「警官」をテーマにした書き下ろされた作品集。
7人の作家が、それぞれに全く違う雰囲気の作品を書いています。
コロナ禍に口々に言われた“自粛”を思い出させられた作品があるかと思えば、「上級国民」と言う単語を初めて知った交通事故を思い起こさせる作品あり。
とにかく、全く違う切り口、雰囲気の作品たちです。
それぞれ短編なので、あっという間に読み終わります。
「警官」をテーマにした書き下ろされた作品集。
7人の作家が、それぞれに全く違う雰囲気の作品を書いています。
コロナ禍に口々に言われた“自粛”を思い出させられた作品があるかと思えば、「上級国民」と言う単語を初めて知った交通事故を思い起こさせる作品あり。
とにかく、全く違う切り口、雰囲気の作品たちです。
それぞれ短編なので、あっという間に読み終わります。
レビュー一覧は、こちらから。
久しぶりのソン・ジュンギssi。相変わらずのスマートさですね。
ユン・ヒョンウ=ソン・ジュンギssiは、スニャン物産の未来資産管理チーム長。
学歴はさほどでもないけれど、判断力と行動力を兼ね備え、特にオーナー一家に対する忠誠心は他に類を見ない程。
チン・ヨンギ会長の信任も厚い最側近です。
その分、同僚からの妬みもあるようですが、部下のシン・ギョンミンからは尊敬されています。
会長チン・ヨンギの父である前会長チン・ヤンチョルの功績を祝し、銅像の除幕式が行われようとしていました。
会長ヨンギは、その場で息子ソンジュンを後継者として発表するつもりだったようです。
ところが、ソンジュンにその意思は無く。
父に相続を放棄すると宣言したのです。
ソンジュンは、父のやり方に反発してきたようです。何か、“事故の処理について不満がある”と口走っていましたが、これは後々明らかになっていくでしょうね。
突然の言葉に、ヨンギは激怒。
放棄など認めないと言いました。
それでもソンジュンの意思は変わらず、父に背を向けて歩き出した時、ヨンギが突然倒れました。
心筋梗塞です。
ソンジュンは、その様子を見て、おろおろと立ち尽くすばかり。
会場に現れないヨンギを心配してやってきたヒョンウによって、ヨンギは救急搬送されました。
その騒動の中、ソンジュンはその場から逃げ出してしまったのです。
この状況を知らされたヨンギの兄弟たちは、悲しむより先に、それぞれの思惑が脳裏を巡ったようです。
ただ、世間に公表するのは憚られました。
会長の体調は、株価に大きく影響しますからね。
除幕式は予定通り行われることになりました。
しかし、その場で挨拶をする予定だった会長のヨンギが倒れたわけです。
代わりはソンジュンしかいません。
ま、この時、ヨンギの弟ドンギが、自分の番か?と乗り出そうとしましたが、あっさり却下されました。
却下してソンジュンが行うのが妥当だと主張したのが、ドンギの娘イェジュンだったので、ドンギも何も言いませんでした。
ソンジュンの妻ヒョンミンはほっとしたような笑顔をイェジュンに向けました。
しかし、イェジュンが親切心でそう言ったわけではありませんでした。
ソンジュンがこの場に間に合うとは思っていないからこそなのです。そうなると、後継者としてソンジュンは危険な人物だと公表するようなものだと思ったのです。
悪知恵が働くようですね、イェジュン。
ヒョンミンは、ヒョンウにソンジュンを時間までに連れてくるよう命令しました。
間に合わなければ、ヒョンウには辞表を出してもらうと。
ヒョンウは部下を総動員してソンジュンの元に向かいました。
ホテルにいると言う事は分かっていました。
同行するシン・ギョンミンが、時間的に見て無理なのでは?と、言いました。
ヒョンウは言いました。
「僕みたいになりたいと?僕は次の3つをしない。オーナー一家の指示を断らない、いかなる質問もしない、どんな時も自分で判断しない。それが原則だ。」
ソンジュンはホテルで大荒れ状態。
ヒョンウが部屋に飛び込んだ時、丁度ソンジュンが振り回したゴルフクラブがヒョンウの額をかすめました。
が、ヒョンウは全く動じず、ソンジュンに声をかけました。
一切ソンジュンを咎めることはせず、前会長ヤンチョルの自伝に書かれていたヨンギとのエピソードを聞かせたのです。
あと12分です・・・と、ヒョンウ。
「間に合えば、今日の事は問題になりませんし、会長が倒れる直前にあの部屋であったことが外部に漏れることはありません。僕が口外することは無いからです。」
ご協力ください・・・と、ヒョンウは頭を下げました。
ソンジュンは、結局、父の思惑通りになってしまうことが悔しくて仕方が無かったのでしょうね。
が、ここまで来たら、ヒョンウの言うとおりにするしかありません。
ソンジュンは、除幕式に間に合いました。
そして、ヨンギの代わりに言葉を述べたのです。
ヒョンミンはほっとしたようですが、イェジュンとドンギ夫婦、そしてヤンチョルの長女であるファヨン夫婦はがっくりしたような表情を浮かべました。
当時、スニャングループは事業継承に関して様々な違法行為をしたと疑惑を持たれていまして。
ヨンギは告訴されたものの、懲役3年執行猶予5年となり、実刑にはならずに済んでいました。
担当検事のソ・ミニョンは、その悔しさで更なる闘争心をかき立てられているようです。
ソンジュンは、それらの疑惑を払拭すべく、今後は誠実な経営をして行くと決意を述べました。
「祖父の遺志を継ぎ、国民に愛されるスニャンに生まれ変わります。」
大勢の招待客からは、大きな拍手が起こりました。
が、一族は苦い顔をしています。
