OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

燃えるぜっ!

2006-02-08 14:57:40 | Jimi Hendrix

今日は夕方から仕事での大一番が控えているので、絶対にこれを聴いてテンションを高めようと決めていました。

また本日から、ちょっと書き方を変えてみました。と言うか、敬愛するジミ・ヘンドリクスのアルバムなので、書いているうちにそうなったわけですが――

Jimi Hendrix : Blues (MCA)

ジャズにおいて誰も乗り越えられないのがチャーリー・パーカー(as) だとしたら、ロックの世界ではジミ・ヘンドリクスでしょう。これは単に楽器奏者としての腕前だけでなく、その生き様、音楽に対する姿勢、さらに後々への影響等々、いろいろな角度から検証してみても、断言出来ると思います。

等と、本日も独断と偏見に満ち溢れた書き出しですが、実際、ジミヘンが演じて残した全ての音源には、聴く度に圧倒されます。しかもチャーリー・パーカーと同様、この人もまたドラッグの悪影響で道半ばで早世、しかも残された音源は次々に発掘されているという、ファンならば感涙の世界にいる天才です。

したがってジミヘンなどと軽々しく呼んではならない人なのですが、私の世代では憧れと畏敬の念、そして親しみをこめて、あえてジミヘンと呼ぶことをご理解願います。

で、そのジミヘンが残した音源の中からブルースに関するものに的を絞って編集したアルバムが、今回ご紹介のCDです。もちろん内容は既発と未発表の混ぜ合わせですが、黒人としてはややブルース味が希薄だと言われていたジミヘンの、それに対するアプローチが存分に楽しめます。その内容は――

01 Hear My Train A Comin' (録音:1967年12月19日) 
 ジミヘンが生ギターだけで弾き語る有名なプロモ・フィルムからの音源です。これは映像が色々なDVDで復刻されていますので、そちらもご覧下さい。

02 Born Under The Bad Sign (録音:1969年12月15日)
 このアルバムが初出となる演奏で、メンバーはジミヘン(g,vo)、ビリー・コックス(b)、バディ・マイルス(ds) からなるバンド・オブ・ジプシーズによるスタジオ録音です。元曲はご存知、アルバート・キングの大ヒットですが、同じ左利きの黒人ギタリストということで、そのあたりを意識したのでしょうか? ジミヘンにしては、やや煮え切らない演奏です。しかしそれでも真似出来ないエモーションが渦巻いていますよ♪ ちなみにほとんどが演奏パートばかりで歌が出ないのが残念……。

03 Red House (録音:1966年12月13日)
 あまりにも有名なジミヘン自作のブルースですが、ここに収められたものがオリジナル・バージョンです。メンバーはジミヘン(g,vo)、ノエル・レディング(b)、ミッチ・ミッチェル(ds) からなるエクスペリエンスで、演奏は素晴らしいの一言に尽きます。
 で、この曲の初出は1967年5月にイギリスで発売された1stアルバムですが、それがアメリカで発売された時には、なんとこの曲が外され、その後、ベスト盤に入れられた時には別バージョンに差し変えられていたのです。さらにそれがCD化の際にもそのまんまになっているというわけで、もちろん両方が大名演なのですが、個人的にはこのオリジナル・バージョンの方が、ジミヘンのエモーションナルな掛声なんかがあって、好きです。

04 Catfish Blues (録音:1967年11月10日)
 オランダでのテレビ出演からの音源で、メンバーはエクスペリエンスです。オリジナルは黒人伝承のブルースですが、多くの黒人ブルースマンが改作して取上げており、その意味ではこのバージョンもそのひとつというわけです。その演奏は粘りつくような前半のノリから過激な中盤のインスト・パートを経て、ミッチ・ミッチェルのドラムソロ、さらにジミヘンのサイケフレーズが爆発する大団円と、見事な展開を聞かせてくれます。もちろんブルース味は希薄で、全篇がロックしていますよ♪

05 Voodoo Chile Blues (録音:1968年5月2日)
 このCDが初出の音源で、メンバーはジミヘン(g,vo)、ミッチ・ミッチェル(ds) に加えてトラフィックのスティーヴ・ウィンウッド(org) とジェファーソン・エアプレインのジャック・キャサデイ(b) というオールスターによる、大ブルースロック大会が満喫出来ます。もちろん名盤「エレクトリック・レディ・ランド」の没テイクですから、悪いわけがありません。スローな展開の中に情念を吐露するジミヘン、共演者もそれを良く理解したサポートに徹しているところが潔いと感じます。

