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チョ右議政は、部下のカプスから、報告を受けました。
狙っていたオ・マンシクは勿論、ソンオンとジェイ、そして偶然居合わせたファンまでも殺すことが出来た・・・と。
オ・マンシクの家族も全員殺したと。
手掛かりは残していないとね。
大喜びです。
状況から、ファンはおそらく山野で人知れず死に、世子だという事も分からない筈と、チョ右議政は思いました。
その頃、ジェイとソンオンは必死に村の医者の家の門をたたいていました。
医者の的確な治療で、ファンは命を取り留めました。
オ・マンシクの家族まで殺された事を知ったソンオンは、このまま医者の家でいるのは危険だと判断。
医者に空き家を教えてもらい、そちらにファンを移しました。
ジェイは泣きました。
自分が傍に来て以来、次々と不幸な事が起こり続けているからです。とうとうファンまで・・・と。
話したいことがあるから、絶対に目を覚ましてください・・・とジェイは泣きながら言いました。
ファンの意識が戻りました。
ファンは、ソンオンとジェイ、2人とも生きていてくれたことが本当に嬉しく思いました。
翌朝、恒例の世子と臣下との講義が中止になりました。ファンが体調を崩したからだと伝えられました。
それを聞いたチョ右議政は、カプスの報告が正しかったと思いました。
今がチャンスだと。
王と重臣たちの朝会の場で、チョ右議政は、ファンが王の注意に全く懲りていないようだと言い出しました。
お忍びで街に出かけているようだと、まず、言いました。
チョ・ウォノにファンと出くわした一件を証言させました。
まぁ、チョ・ウォノがまんまとファンにやり込められた一件ですが、事情を明かさなければ良いわけで。
そして、本日は風邪と偽って講義をさぼっていると。
本当に体調が悪いなら、東宮殿に居る筈だとね。
で、王と領議政、ハン左議政、チョ右議政うち揃って東宮殿に赴いたのです。
いました、ファン。
ちゃんと東宮殿に座っていましたよ。
少々顔色が悪くても、それは体調がすぐれないことの証拠となりますわな。
チョ右議政は、ファンだけじゃなく、ジェイもソンオンもその場にいるのを見て、衝撃を受けました。
まさか・・・ですよ。
領議政とハン左議政はほっとした表情を浮かべ、チョ右議政を不快な表情で見ました。
王も、心からほっとしたようです。
王は領議政たちを下がらせました。
その途端、必死に堪えていたファンが耐えきれなくなって、崩れるように膝をついてしまいました。
王は、ファンの災難を知りました。
傷は少しずつ回復に向かっていますが、なにせ、まだ1日ほどしか経っていません。
よく平気な表情で応対できたものです。
ソンオンは、王に事の次第を説明しました。
チョ右議政が関係していると思いませんか?と、ファンは王に言いました。
「確たる証拠が無いまま動いてはならぬ。今はチョ一族と対立すべき時ではない。」
と、王は言いました。
寝ずの看病をしてくれるジェイ。
ファンが呼びかけました、“ジェイ”と。
初めて本当の名前で呼びました。
ファンが聞きました。
どうして自分の居場所が分かったんだと。
不慣れな場所で、お互い賊に襲われて離れ離れになった時、どうして自分がいる場所が分かったのかと言う意味です。
「私はもう、いつでもどこでも世子様の事を見つけられるようになりました。」
と、ジェイは答えました。
「私もどこでそちを待てばよいか、分かるようになった。」
と、ファンも言いました。
ソンオンは気になる事がありました。
ファンを発見した時、ジェイは真っ直ぐにファンに駆けて行って、両手でファンを抱きしめました。
男がすることじゃないと思ったのです。
初めてジェイに疑問を感じたってわけですね。
ところで、シム・ヨンがジェイに渡した腕輪ですが。
それと同じ物を、ミョンジンの結婚相手とされている内務長官の娘が街の小間物屋で購入しているのをガラムが目撃。
なんだかんだと理由をつけて探ると、それが高価な品だと判明。
小間物屋は、海外から仕入れたモノだと最初は言いましたが、しつこく聞くと、行商人から仕入れたと白状しました。
ガラムは、絶対にジェイが持っていたモノと同じだと思いました。
ある朝、突然ジェイが襲われました。
拉致され、王宮内の一室に閉じ込められました。
で、剣を突きつけられ、世子について知ってることを話せと迫られたのです。
でもね、これ、新人内官の通過儀礼でして。世子への忠誠心を試すモノでした。
襲った覆面の男はどちらも先輩内官。
よって、あっという間に反対にジェイに押さえつけられてしまったのです。
内官の慣例なのに、話を聞いたファンは先輩内官たちを叱りました。一応ジェイは女性ですからね。力では敵いません。
が、ファンの心配は杞憂に終わりました。
反対にジェイにやっつけられて、先輩内官たちが転げるように部屋から出て来たからです。
