土が守られているということだ。

 軍事力を飛躍的に増強してきた
中国軍の太平洋正面での現在から近未来の軍事戦略は、A2/AD(接近阻止/領域拒否)と呼ばれる

 
第1列島線である日本の九州~南西諸島~台湾~フィリピンなど(南シナ海の取り囲む国々)で米軍の侵入を阻止すること、第2列島線である伊豆諸島~小笠原諸島~グアム~パラオの線の以西(内側)で、米軍の行動を妨害することである。

 10~30年後、中国軍がさらに増強され、西太平洋において中国が攻勢に出て、日米が防勢することになり、第1列島線である日本列島~南西諸島~台湾が中国軍に占拠されてしまえば、第2列島線と呼称される線は、北太平洋上のまばらに存在する小さな点(島)を結ぶ線にすぎないものとなってしまう。

 北太平洋での中国軍の東進を阻止することは地形的に見て難しい。戦力を展開できる拠点として使えるのは、ハワイとグアムだけだ。

 つまり、
北太平洋正面では、第1列島線が中国に占拠されてしまえば、中国軍の東進を阻止する国土地形がないために、中国海軍艦艇は、米国の西海岸まで容易に達することになる

 中国から米国本土への予想される主な3つの接近経路は、下図のとおりである。
 

 
日本や台湾が中国の太平洋進出を止めているから、米国は安心していられる

 日本や台湾が中国に占拠されてその勢力圏内に入ってしまえば、中国軍は、北太平洋のど真ん中にあるハワイ、それを越えて、東太平洋、米国西海岸沖を自由に遊弋することになるであろう。

 これまで、日米は、中国軍を南西諸島と中国本土の中間線よりも中国側に抑え込んでいるが、もし
米国が要塞の役割を果たしている日本や台湾を守らなかったら、中国を東シナ海の範囲に抑え込めず、中国の脅威は自国の近くまで迫ってくるということだ。

 つまり、グローバルな観点で領域を守るための中心的な本城と多数の支城と考えると、米国は本城であり、日本や台湾は最前線の支城(要塞)である。

 
本城と支城の関係となる米国・日本・台湾は運命共同体といってよい。

中国の南太平洋進出と日米同盟
 中国はICBMを米国本土に向けて発射するとき、ロシア上空を経由して北極圏を超えるか、アラスカや日本列島の上空を超えて飛翔させなければならない。

 ロシアから発射するよりも3000キロ以上の射程が必要になる。

 中国は、射程8000~9000キロのSLBM(JL-2)を装備する晋(ジン)級弾道ミサイル潜水艦を保有している。現在配備されているのは、南シナ海に面する海南島だ。

 
中国は、南シナ海の西沙・南沙諸島の岩礁を埋め立て、基地と滑走路を建設している。

 これらの基地を軍事要塞にすることにより、
米軍からの海空攻撃を受けても、戦いに長期間耐え、弾道ミサイル潜水艦が活動する海域を少なくとも一定期間、防衛することができる

 第2撃可能な弾道ミサイル潜水艦を守るという戦略、つまり、米軍を進入させない「中国版バスチョン防衛」戦略である。

 一方で、南シナ海から米国ワシントン本土を直接攻撃するには、SLBMの射程が約1万5000キロ以上でなければならない。

 現在のところ、南シナ海から米国本土に向けて、SLBMを発射しても届かない。このため、
中国が狙っているは弾道ミサイル潜水艦を
 
①対馬海峡から日本海へ
 ②東シナ海から西太平洋へ
 ③南シナ海から南太平洋に
 進出させ、米国本土を直接攻撃すること
だ。

 
米国から見れば、ミサイル防衛の重点ではない南太平洋の方向からミサイルを打たれることになる

 北極圏からと南太平洋の2方向からミサイルを同時に発射されることにより、米国本土のミサイル防衛が危うくなる。 

 米軍は世界中に点在する島々に、滑走路を含む海軍・空軍基地を建設し、弾道ミサイル潜水艦を寄港させ、爆撃機を展開させる戦略をとってきた。

 これをまねて、中国が南太平洋の島嶼国家、例えば、バヌアツ、フィジー、サモア、トンガと外交関係を結び経済的支援を行い、返済できないほどの大きな債務を負わせているのは、その見返りに港を建設し、弾道ミサイル潜水艦とこれを守る攻撃型潜水艦の活動の中継地点として利用することが狙いだからである。

 
南太平洋への日米同盟の役割は、日台とは異なる

 
日米は、豪・EUと合同で、この海域に軍事プレゼンスを示すとともに、中国からの支援を受けている島嶼国家を日米などの陣営に引き戻す外交工作が重要である。

中国による太平洋進出阻止の前進基地に
 私は、
「米ソ冷戦時代は、日米安保は片務的であったが、米中対立の今は、双務的になった。日本(実際は台湾を含む)こそが米国本土を守っている。日米関係は運命共同体だ」と強く主張したい