06 Mannish Boy (録音:1969年4月22日)
 これも初出で、演奏メンバーはバンド・オブ・ジプシーズです。アップテンポの展開の中でボーカルとユニゾンでキメのフレーズを吐き出すジミヘンは。私が最も好むところです。バディ・マイルスのドラムスもワイルドにノッています。う~ん、それにしてもジミヘン、余裕で荒業を繰り出している様が凄すぎます。こんなにギターを弾けたら、楽しい限りでしょうねぇ~♪

07 Once I Had A Woman (録音:1970年1月23日)
 これも前曲と同じく、バンド・オブ・ジプシーズによる未発表曲です。スローな展開でジミヘンが気だるいギターをたっぷりと聞かせてくれますが、誰かさんのハーモニカが加わっているのがミソです。ドロ~ンとしたジミヘンのボーカルも味の世界♪

08 Bleeding Heart (録音:1969年3月18日)
 一応、ここが初出となっていますが、海賊盤では比較的有名な名演でした。メンバーは不明ながら、ミッチ・ミッチェルの参加は確実でしょう。もちろんスタジオ録音で音質も良好、鋭いジミヘンのギター&ボーカルが楽しめます。

09 Jelly 292 (録音:1969年5月14日)
 これも初出とはいいながら、海賊盤では知られていた演奏で、スタジオでのジャムセッションです。参加メンバーはジミヘンの他にスティーブン・スティルス(p)、ジョニー・ウインター(b)、ダラス・テイラー(ds)という豪華オールスターズとされておりますが、真偽のほどは不明です。肝心の演奏はジミヘンが激しく燃えまくり♪ 最初から最後まで強烈なジミヘン節が炸裂するギターが楽しめます。発狂寸前!

10 Electric Church Red House (録音:1968年10月29日)
 エクスペリエンスにバディ・マイルス(ds) とリー・マイケルズ(org) が加わった演奏で、もちろん原曲は「Red House」と同じですが、これも凄いバージョンです。エレキベースはブリブリ蠢くし、オルガンはヒーヒー泣きます。もちろんドラムスはビシバシ! そしてジミヘンのギターはボーカルと一体になって激しくコール&レスポンスを展開してクライマックスに突進していくのでした。やや予定調和的ではありますが、余人には真似の出来ない演奏だと思います。

11 Hear My Train A Comin' (録音:1970年5月30日)
 初っ端に収められた同曲のライブ・バージョンで、もちろんエレキがピンビンです。メンバーはジミヘン(g,vo)、ビリー・コックス(b)、ミッチ・ミッチェル(ds)、名演とされるバークレイ・シアターにおけるファースト・ショウからの音源ですから、もう最高です。ブルースなんですが、全くのロックですね、これはっ♪ こんな激しく情念を爆発させるギタリストは他にいません! 爽快! こんなん生で体験したら……、う~ん、恐くて書けません。

ということで、これはジミヘンのブルースアルバムのはずが、演じている中身は完全にロックです。否、ジミヘンの残した音源は、どんなものでも不滅の価値があるわけですが、それが如何にひとつのジャンルに括ることが出来ないか、はっきりと感じてしまいます。

皆様にはぜひとも聴いていただきたいのは、この作品だけでなく、ジミヘンの全てなのです。

さあ、これからが正念場!

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基本!

2006-02-07 18:44:39 | Weblog

基本を大切にすることが、良い仕事に繋がる! 本日、そんな説教をしてしまった私は、次の瞬間から恥かしさに身も縮む思いです。そこで基本を大切にしたアルバムを――

Jazz At Massey Hall / The Quintet (debut)

ジャズの真髄を極めるにはチャーリー・パーカー(as) を聴くしかない! というのが、私の結論です。もちろんチャーリー・パーカーとは、1940年代にビバップという全く新しいジャズを作り出した天才黒人アルトサックス奏者で、以降、あらゆるジャズメンはパーカーの影響から脱していませんので、私の考えもあながち暴論でも無いはずですが、しかし、パーカーを聴くことは、なかなか容易ではありません。

