うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

林芙美子の浮雲を読んで、

2012年02月22日 05時52分36秒 | 活字中毒の日々、そして読書三昧
暦の上では「雨水」が過ぎた。わたしの密かな願いでは、当地では20日位には、南風の春一番が吹くかなと思っていたがかなわず、今年はいまだに寒い天候が続いている。これからの、暖かくなる度合いの今度の目安は3月5日の「啓蟄」だ。
 わたしの近況は、先月来回収してきた弟の遺品のものを手元で整理している。わずかに図書券一枚のみで金銭めいたものはない。ほかに未使用とおもわれるXPのパソコンや道具箱など雑多であるが、つたない初心者向きの園芸本、星、野鳥の本もあり、中には珍しくも文芸作品の文庫本があった。

 先日、その林芙美子の風俗小説‘浮雲’を読む。じつは、この本は書痴のわたしとして新規に購入して読むレベルではない。奥付に鉛筆の手書きで 180と書いてある。どうやら古本屋で買ったらしくて、活字が小さく紙質も茶色くわら半紙のように変色し、丁寧にあつかわないとテイッシュペーパーのように破れやすい。どうもこれは戦後1950年代のベストセラーであったらしくて、その後、東宝映画にもなったようだ。作品は名匠・成瀬巳喜男監督で、高峰秀子と森雅之のキャストである。
 内容は、戦中に農林省から仏印(フランス領ベトナム)へ林業技術者として派遣され(軍属)、敗戦で引き揚げてきた元役人が主人公で、言ってみれば、それぞれが浮気者の男女が戦後混乱の世相のなかで転変し、身を滅ぼしてしていくストーリーである。

 そこで、最後は鹿児島県の屋久島が舞台となる。屋久島は一日ごとの天候の変動が大きくて安定せず、しかも国内有数の雨の多い島で知られる。たまたま以前、造園業界の集まりで‘縄文杉’ツアーで行った先の旅館が安房港近くの「屋久島ロイヤルホテル」で、ここは林芙美子のこの小説執筆の滞在先であった。その由来が大きな看板で建物につけてあったのだ。わたしが行った季節は、屋久島の登山には一年で一番時期がいいと言われた6月の入梅直後の頃である。そこをステイ先にして、早朝暗いなか、おにぎりなど二食分を持って隊列を組んで出発する。それは、やはり雨もやいで、まず森林鉄道のトロッコレール跡を歩き、原生林の山中に渓谷やつらなる巨岩や急峻な山肌などの登山路で‘縄文杉’を見るまでは実に片道6時間であり、日頃の運動不足がたたり、わたしは下山もおぼつかなくていて翌日から数日間は身体がぐだぐだに疲労困憊したものである。

        
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