今日もまた、ジャズモードに入れません。
なんとか、しなけりゃなぁ……。
でも、そんなにしてまでジャズを聴く必要が、サイケおやじにはあるのか?
と自問自答しつつ、聴いたのがこれです――
■Piano Solo / Thelonious Monk (Swing / Vogue)
孤高のピアニストという呼び名が本当に相応しいのが、セロニアス・モンクでしょう。
いまでこそ、その音楽性は違和感が薄れていますが、リアルタイムの1950年代ではバリバリの前衛で、同業者ですら、その真相を理解しかねていたようです。
もちろん一般的な人気とは無縁で、吹き込んだレコードは原盤制作費すら回収出来ないほど、売れていませんでした。
しかも自分に全く関係の無いトラブルから、ニューヨークでの生演奏が出来なくなり、極貧の生活に甘んじていたそうです。
そんな中で幸運だったのは、フランス人ピアニストのアルリ・ルノーとの出会いで、この人の口利きでフランスのジャズ祭に出演できたことでしょう。ただし、ベースとドラムスが現地のミュージシャンだったこともあって、全くウケなかったそうです。
しかし、その繋がりで、このアルバムの録音が残せたのは、僥倖としか言えません。
録音は1954年6月7日のニューヨークで、パリから帰国して直ぐのことですが、当時のセロニアス・モンクはプレスティッジと契約していたのですから、そのあたりの違反行為はどうやってクリアしたのでしょう?
それはさておき、内容はソロピアノで演奏された代表作とスタンダードの計8曲入った、オリジナルは10インチ盤です――
A-1 Round About Midnight
A-2 Reflections → Evidece
A-3 Smoke Gets In Your Eyes
A-4 Well You Needn't
B-1 Porirait Of An Ermite → Reflections
B-2 Manganese → We See
B-3 Eronel
B-4 Off Minor
それが上記の演目ですが、原盤ジャケットには曲名が誤記されていますので、ここで訂正しておきます。
で、その内容は、まずド頭の「Round About Midnight」があまりにも有名なセロニアス・モンクのオリジナルながら、初めて聴くと、その拙いピアノ演奏に仰天するでしょう。もちろん意図的にやっている、と思いたいのですが、それにしても……。
実は個人的に、このアルバムはセロニアス・モンクの諸作中では後で聴いた1枚なので、特有の不協和音とかリズム外しという世界観には馴染んでいたはずなんですが……。
それは2曲目の「Evidece」でも同様で、何もここまで、しなくても??? これじゃ、ウケ無いわけだぁ、と独り納得の演奏です。
しかし3曲目の「Smoke Gets In Your Eyes / 煙が目にしみる」で、ジワジワッと心が和みます。一般にはプラターズのコーラスで有名なスタンダード曲なので、オリジナルのメロディを知っていることもありましょうが、この無限大に広がる哀愁とせつなさには、心底、良いなぁ~♪ と感涙してしまいます。
そして、これあればこそ、このアルバムが愛しいという中毒盤になるのでした。
つまり後は一気呵成というか、セロニアス・モンクの術中にはまって呻く他は無し!
B面では最初の「Reflections」が素晴らしく泣けてきますし、「Eronel」はオリジナルながら、あまり再演が無いので貴重です。もちろん不協和音の大嵐ですが♪
ということで、あまり素直に聴いたアルバムではありませんが、自身をジャズモードに持っていくためには必須という、いやはや、素直で無い自分に呆れています。
さあ、これからELOを聴こう!