 
日台は、中国が海洋を挟んで隣にあり、脅威を身近に受けている。日本や台湾の地理的位置が、中国の海洋進出を阻止しているである。

 米国から見れば、中国の太平洋への進出を阻止する前進基地(要塞)としての役割を果たしている。

 この結果、
日本は中国脅威の矢面に立たされた。日本が国を守ることは、中国の海洋進出を阻止し、必然的に米国を守ることになる

 
中国が重大な脅威となっている限り、米国にとって、日本や台湾がいかに重要な国であるかが容易に理解できる

 
台湾は、日本と同様、中国の太平洋進出を食い止める重要な国家だ。

 
台湾海峡の平和と安定は必須であり、中国の一部としての台湾ではなく、米日陣営に取り入れた国家態勢にすることだ。

 もし、
台湾や沖縄を含む南西諸島が中国の支配下になれば、中国の軍艦が太平洋上を自由に行動するようになる

 中国軍艦がハワイを含む米本土に接近することになるのだ。

 米国はキューバ危機の時に、旧ソ連が軒先まで進出してきたことに強い危機を感じたはずだ。中国軍艦が何の抵抗もなく太平洋に進出すれば、キューバ危機以上の危機を感じることになるだろう。

 
南太平洋の島嶼国家にも、日台と同様の戦略的価値があることを認識し、日米同盟のプレゼンスを示すべきであろう。

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西村 金一(にしむら・きんいち) 1952年生まれ。法政大学卒業、第1空挺団、幹部学校指揮幕僚課程(CGS)修了、防衛省・統合幕僚監部・情報本部等の情報分析官、防衛研究所研究員、第12師団第2部長、幹部学校戦略教官室副室長等として勤務した。定年後、三菱総合研究所専門研究員、2012年から軍事・情報戦略研究所長(軍事アナリスト)として独立。
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 会談内容は、日本には最前線である尖閣が有事になれば、米国に介入してもらう。台湾には、米国に現状維持を支持・支援してもらうというものといいえる。日台にも応分の備えも要求されます。
 中国、日本、台湾を中心に地図を見ると、米国に介入してもらうという片務的に見える。だが、米国の関係を環太平洋の地勢で眺めてみれば、日米同盟は、片務的ではなくて、双務的に見えると西村氏。
 
 米ソの冷戦時代から、米中の新冷戦時代に変わった今日、日米同盟の意義にも大きな変化が生じてきていると。
 
 日米安保条約第5条には、日米は「日本の施政下にある領域において、・・・武力攻撃に対処する(要約)」と記述されている。
 これには、米国本土の防衛については記述がなく、片務的で不公平だと言われるゆえん。
 トランプ前大統領も、「現在の日米同盟は米国側にとって不公平だ」と繰り返し触れていました。

 現在、日米同盟を語るときには、中国の脅威が上がってくる。
 日本にどのような脅威があるかという視点で語られるが、米国本土にどのような脅威があるのかについては、ミサイル攻撃を除き言及がない。
 米国に向かう脅威と日本が晒されている脅威の両面を見なければならないと西村氏。

 環太平洋全体で見てみると、日本と台湾が中国の太平洋への進出を止め、その遠い先に米国がある。
 地政学的見地から考察すれば、日本と台湾が中国の進出を止めているので、米国本土は自動的に守られていると。
 古来戦法で、川など水域を挟んで対峙する場合、対岸で護る戦術と、自岸で護る方策の両方が語られます。対岸で戦う方が自陣本体の被害は少ない。

 つまり、日本の独立が守られて、そこが米国の勢力圏にあるからこそ、中国軍を東シナ海以東に抑え込むことができる。すなわち、中国軍は米本土(ハワイを含む)に近づくことができず、米国本土が守られているということだと。
 日本や台湾が中国の太平洋進出を止めているから、米国は安心していられる。
 もし米国が要塞の役割を果たしている日本や台湾を守らなかったら、中国を東シナ海の範囲に抑え込めず、中国の脅威は自国の近くまで迫ってくる。
 本城と支城の関係となる米国・日本・台湾は運命共同体。

 中国が狙っているは弾道ミサイル潜水艦を、
 ①対馬海峡から日本海へ
 ②東シナ海から西太平洋へ
 ③南シナ海から南太平洋に
 進出させ、米国本土を直接攻撃することだと西村氏。

 南太平洋への日米同盟の役割は、日台とは異なる。
 日米は、豪・EUと合同で、この海域に軍事プレゼンスを示すとともに、中国からの支援を受けている島嶼国家を日米などの陣営に引き戻す外交工作が重要であると。
 
 西村氏は、「米ソ冷戦時代は、日米安保は片務的であったが、米中対立の今は、双務的になった。日本(実際は台湾を含む)こそが米国本土を守っている。日米関係は運命共同体だ」と強く主張したいと。
 米国から見れば、中国の太平洋への進出を阻止する前進基地(要塞)としての役割を果たしている。
 この結果、日本は中国脅威の矢面に立たされた。日本が国を守ることは、中国の海洋進出を阻止し、必然的に米国を守ることになるとも。
 台湾は、日本と同様、中国の太平洋進出を食い止める重要な国家。
 台湾や沖縄を含む南西諸島が中国の支配下になれば、中国の軍艦が太平洋上を自由に行動するようになる。

 日米関係は運命共同体。日台の存在自体が米国と双務的に役割を果たし合っていると西村氏。

 習近平の、台湾と尖閣への軍事進攻はカウントダウンに入っているとの声は少なくないですね。
 日米台は一致して予防の備えを強化せねばなりません。日本の対中、対台湾への姿勢が問われています。



 # 冒頭の画像は、23日に海南島・三亜で就役式が行われた中国軍の強襲揚陸艦「海南」
  中国、初の強襲揚陸艦就役 台湾侵攻想定、上陸能力強化:時事ドットコム




  この花の名前は、 イベリス センパビレンス


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