最近、ヤフオクで一喜一憂していますが、外国ではジミヘンのギターが1900万円以上で落札したとか! 私もお金があれば参入したいところですがねぇ~。深入りすると怖ろしい世界ですから……。
私は、こんな復刻盤で歓喜しています――
■Complete Quintet Rceordings / Earl Bostic (Lonehill Jazz)
アール・ボスティックはR&B畑のサックス奏者という認識で間違いは無く、ジャズ者にとっては、自分のバンドに駆け出し時代のジョン・コルトレーンを雇っていた事で有名な存在でしょう。
しかしその前はライオネル・ハンプトン楽団の看板プレイヤーであり、ビバップ系のアドリブも得意としていた、ある意味では黒人音楽の最先端でブッ飛んでいた人です。
また独立後の自分のバンドにはベニー・ゴルソン(ts) やスタンリー・タレンタイン(ts) 等々を雇い入れており、その他にも多くのタフテナー人脈を育てています。
で、このCDは1960年代前半にキングレーベルから発売された「Jazz As I Feel It」と「A New Sound」という2枚のLP音源を復刻したもので、内容は普通のジャズにとても近くなっています。
それはセッション参加メンバーにも秘密があり、なんとリチャード・グルーヴ・ホルムスとジョー・パスが全面的に参加しているのです! もう、この事実だけで、私は昔っから聴きたくてたまらなかったアルパムでした。
CDタイトルの「Complete Quintet Rceordings」も、つまりはボスティック、ホルムス&パスの3者が揃い踏みしたクインテット・セッションを網羅したものという意味でしょう――
01 Don't Do It Please
02 Ten Out
03 Telstar Drive
04 Taste Of Fresh Air
05 Hunt & Peck
06 Fast Track
07 Apple Cake
以上の7曲は「Jazz As I Feel It」からの復刻音源で、愕くなかれ、リアルステレオのマスターが使われています♪
録音は1963年8月13&14日、メンバーはアール・ボスティック(as)、リチャード・グルーヴ・ホルムス(org)、ジョー・パス(g)、ヒューバート・グレゴリー(b)、ジミー・ボンド(b)、シェリー・マン(ds)、チャールズ・ブラックウェル(ds) という、本格派揃いです。
演奏では、まずド頭の「Don't Do It Please」がアップテンポで物凄い熱さです。痺れるような感覚のアール・ボスティックのアルトは、「力み」もほどほどですが、そのシャープなブローは、間違いなくチャーリー・バーカー直系のスピードに満ち溢れています。
またジャズっぽさで言えば、2分32秒目からのドラムスとの対決で激しさは頂点となり、終いにはアルト対ドラムスの直接対決という過激な展開になっていきます。
他にも「Telstar Drive」や「Taste Of Fresh Air」の猛烈な勢いは明らかなスピード違反ですし、「Apple Cake」のグルーヴィな雰囲気も最高です。
そしてもちろん、「Ten Out」や「Hunt & Peck」におけるキャバレー&ナイトクラブ風のノリは、現代のクラブシーンでも充分に使えるのではないでしょうか♪
気になるリズム隊の組み合わせは、トラック1、4&5がジミー・ボンドとチャールズ・ブラックウェルのコンビで、他がヒューバート・グレゴリー&シェリーマン組になっています。
そしてジョー・パスの上手さは、この頃から普遍というか、厚みのあるコード弾きの伴奏、オクターブ奏法や細かいオカズの入れ方等々、素晴らしいと思います。さらにリチャード・ホルムスもR&Bとジャズの中間を行くスタイルで熱演しています。
個人的には熱っぽい「Fast Track」が最高に好きですが、全篇にアール・ボスティックの浮かされたような熱気が充満していますよ♪
08 Blues For The Ivy League
09 Touchstone
10 Que Jay
11 Woodchuck
12 Chicken Little
13 Nina
14 Inquiry
15 Karen
16 Empathy
17 Wednesday's Child
上記の10曲が「A New Sound」の復刻で、こちらはモノラル仕様ですが、多分、初CD化でしょう。
録音は1963年9月、メンバーはアール・ボスティック(as)、リチャード・グルーヴ・ホルムス(org)、ジョー・パス(g)、アル・マッキボン(b)、ジミー・ボンド(b)、アール・パーマー(ds) という、こちらも錚々たるメンツです。
演奏内容は、よりハードバップ色を強くなり、加えて何故か、西海岸風の洒落た感覚もあるという、摩訶不思議な仕上がりになっています。
その所為か、ジョー・パスのハッスルぶりが凄く、またリチャード・ホルムスのオルガンも涼しくなったり熱くなったりの変幻自在ぶり! アール・パーマーのドラムスもニューオリンズのビートを入れたりして快適です。ちなみにこの人は、当時のスタジオ系ドラマーではトップだった名手ですから、要注意です。
肝心のアール・ボスティックは、前のセッションに比べて軽めの音色とノリですが、逆にジャズメンとしての真価というか、正統派ビバッパーとしての実力を発揮しています。
ということで、2つのセッションは色合が違いますが、個人的には前半の7曲が絶対のオススメです。もちろん後者も捨てがたいのですが……。まあ、このあたりは、その日の気分しだいかもしれません。「Inquiry」あたりの軽快でありながら、段々と脂っ濃く吹いてしまうところなどは、憎めませんねぇ~♪
ジョー・パスのファンにも激オススメの1枚です。リマスターも良好♪