★★★★ 1991年/日本/120分
監督/岡本喜八 主演/北林谷栄、緒方拳、風間トオル
「あっぱれ、北林谷栄」
和歌山の山村、ある夏の日。大富豪の老女が3人組の若者に誘拐される。身代金5千万を要求するという誘拐犯に対して、「あたしの価値はそんなもんかい!」と激高した老女は百億を要求しろ、と言い放ち、自ら身代金強奪の指揮を執り、誘拐犯たちを言いようにあやつる。果たして百億の行方は…
まあ、とにかく老女役の北林谷栄です。関西弁で軟弱な誘拐犯の尻を叩き、警察を手玉に取る痛快な演技が全編にあふれています。この人1911年生まれなんですね。この作品に出た時は80歳で、各賞を総ナメにしました。2002年に「阿弥陀堂だより」と「黄泉がえり」に出ているのでこの時91歳!すごいですねえ。今村昌平、市川昆、新藤兼人など昭和の名匠の作品に古くから出続けています。当時から何だかおばあさんの役が多かったような気が…
映画のテンポも非常に良く、80歳の北林谷栄のイキのよさに引き込まれます。しかし、そのイキの良さだけではなく、かわいさとか懐の広さもあって、このおばあちゃんの言うことなら聞かなきゃね、と誘拐犯ならずとも思わせてしまいます。
そして、北林谷栄に昔使えていた女中がその真意をくみ取り、自宅をアジトとして提供し、奉公するのですが、この役が樹木希林。これがまたおもしろい。この人はどんな役でもいい味出すよなあ。果たして百億は手に入るのか…というサスペンス的展開もきっちり押さえられていて、最後までハラハラドキドキ。そして、なぜ老女が「百億」という金額を設定したのか、というオチもしっかり用意されています。そしてそこには、ずっと反戦を訴えてきた喜八監督のメッセージが込められているのです。
現金の受け渡しの場面など、今見ればサスペンスとしては少々ツメが甘い部分もありますが、それはそれ。そこに行き着くまでに、ちゃんと映画の世界に入り込めますので、素直におばあちゃんの大活劇に賛同しちゃいましょう。
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監督/岡本喜八 主演/北林谷栄、緒方拳、風間トオル
「あっぱれ、北林谷栄」
和歌山の山村、ある夏の日。大富豪の老女が3人組の若者に誘拐される。身代金5千万を要求するという誘拐犯に対して、「あたしの価値はそんなもんかい!」と激高した老女は百億を要求しろ、と言い放ち、自ら身代金強奪の指揮を執り、誘拐犯たちを言いようにあやつる。果たして百億の行方は…
まあ、とにかく老女役の北林谷栄です。関西弁で軟弱な誘拐犯の尻を叩き、警察を手玉に取る痛快な演技が全編にあふれています。この人1911年生まれなんですね。この作品に出た時は80歳で、各賞を総ナメにしました。2002年に「阿弥陀堂だより」と「黄泉がえり」に出ているのでこの時91歳!すごいですねえ。今村昌平、市川昆、新藤兼人など昭和の名匠の作品に古くから出続けています。当時から何だかおばあさんの役が多かったような気が…
映画のテンポも非常に良く、80歳の北林谷栄のイキのよさに引き込まれます。しかし、そのイキの良さだけではなく、かわいさとか懐の広さもあって、このおばあちゃんの言うことなら聞かなきゃね、と誘拐犯ならずとも思わせてしまいます。
そして、北林谷栄に昔使えていた女中がその真意をくみ取り、自宅をアジトとして提供し、奉公するのですが、この役が樹木希林。これがまたおもしろい。この人はどんな役でもいい味出すよなあ。果たして百億は手に入るのか…というサスペンス的展開もきっちり押さえられていて、最後までハラハラドキドキ。そして、なぜ老女が「百億」という金額を設定したのか、というオチもしっかり用意されています。そしてそこには、ずっと反戦を訴えてきた喜八監督のメッセージが込められているのです。
現金の受け渡しの場面など、今見ればサスペンスとしては少々ツメが甘い部分もありますが、それはそれ。そこに行き着くまでに、ちゃんと映画の世界に入り込めますので、素直におばあちゃんの大活劇に賛同しちゃいましょう。
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