それは残された録音の多くがSPフォームの3分程度の演奏であり、当然、音も現代感覚からして良いとは言えません。またパーカーは30代で早世したので、スタジオ録音が少なく、それゆえに没テイクまでもが貴重な世界遺産になるほどですが、同時に劣悪なライブ音源が膨大に残されているという、嬉しくもジャズファン泣かせの天才です。

当然、アルバム単位で作られた作品など無く、LPやCDになっているものは、寄せ集めの編集盤ということです。しかし、その中で唯一、アルバムを意識して発表されたのが、今回ご紹介のライブ盤です。

メンバーはディジー・ガレスピー(tp)、チャーリー・パーカー(as)、バド・パウエル(p)、チャールズ・ミンガス(b)、マックス・ローチ(ds) というオールスターズで構成された文字通りの「ザ・クインテット」で、録音は1953年5月15日、カナダのマッセイ・ホールにおけるコンサートからの音源です。

ちなみにこの録音はギャラで揉めたミンガスが、白人によるピンはね分を後日に回収しようと目論んだという噂がありますし、実際、発売したデビューというレーベルは、ミンガスとマックス・ローチが設立とたレコード会社なのです。

また、当日はお客の入りが悪く、盛り上がりを心配したパーカーがお客といっしょに酒を飲んで演奏していたというエピソードも残されています。

肝心の演奏は、特にリズム隊が素晴らしく、中でもバド・パウエルの出来は上々♪ ガレスピーも凄さを披露しますが、パーカーはまあまあというところでしょうか……。しかしそれでさえ、余人は足元にも及ばぬ天才性を発揮しています。

ところで曲それぞれに触れるまえに、このアルバムの構成ですが、私の持っているアナログ盤LPと後に出たCDでは、アナログ盤で言えばAB面が逆転しています。どうやらCDはコンサートと同じ曲順に拘ったようなので、ここでもそれに従ってみることに致します。

で、1曲目の「Wee」はアップテンポの激烈な演奏で、テーマが終わった瞬間からパーカーが猛烈な勢いでぶっ飛ばします。この勢いがパーカーだけの天才性の証明です。しかもモダンジャズのオフ・ビート・リズムに対するアドリブメロディのノリが緩急自在で、それが独特のドライブ感に繋がっているわけです。それはガレスピーも同様ですが、このリズムに対するアプローチがパーカーに比べると、やや一本調子……。しかしそれでも素晴らしい演奏です。

そしてさらに続くパウエルが物凄い勢いです。このエキセントリックな表現は、パウエルもまた天才! という他はありません。またマックス・ローチの興奮度の高いドラムソロも最高で、実は私が初めて聴いたローチの演奏がこれでした。そして「なんだ、メル・テイラーにそっくりだなぁ」なんて不遜なことを思ったりしたのですが、もちろんメル・テイラーとはベンチャーズのドラマーで、それは影響が反対というのが真相です。まあ、そんなこともあって、このアルバムは一気に親しみ易いものになりました。

2曲目の「Hot House」もビバップを代表する名曲で、コード進行をスタンダード曲から流用しているために、アドリブパートではセンスの良いメロディ感覚が要求されるわけですが、先発でソロを聴かせるパーカーは全く余裕の演奏♪ わざとハズしたような出だしからダブルテンポのフレーズへ楽々と展開させていくあたりの何気なさは、最高です。ただ全体の構成がその繰り返しなので、初めてパーカーを聴く皆様には??? かもしれません。

しかしここで凄いのがガレスピーです。ハイノートを効果的に使って盛り上げ、さらに楽しい歌心も披露してファンを魅了します。

3曲目はお馴染みの「チェニジアの夜」で、ブレイクでお約束のパーカー・フレーズが飛び出していますが、続くソロパートでのパーカーの物凄さ! 音の跳躍力と瞬発力は流石です。またそれを煽るマックス・ローチのポリリズム的なドラムスにも気持ち良くノセられてしまいます。もちろんここでのガレスピーも強烈で、生涯の名演のひとつだと思います。そしてバド・パウエル! 何も言えない……。

4曲目の「Perdido」はデューク・エリントン楽団で有名なヒット曲ですが、モダンジャズでも頻繁に取上げられる定番ということで、全員が十八番のリックを出しまくり♪ パーカーがリラックスした中にもテンションの高いフレーズを繰り出せば、ガレスピーは歌心と遊び心のバランスが絶妙なソロを聴かせます。マックス・ローチのドラムスの快適さも言わずもがなで、パウエルも独特のマイナーコードを用いて素敵です。

そして次が強烈な「Salt Peanuts」です! これぞビバップという猛烈なドライブ感とスピードに満ちたエキセントリックな曲調が、「ソルトピーナッツ」という茶化した掛声で中和され、アドリブパートで再び昇天していくという狙いがありますが、なにしろここでのパーカーは筆舌に尽くしがたい猛烈さがあります。こんな演奏は人間技ではありません!

