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セイは、得意満面の表情でユミに言いました。
「今度うちに来てください。」
ユミは必死に笑顔で答えました。招待してください・・・と。
ウンの部屋に入ったユミですが、玄関から動けませんでした。
怒りが沸々とこみ上げ、ウンを責めてしまいました。
セイが引っ越してきたことをどうして言わなかったの?と。
「こうなると思ったから。セイの事になると君が感情的になるから話さなかったんだ。」
と、ウンが言いました。
気にし過ぎだと。
流石にいつもは冷静な理性細胞も激怒しました。感性細胞なんぞ、爆発しそうな怒りです。
ユミが気にし過ぎじゃないと証明しようと、ユミのこれまでの行動を全て記録している『ユミ大百科』をチェック。
柚子茶事件、SNS事件、ウンの好みを敢えて教えた一件、ユミの誕生日のプレゼントを一緒に選んだとわざわざ言った事・・・等々。
ユミは、それらを全てウンにぶつけました。
「私が気にし過ぎなんじゃないわ。これは非常識なことよ。」
現に、友人に話すと、変だと、非常識だと言う感想が帰って来ていました。
そう言う子なんだ・・・とため息をつきながらウンが言いました。
「だからそうしてきたの?でも今は違う。私がいるじゃない。今までとは違うんだから、拒んでよ。」
ウンの細胞たちは、ユミの怒りを知り、動揺しました。
ウンの細胞たちは、ウンがベストを尽くして来た事を知っています。セイの意図に気づかないフリをしてきました。
冷静になってユミに説明しようとしましたが、もうユミはウンの言葉を聞く余裕などありませんでした。
「セイが恋人みたいに振舞ってるのに、何故受け入れるの?あなたとセイは軽率だし、私に対する礼儀も無い。」
ウンの細胞村にアイスモードが発令されました。
ウンが怒った証拠です。村の全てが凍り付いてしまうのです。
「誰も不快にならないよう俺は努力してた。謝る事じゃない。」
初めての大喧嘩でした。
ユミが部屋を出ても、ウンは追って来ませんでした。
メールも電話もありません。
ユミは思いました。
一日メールも電話も無かったら、この恋愛は終わりだ・・・と。
細胞村で別れアラームがセットされました。
翌朝、セイはいつもと同じように、いえ、いつも以上に心無い言葉をウンにかけて来ました。
何かあった?ユミさんと喧嘩したの?
嬉しそうです
ウンが何も答えないので、セイは更に言い募りました。
幸せそうに見えないから心配なの。一番大事なのはあなた自身でしょ?合わない人と無理して一緒にいるのはストレスよね。情が移ったとしても、合わない人とは永遠に合わない。
「そうだな。」
と、ウン。
セイ、更に嬉しそうな表情で言いました。
「じゃぁ、ユミさんとは仲直りしないの?」
ウンがセイの方に向き直りました。
「お前の事を言ってるんだ。お前の行動が迷惑なんだ。親しくてもそろそろ限界だ。お前の行動がストレスなんだよ。」
ウンにしてはキツイ言葉でしたが、セイはどこ吹く風。
自分はウンと長い付き合いの友達じゃない・・・と。
ウンが“友達”と言う言葉に弱い事も知っていての言い方です
おまけに、ウンがユミに似てひねくれた考えを持つようになった・・・なんてまで言いましたよ
ウンの細胞村に今度は非常事態宣言が発令されました。
優先順位2位のユミが攻撃されている!と。
ウンが冷たい目でセイを見て言いました。
「言葉を慎め。」
ユミの細胞村が大洪水に襲われました。
自分は悪くないんだから、こちらから連絡することは無いと、ユミは思っていました。
このまま別々の道を歩むことになったとしても・・・。
連絡を取らないまま5年が過ぎ、知らない間にウンは子供を持って幸せな家庭を築いている、そんな妄想がユミの頭に浮かびました。
作家細胞がシナリオを書いていたのです。
未来を想像すると、今、何をすべきか分かると愛細胞が作家細胞を復活させたのです。
ユミが望むものが鮮明になるから。
細胞たちが集結しました。ウンの元に行くために。
セイがウンに謝りました。言い過ぎたと。
でも、ウンがユミのところに行こうとすると、腕を取って引き留めました。
ユミのところには行かせたくないのです。
話がある・・・と言いかけた時、セイの腕を掴んだ者が。
ユミです。
セイの手をウンから引き離しました。
ユミはセイに本心をぶつけました。今、話しておかなければ後悔すると思ったのでしょう。
「今までの行動、全てダメです。やめてください。」
しかし、セイは開き直ったように、ユミが言ってる“ダメな行動”と言うのが、全く分からないと言いました。
バカにしたような、からかう様な表情です。
ユミはこれまでのセイの言動を全て例として挙げました。
「ウンの本当の友達なら、困らせる行動をとらないで。友達を心から大切に思ってるなら。私ならそうします。立場を変えて考えてみて。相手がどう思うか。いい気はしないわ。」
ウンが止めに入りました。
ウンが止めた事がユミにとってはショックでした。自分が間違った事を言ってるとは思ってなかったからでしょう。
ユミには、ウンと別れる気持ちはありません。だから、喧嘩しても負けるしかないのです。
別れを選択肢の一つとして心に持っておかなくてはいけないと、細胞村の裁判長は言いました。
それを持っていないと、ユミは自由に動けないと。
ユミの心の中の優先順位が変わりました。
これまで一位だったウンが二位に。二位だったユミが一位になったのです。
ユミの心が自由になりました。
「どう思われようと、これだけは言っておく。そう見えないだろうけど、私から見たら、セイさんはいい同僚でもいい友達でもない。離れた方が良いわ。あなたはいい人じゃない。あなたに大切な人が出来る度に、その人は同じ事をする。相手が誰であろうと。」
ユミはそう言って、背を向けエレベーターに乗りました。
自分にはセイをやっつける事も、ウンを操る事も出来ないけど、別れるかどうかは選択できると、ユミは思いました。
よくぞ言った❕と、スッキリしましたよ、あたくし。
ユミ、エレベーターの行き先階のボタンを押し忘れてたみたいね。
ドアが開くと、ウンが目の前に立っていました。
そして、何も言わず、ユミを抱き締めたのです。
この瞬間は、ユミの人生のなかで、大切なシーンの一つとして細胞村に飾られました。
セイは会社を辞めたようです。
もうウンと一緒には居られませんよね。
しかし、仕事の面では、大変になりました。
なにせ、3人しかいない社員から1人抜けるのは痛手ですよね。
事情を知らないルイは、文句たらたらです。
ウンはセイときちんと話す機会を持っていました。
気づいてないフリをしてきた。取られたくないけど、付き合いたくはないと言うセイの気持ちに。だけど、もう我慢はしない。俺をキープだと考えるな。付き合う可能性は無い・・・。
かなり厳しい言葉です。
セイは、ユミのせいだと思いたいようです。
しかし、ウンは言いました。ユミは関係無い、俺たち二人の問題だと。
結局、セイは会社を辞め、ウンの傍を離れました。