またまた年末に向けて強烈な復刻物の大嵐です。
その中でザ・フーのボックスが発売中止になったのには、正直、ホッとしています。なにせ5万円以上するブツでしたから……。
ということで、本日は復刻の和物を――
今や私の心の支えとまでなっている、ホットワックス編集による邦画サントラ復刻CDの最新盤です。
今回は池玲子、杉本美樹、サンドラ・ジュリアン、片山由美子という、1970年代前半の東映を彩った女優さん達が主演した作品の中から、グッと感動のトラックを集めてくれました。
もちろん全てフィルム音源を使用していますので、モノラル仕様ですが、それがまた、たまりませんねぇ~♪ ジャケットは傑作「前科おんな・殺し節」のスチールを加工しています――
01 ふうてんぐらし / 唄:池玲子
02 やさぐれ姐御伝 総括リンチ M-6B / 音楽:鏑木創
03 不良姐御伝 猪の鹿お蝶 M-4 / 音楽:荒木一郎
04 ふうてんぐらしpart.2 / 唄:池玲子
05 前科おんな 殺し節 M-12 / 音楽:八木正生
06 徳川セックス禁止令 色情大名 C-2 / 音楽:荒木一郎
07 ジュテームはさよならの始まり / 唄:サンドラ・ジュリアン
08 女番長 タイマン勝負 M-6 / 音楽:広瀬健次郎
09 温泉みみず芸者テーマ / 音楽:鏑木創
10 やさぐれ姐御伝 総括リンチ M-34B / 音楽:鏑木創
11 お蝶のブルース / 唄:池玲子
12 現代ポルノ伝 先天性淫婦 M-9 / 音楽:鏑木創
13 やさぐれ姐御伝 総括リンチ M-6C / 音楽:鏑木創
14 女番長ブルース主題歌 唄:八田富子
15 不良姐御伝 猪の鹿お蝶 M-21 / 音楽:荒木一郎
16 エロ将軍と二十一人の愛妾 M-19 / 音楽:伊部晴美
17 女番長ブルース主題歌(カラオケ)
18 お蝶のブルース(カラオケ)
まず「01」「04」で2バージョン入っている「ふうてんぐらし」は、池玲子の湿っぽい雰囲気が存分に発揮された不貞腐れの演歌節です。前述した「前科おんな・殺し節」に使用されたもので、もちろん今回が初パッケージ化という幻の名曲でした。
一転して「02」は蠢くベースにワウワウのエレキギター、ハイハットが激烈なドラムスが炸裂する大ファンクロック! ミュートトランペットも鋭く、フルートは神秘的で、こんな変幻自在のスコアを書いた鏑木創は、本当に偉い人だと思います。
そして「03」の荒木一郎も負けじと凄く、完全に和のテイストからラテンフュージョンに持っていく荒業が強烈です。曲は「Fly Me To The Moon」を歌謡曲で煮〆したような琴線にふれるものですし、ガットギターのアドリブソロが最高ですね。ブラスとパーカッションのスパイスも効いていますし、ストリングスのアレンジも流石です。「15」の別バージョンも素敵♪
さらに「05」もジャズテイストが強い快適なインストで、生ピアノがセルジオ・メンデス風なのが泣かせます。
「06」は荒木一郎が十八番のボサノバ歌謡♪ ストリングスのアレンジも最高に昭和40年代していて、私なぞは落涙です。これが時代劇ポルノのサントラとは思えないでしょう♪ その作品の主役として欧州から呼ばれた女優のサンドラ・ジュリアンが歌った「07」も素晴らしくローファイなボサノバ歌謡曲で、彼女の日本語が魅力的です。ちなみに、デジパック仕様のCDの中ジャケでは彼女の美しいヌードが拝めます♪
ところがそんな甘いムードをブッ飛ばすのが「08」のニューロック大会です。ジミヘン風のギターにチープなサックス、ドカドカ煩いドラムスが憎めません。
そして、またまた雰囲気がガラッと変わるのが「09」の、パヤパヤコーラス♪ 8ビートのイナタイ部分が♪
さらにそのノリを受け継いだのが「10」の擬似フュージョンで、全体に失速しそうになったり、ふらついたりという演奏は笑えますが、実は計算づくじゃないでしょうか? 鏑木創ですからねぇ♪
「12」と「13」も強烈なファンクフュージョンで、間違えて歌謡曲をやってしまった雰囲気が最高です。特に後者は烈しい4ビートとフリーが交錯して、一瞬、キング・クリムゾンになりかかっています。
さて「11」は再び、池玲子の歌ですが、湿っぽさが出過ぎたようで??? それよりも「14」がレコードと歌詞もアレンジも違う別バージョンなのが嬉しいところでした♪ この2曲のカラオケが入っているのにもニヤリとさせられます。
そして「16」のシンミリモードで、余韻を残すという上手い編集が良いですねぇ♪
ということで、私のような者には車の中で必須のアイテムです。願わくば映画本編の国内DVD復刻を願っています。
と、まあ、完全に散財モードに入っている私ではありますが……。