続くガレスピーも強烈ですし、さらにはパウエルまでもが神がかりという圧巻の出来ですから、もう絶句です! おそらく当夜の最高の演奏が、これです。

この興奮を鎮めてくれるのが、最後の「All The Things You Are」ですが、これは当日の演奏ではなく、さらにピアニストも交代しているらしいのですが……。それゆえか、なんかピアノだけが別キーで弾いているように感じます。全体のソロも、これ以前に比べて低調な雰囲気……。まあ、それもアルバムの編集意図ということでしょうか?

ちなみにこのアルバムが発売されるにあたり、チャールズ・ミンガスが自分のベースパートだけオーバーダブしたのは有名な逸話です。また曲そのものも多少の編集があり、元々のオリジナルテープをCD化した日本盤も、以前出回りましたが、まずは初回発売のバージョンを聴けば満足すると思います。

で、肝心のチャーリー・バーカーについて、その真髄はここで聴かれるようなものではありません。もっともっと強力な演奏が膨大に残されております。しかし聴き易さというか、モダンジャズ入門も含めて、まずはこのあたりから徐々にパーカーの凄みに触れていくのもひとつの道かと思います。

贔屓の引き倒しかもしれませんが、実はこの演奏があった当時、ビバップは白人ジャズにそのエッセンスを持っていかれ、結局、大衆に受けないまま下火になりかかっていました。しかしモダンジャズのひとつの完成性としての価値は充分あるはずです。

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熱血!

2006-02-06 17:56:38 | Weblog

今日はちょっと良いことがあったので、生きる希望が湧いてきたと大袈裟に言い放ちます♪

まあ、たいした事では無いんですが、ここはひとつ、熱くなる演奏を聴いてみましょうか――

Phil Woods at the Montreux Jazz Festival (MGM)

1960年代後半から始まるジャズの不遇時代、多くのジャズメンは本場アメリカで仕事に恵まれず、しかもそれは大物であればあるほど、そうだったのですから救いがありません。そこで欧州に活動拠点を移した者もいれば、スタジオの仕事に生活の糧を求めていく者、あるいは引退同様に故郷に隠棲する者等々、道半ばにして針路変更を余儀なくされたジャズメンが大勢いたのです。

フィル・ウッズ(as) もそうしたひとりで、白人でありながら1950年代からチャーリー・パーカー(as) に傾倒し、その奥義を究めんと奮闘していたのですが、1960年代に入るとリーダー盤を作る機会もめっきりと減り、ほとんどがスタジオでの仕事という有様だったようです。

しかしジャズへの情熱は断ち難く、ついに1968年、渡欧したのです。そしてそこで邂逅したのが、ヨーロピアン・リズム・マシーンと命名したリズム隊、つまりジョルジュ・グランツ(p)、アンリ・テキシェ(b)、ダニエル・ユメール(ds) という熱血トリオ♪ すぐさま製作されたのが、超人気名盤「フィル・ウッズ&ヨーロピアン・リズム・マシーン (Patha)」というわけです。

その素晴らしいアルバムには、ウッズのジャズへの熱い想いがたっぷり詰まっていたわけですが、実際のライブ活動においても、それがどこまでも際限なく表出されていたという証明が、今回ご紹介の作品です。

録音は1969年6月19日、スイスのモントルー・ジャズ祭での演奏です。

まずA面は紹介アナウンスの後、ド迫力の「Capricci Cavallereschi」でスタート! いきなりパワー全開のウッズと強烈な波動を伴ったリズム隊の爆発力に圧倒されます。やや直裁的な表現ですが、ザーメンが濃そうなウッズのアルトサックスのウネリと先鋭的なバンド全体のノリが強烈です。それはモード&フリーなパートも含んでおりますが、ハードドライブな演奏はジャズの本質や伝統を蔑ろにはしていませんので、安心して身も心もまかせて楽しめます。サイドメンのソロではアンリ・テキシェがお約束のエスニック風味のベースソロを聞かせてくれますよ♪