ファンはほっとし、試験は合格だと微笑みながら言いました。
ソ内官は、そんなファンの姿が珍しく、不思議に思いました。
でも、やっつけられた内官が、口々にジェイが短刀を持っていたと訴えたのです。
世子に仕える内官は、刃物を所持してはいけない規則があるようです。
ソ内官に出すよう言われたジェイは、正直に差し出そうとしました。
しかし、それにもファンが口を挟みました。
外出する時のために自分が持たせたものだと。
ファンがジェイを庇っているのは、見え見え。これまでには無かったことなのでしょうね。
内官たちは、皆、ジェイがあまりにも贔屓されてるのを悔しがりました。
この騒動で、ジェイは顔に傷を作ってしまいました。
ファンは、それを優しく手当してあげました。
ジェイは、嬉しくなってふっと笑顔を見せました。
そんなジェイを見つめながら、ファンが言いました。
「そちを手放す。」
ソンオンの元に行けと。
ファンは、自分の傍にいると、しょっちゅう危ない目に遭ったり、怪我をしたりするジェイが心配でならないのです。
だから、本来ジェイがいるべき場所に行けと言ったのです。
ソンオンがまだジェイを待っていることは十分分かっていますから。
本当にそれをお望みですか?と、ジェイが尋ねました。
ファンはそれには答えず、自分が無実を証明してやるから、ソンオンのところに行けと言いました。
「私がいなくなっても大丈夫ですか?」
「私が本当に兵士長様のところに嫁いでもよろしいのですか?」
ファンはまたその問いには答えず言いました。
最初から私のところに来るべきではなかった・・・と。
しかし、ジェイは、後悔していないときっぱり言いました。
「女として生まれて選択した中で一番後悔の無い選択でした。」
涙を拭いて、ジェイは言いました。
ソンオンの元には行かないと。
やっと犯人の正体に近づいた今、諦める事はできないと。
そして、思い切って言いました。ソンオンの元に行けない大きな理由があると。
他に好きな人がいるからだと。
そんな言葉が返ってくるとは、ファンは思いもよりませんでした。
狼狽してしまいましたよ。
急にグダグダ・・・
「永遠に世子様の傍にはいられません。時が来れば、世子様のおそばを離れるべき人間だと分かっています。でも今ではありません。世子様にはまだ私が必要です。私に世子様が必要なように。」
ファンの目を見ながら、ジェイは言いました。
後になって、ファンはジェイの好きな人が誰なのか、気になって気になってしかたがなくなるのですが、それが自分だとは、全く気付かないのです。
この話題に関しての、ファンとジェイの会話は、笑えます
ソンオンは帰宅すると家の庭に女性用の籠が置いてあるのを見て、ジェイが来たのかと思いました。
でも、違いました。
従妹のソウンでした。
ソウンは、ファンの世子嬪候補なのです。
王が言っていたハン氏から世子嬪を・・・と言う指示に従って、呼び寄せたのでしょう。
東宮殿のチェ尚宮から王妃付きのクォン尚宮へと渡された密書は、王妃へと渡されました。
ファンの様子を探っていたのは王妃だったのです。
でも、敵とも思えません。
殺されたオ・マンシクと家族を丁寧に弔ったようですから。
ある日、ファンとジェイがミョンジンの元を訪ねて楽しく過ごしていた時のこと。
街の通りで突然女性が倒れて死んだとの知らせが届いたのです。
ファンたちが駆け付けると、死んでいたのは、なんと、ミョンジンの縁談相手。内務長官の娘でした。
その時、死んだ女性の手首の腕輪にジェイは気づきました。
ガラムから話を聞いた後でしたから、それが自分と同じモノだとすぐに分かりました。
ファンも気づきました。
そっと手首から抜き取りました。
ミョンジンが気づきましたが、ガラムがそっと腕を抑えて何も言わないようにと目で合図しました。
ジェイはその腕輪をファンに渡しました。
チョ右議政は、ファンとジェイがミョンジンを度々訪ねている事を知りました。
ミョンジンの研究所には、彼が大ファンのジェイのお尋ね書きが何枚も貼られています。街に貼られていたのを、剥がして持ち帰ったモノでした。
その意味が分からないカプスが一枚剥がして持ち帰り、チョ右議政に渡しました。
そこに、あのならず者たちがやって来たのです。
ガラムが男装してミョンジンの弟子になっているというのを見つけた奴らです。
役所に届けてはお金にならないと考えたのでしょう。チョ右議政にチクりに来たのです。
チョ右議政、流石です。
その話を聞いて、気づきました。
内官のスンドルがジェイだということに。
そして、ファンがジェイの正体を知った上で、女を内官としてそばに置いている事実を。
ファンを追い落とす大きなネタを掴んだわけです。
笑いが止まりません。
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