明日は、いよいよ新車が入る予定です♪
ワクワクするなぁ~♪ 初めてのデート前日の気分です。
ということで、本日はモロにジャズな1枚を――
■The Modern Jazz Sextet (Norgran / Verve)
ジャズ界で一番有名なグループは、おそらくモダンジャズ・カルテット、通称MJQでしょう。
で、そのメンバーの内の2人が参加したのが、このモダンジャズ・セクステットですが、レギュラーのバンドでは無く、ヴァーヴお得意のジャムセッションから作りあげたアルバムを発売する際に、リアルタイムで人気絶頂だったMJQにあやかろうとした、シャレではないでしょうか? 憎めません。
録音は1956年1月12日、メンバーはディジー・ガレスピー(tp)、ソニー・ステット(as)、ジョン・ルイス(p)、スキーター・ベスト(g)、パーシー・ヒース(b)、チャーリー・パーシップ(ds) という、実は全員が過去に、ディジー・ガレスピーのバンドに雇われていた者ばかりという因縁も楽しいところです――
A-1 Tour De Force
ディジー・ガレスピーの代表的なオリジナル曲で、「はなれ技」という意味がからして、急速テンポで演じられることもありますが、ここでは1956年というハードバップ期に相応しいネバリのあるテンポとファンキーなムードが横溢しています。
まずテーマ部分からメリハリのあるユニゾン演奏が素晴らしく、リズム隊はグルーヴィ!
そしてアドリブに入っては、ソニー・ステットが最初っから大ハッスルの倍テンポ、タメを効かせたキメのフレーズ、さらにツッコミの鋭さで熱気を放ってば、続くディジー・ガレスピーも緩急自在! これぞビバップというエキセントリックな部分を押さえつつ、和み優先のソロが逆に強烈ですし、ここぞっ、で爆発するハイノートとエグイ音選びが最高です♪
またジョン・ルイスは自分のバンドであるMJQと何ら変わらないマイペースで押し切り、スキーター・ベストは正統派ジャズギターの奥義を聴かせてくれます。う~ん、このセンの細さが、逆にクセになりますねぇ~♪ チャーリー・パーシップのブラシも、良い感じです。
A-2 Dizzy Meets Sonny
タイトルどおり、初っ端からエキセントリックなリフの応酬あってアドリブパートに突入して行く、アップテンポの激烈ハードバップです。
しかもソニー・ステットが、本性を現したと言うか、何時も以上にチャーリー・パーカー(as) のフレーズとノリを多用しています! なにしろ相手は天才で、ソニー・ステットもその系列にあると断定されることから、普段は意識的にパーカーフレーズを避けようとするのが、ソニー・ステットの個性と良さだったんですが、実はここまでチャーリー・パーカーをやってくれると、逆に凄み満点! 嬉しくなります♪
その所為でしょうか、ディジー・ガレスピーが、これまた凄く、並外れた全力疾走は痛快です!
しかし続くジョン・ルイスがオトボケです。多分、意図的でしょうねぇ、ここは聴いてのお楽しみ♪
そして全体を盛り上げているのが、チャーリー・パーシップの限りなくハードバップなドラムスです。全くここでの頑張りは、セッションが成功した要因でしょう。
またクライマックスでのディジー&ソニーの掛け合いが、もう最高です♪
B-1 Ballad Medley
ヴァーヴと言うよりも、このレーべルのプロデューサーであるノーマン・グランツが十八番にしているバラード・メドレーは、セッション参加メンバー各々にスポット当てる好企画です。
まず最初にソニー・ステットが「Old Folks」を情熱的に吹いてくれますから、否が応でも気分が高揚したところへ、ジョン・ルイスが淡々と「What's New」を弾き、最後にディジー・ガレスピーが「How Deep Is The Ocean」をシミジミモードで演奏するという、和みの3連発♪ 本当にたまりません♪ 特にディジー・ガレスピーはハードボイルド味が強い好演だと思います。
B-2 Mean To Me
洒落た雰囲気のスタンダード曲が、ここではリラックスしつつもハードバップに解釈されています。まずはテーマ部分でのディジー・ガレスピーとソニー・ステットの絡みからして、ノリが素晴らし過ぎ♪
もちろんアドリブパートでは、いきなりディジー・ガレスピーが伝家の宝刀というハイノートのツッコミ! そして和みのタメで絶好調ぶりをアピールしていますし、ソニー・ステットも負けじと烈しいソロを聴かせてくれます。あぁ、こんなに痛快なアルトサックスは、ちょっと他では聴けないですねぇ~♪ 意識的に入れてくるチャーリー・パーカー丸コピーのフレーズも、憎めません。
またジョン・ルイスが、完全にMJQのマナーで快調ですが、実はベースのパーシー・ヒースがMJQでの同僚ですから、さもありなんの楽しさです。
B-3 Blues For Bird
さてオーラスはタイトルどおり、バードこと、チャーリー・パーカーに捧げたハードバップのブルース大会です。
なにしろ初っ端からディジー・ガレスピーとソニー・ステットがキメのフレーズで咆哮し、ジョン・ルイスが限りなくブルースにどっぷりなピアノでムードを設定していく展開が、たまりません♪ けっこう哀しい雰囲気です。
続くスキーター・ベストのギターからも良いブルースのフレーズを連発されますし、ほどよい重さのドラムスとベースが流石だと思います。
そしてディジー・ガレスピーが、黒いっ! ニューオリンズ系の味で迫れば、リズム隊が瞬間的にそれに合わせるというあたりも最高です。
さらにソニー・ステットが、ここでも意識的にチャーリー・パーカーの役を演じてくれますから、例えそれがデッドコピーだとしても、素直に感動して、許されるでしょう。やっぱりジャズは最高です♪
ということで、単なるリラックスしたジャムセッションでは無く、これは間違い無くハードバップの名盤です。特に力強いビートを送り出すチャーリー・パーシップの頑張りは、特筆されるべきでしょう。
また、ちょっと違和感があるようなジョン・ルイスの存在が、逆に印象的ですし、地味なスキーター・ベストが意外に良いです!
もちろんソニー・ステットとディジー・ガレスピーが主役ではありますが、こういう脇役を選んで使うあたりに、プロデューサーのノーマン・グランツの手腕を感じてしまうのでした。
ジャズらしいジャズとして、絶対のオススメ盤ですよ♪