そして続く「I Remember Bird」は、タイトルどおり、チャーリー・パーカーに捧げたグルーヴィな大名演です。ミディム・テンポでソウルフルに始まるテーマから、チャーリー・パーカーのフレーズを引用しつつ豪快に吹ききるウッズは、まさに白熱のプレイ! この出来上がり方は凄いの一言です。リズム隊とのコラボレーションも自在のテンポ、鋭いツッコミの応酬、さらにジャズ本来の楽しさの追求まで含めて、完璧です!

この最高のノリはB面に入ってますます加速し、クールな曲調の「Ad Infinitum」ですら、暴虐の嵐の中で展開されるのです。押さえようとしても押さえきれない熱いエモーションに支配されたバンドは、暗い情念を秘めつつクライマックスに突進していきますが、ここではジョルジュ・グランツのピアノが特に秀逸です♪

さらに凄いのがオーラスの「Riot」で、作者はご存知、ハービー・ハンコックというジャズの名曲ですが、それをタイトルどおり、激烈に演じるバンドは神がかっています。特に初っ端から大暴走するウッズとダニエル・ユメールのデュオ・パートは怖ろしい! フリーもロックも超越したジャズの瞬間芸が満喫出来ます♪ そしてそこへピアノとベースが襲い掛かっていく瞬間には観衆も興奮の大嵐! ここから、もうひとつ上の爆裂が始まるのですから、最高です!

と、思わず力が入ってしまうのが、このアルバムです。フィル・ウッズのアルトは鳴りすぎが欠点とよく言われますが、ここではそれが吉と出ています。あぁ、何度聴いても、興奮しますねっ♪

ちなみにバンドからは、この直後にジョルジュ・グランツが抜けてしまいますので、オリジナルメンバーでの貴重な録音という側面もあります。全体に激しい演奏なので、お茶の間には適さないかもしれませんが、そこはヘッドホーンという文明の利器もありますし、ジャズ者ならば一度は聴いておく演奏と、断言致します。熱くなりますよ♪

もちろん現在CD復刻されていますが、近々廃盤の噂がありますので、入手は急ぎましょう。

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真冬に海パン

2006-02-05 19:20:58 | Weblog

またまた激しい雪になりました。春は本当にやってくるんでしょうか? こんな時は熱いボーカルを聴きます。例えば――

Slow Dancer / Boz Scaggs (Sony)

ロック黄金期のイメージといえば、男の長髪だと思いますが、それがいつしか短めに戻ったのは、おそらくAORが流行した1970年代後半からだと思います。

そしてそのきっかけは、ボズ・スキャッグスの大ブレイクでしょう。永遠の名盤「シルク・ディグリーズ」は、音楽に止まらず、その後の世相にまで影響を与えたわけですが、実はその直前に、とても素敵なアルバムを出していました。それがこの作品です。

しかしジャケットが酷いですねぇ。海パン一丁で砂浜をトボトボ歩くボズ……。全然、ロックしていません。否、実はそれで良かったのです。なんと中身は極上のブルー・アイド・ソウル!

なにしろプロデューサーがモータウンのスタッフ・ライターだったジョニー・ブリストルですから、ここでもその味が非常に強く、そこへ青白い声質に黒い節回しの歌いっぷりというボズの特質がズバッと急所に命中した仕上がりになっています。

まずA面1曲目の「You Make It So Hard / つのる想い」が、まったく西海岸モータウンサウンドで、心ウキウキ♪ 重厚なブラスとモータウン伝来のリズムパターン、弾ける女性コーラス、そして楽しいメロディが最高に上手く混じり合った傑作です。ボズの歌いっぷりも完全にツボを掴んだ熱唱を聞かせます。

続く2曲目の「Slow Dancer」は、アルバムタイトルにしただけあって、メローな感触が横溢した、これも名曲です。流麗なストリングスが、せつないサビの展開をグッと盛り上げ、ほどよい女性コーラスが、これまた素敵♪ ボズも熱唱ですが、バックのリズム隊ではエレキベースが寄添うようにドライブするところが隠し味です。