ヒョンウには、父と弟がいます。
母は既に亡くなっていました。
除幕式の日は、母の法事の日でもありました。
遅くなって実家に駆け付けたヒョンウ。
父は息子であるヒョンウにとても気を遣っているように見えますし、弟も同じです。
弟のヒョンミンは公務員を志望している受験生でした。
しかし、いつまでも兄のすねをかじっている事は出来ないと思い、受験を断念。就職したようです。
父も、ヒョンウに頼り切りなのが心苦しく思っていたようですね。
もう、自分のための人生を歩んでも良いのではないかと、ヒョンウに言いました。
結婚して、家庭を持てと言う事です。
が、ヒョンウにそんな気は全く無さそうです。
自分を突き放そうとしているとでも感じたのか、不機嫌になってしまいました。
ヒョンウに法務チームから連絡が入りました。
ヒョンウの部署に検察の家宅捜索が入ったのです。
ソ検事たちです。
しかし、押収した資料の中からは、何も証拠となるモノは見つかりませんでした。
事前に全て隠されていたのです。
ヒョンウの指示でした。
ヨンギの病状は、危機を脱し、安定して来ました。
そんな時、ヤンチョルの三男ユンギとユンギの妻へインが現れました。
自分の持ち株を譲る代わりに、息子の事故のの真実が知りたいと言い出したのです。
その場にいた全員が顔を強張らせました。
ソンジュンがヨンギに言ってた“事故”と言うのが、これ
隠してあった資料の仕分け作業をしていたヒョンウと部下たち。
その時、シン・ギョンミンがある資料を発見したと、ヒョンウに報告しました。
かなり古い資料なので、ヒョンウに判断を任せたいと。
ペーパーカンパニーの資料でした。
実態の無いペーパーカンパニーを通じてスニャンの資産を海外に流出させていると思われました。
ヒョンウは、それをキム企画本部長に報告。
話を聞いたキム企画本部長は、すぐにその場で資料をシュレッターにかけました。
抗議しようとしたヒョンウを遮ってキム企画本部長が言いました。
「私がなぜ君にその座を5年も任せていると?自分の立場を明確にわきまえているからだ。君らしくしろ。」
ヒョンウは引き下がるしかありませんでした。
悶々としながら帰宅しようとしたヒョンウに、ソンジュンが声をかけました。
ソンジュンは、ヒョンウに感謝していました。
祖父からは、自分のせいでスニャンはつぶれると言われて来たソンジュンでした。しかし、ヒョンウのような人もスニャンにはいるわけで。だから、スニャンは大丈夫だと思えたのでしょう。
正直な気持ちだったようです。
そんな言葉をオーナー一族から掛けられたことの無かったヒョンウは、思わず真っ直ぐにソンジュンを見つめてしまいました。
その視線に、ソンジュンは照れたようでした。
ソンジュンの言葉に勇気を貰ったヒョンウ。
ペーパーカンパニーの資料をソンジュンに見せる決心をしました。
キム企画本部長に資料を渡す前に、携帯に撮っておいたのです。これも、慎重な性格ゆえでしょうね。
資料を見たソンジュンは、ヒョンウに意見を聞きました。
「検察より先に動く必要があります。」
と、ヒョンウ。
ペーパーカンパニーを処理して、その資産をスニャン物産に移してはどうでしょうと、ヒョンウは言いました。
原本は?と、ソンジュンが聞きました。
ヒョンウは返事に詰まりました。
キム企画本部長が処分したとは言えません。
一瞬の躊躇の後、ヒョンウが口を開こうとしたとき、キム企画本部長が入って来ました。
ソンジュンが呼んだようです。
事情を察したキム企画本部長が見つめる中、ヒョンウは原本は自分が処理したと答えました。
が、ソンジュンは気づいていたようです、キム企画本部長は、この事を知っていたに違いないと。
ソンジュンは、キム企画本部長に言いました。
「知っていながら報告しなかったのは、私を見下しているか、金に目がくらんだか。知らなかったのなら、猶更問題だ。無能ということだから。どっちだ?」
すみません・・・とキム企画本部長。
ソンジュンは、キム企画本部長の胸の社員バッヂを奪いました。
「スニャンには必要ない人だ。」
キム企画本部長が部屋を出て行ったあと、ソンジュンがヒョンウに言いました。
「企画調整部、財務担当チーム長に任命する。スニャンの資産の回収を。君への最初の命令だ。」
ソンジュンとヒョンウの会話が、何者かによって盗聴されていました。
その音声データが、ファヨンからソ検事に渡りました。ソンジュンを起訴させようと言う魂胆です。
一方、イェジュンもこの情報を手に入れていました。
なんと、ソンジュンに首にされたキム企画本部長が、イェジュンについたようです。
その資産を自分にくれないかと、イェジュンがソンジュンに言いました。
ヒョンウはトルコに飛びました。
そして、6億ドルという巨額の資産の回収に成功したのです。
ヒョンウの口座に振り込まれました。
ところが、その帰路、ヒョンウは賊に襲われたのです。
賊は、ヒョンウを縛り上げ、崖に連れて行きました。
そこに現れたのは、なんと、シン・ギョンミン。
流石に動揺したヒョンウ。
オーナー一族に命令されたことは確かでした。
ヒョンウの原則に従ったまでだとシン・ギョンミンは言いました。
「誰ですか?命令したのは。」
と、ヒョンウが聞くと、
「これを必要としている人です。」
と、シン・ギョンミンは答えました。
その場でヒョンウは射殺されました。
が、意識が戻ったのです。
ヤンチョルの三男ユンギとへインの次男チン・ドジュンとして。
意識と記憶は、ヒョンウのままです。
時代は、1987年でした。