3曲目の「Angel Lady」は一転してファンキーに迫り、これは次作アルバム「シルク・ディグリーズ」に直結する雰囲気です。ボズのボーカルとコーラスの絡みの上手さは、プロデューサーのジョニー・ブリストルが十八番のアレンジでしょう。

4曲目の「There Is Someone Eles / 愛を見つけて」は再びミディアム・スローの展開ですが、ストリングスとコーラスの分厚い音の壁、大技・小技を存分に披露するリズム隊に支えられて、ボズが思いっきり熱唱を聞かせます♪

そしてA面ラストはファンキー・ロックな「Hercules」で、作曲はニューオリンズのファンキー男、アラン・トゥーサンなんですから、たまりません。ただしここでは、重厚なストリングスとブラス、歯切れのよいリズム・アレンジを用いて、曲本来の野性味を中和したというか、都会的な味を強調してありますので、好き嫌いがあるかもしれません。

B面に移っては、初っ端の「Pain Of Love」がホワイト・ゴスペル丸出しの展開で、エルビス・プレスリーが歌ったらなぁ……、という思いも過ぎりますが、なるほどボスだってエルビスの影響からは逃れられないわけですから♪ ちなみにイントロのギターのフレーズが、私は最高に好きです。

続く「Sail On White Moon」もミディアム・スローな展開ですが、これがジョニー・ブリストルのオリジナルとあって、ボスというよりもジョニー・ブリストルの世界が全開しています。それは勿体ぶった節回しと内に秘めた情熱というところですが、それはソウル・ミュージックのひとつの魅力ですらか、ボズもその世界に必死に迫っています。

しかし一転してB面3曲目の「Let It Happen / 愛の始まり」はカントリー・フレイバーが漂う名曲です。これはボズとジョニー・ブリストルの共作ということで、絶妙なブルー・アイド・ソウル♪ 全体を通して聴くと、この曲だけがちょっと浮いているのですが、ボズの熱唱、バックのアレンジ等々は、間違いなく次のステップに直結していると思います。

おまけに次の「I Got Your Number」はゴスペル・ファンキーなんですから、もうたまりません♪ ただしアレンジが、今日の耳にはやや古臭く、このあたりが結果論からいうと、このアルバムがリアルタイムでヒットしなかった要員かもしれません。

そして締め括りがお洒落なスロー・ナンバー「Take It For Granted / 愛のあやまち」です。全体にアコースティックなアレンジが施されており、ボズの歌もほどよく力が抜けております。そこが物足りなくもあり、もっと聴いていたいというところで終わってしまうという、考えようによっては上手いラスト・シーンではありますが、CDならば、ここでA面トップにリピートすると、永遠に聞き飽きない名盤というわけです。

ということで、ジャケットと中身があまり上手くマッチしていない隠れ名盤がこれです。ご存知のように次作「シルク・ディグリーズ」がメガヒットとなった後、ジャケットを変更して再発されるのですが、私のようなオールド・ウェイブな人間には、通称「海パン」と呼ばれるジャケットの雰囲気も含めた、この作品の持つイナタサがたまらなく愛しいのです。たとえ真冬だろうと……♪

ちなみにバックの演奏はエド・グリーン(ds)、ジェームス・ギャドソン(ds)、ジェームス・ジェマーソン(b)、ジョー・サンプル(p)、ワー・ワー・ワトソン(g) 等々、書ききれないほどの名手が大勢参加しておりますので、名盤になるのも、ムベなるかなです。

まあ、とにかく聴いてみて下さい。なんか心が温まりますよ。

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何も聴けない1日

2006-02-04 18:45:25 | Weblog

いろいろとゴタゴタが重なって、今日はブログが書けません。というか、本日はなんにも聴いていないので、ご紹介が出来ないと言うのが本音です。

まあ、こういう日も年に何回かはあるというサイケおやじの生活の一端を、ご理解下さい。

しかし、悔しいので、これから何か聴こうかなぁ……。その時間があればですけどねぇ……。

とりあえず、本日はご容赦願います。

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日本の歌、日本のジャズ

2006-02-03 17:14:52 | Weblog

昨日に続いて東南アジアからのお客さんと仕事していますが、案外、日本の曲を良く知っている人で、どうやら母国ではカラオケで日本の歌を愛唱しているようです。

しかし日本の歌といえば、これですよね――

さくら さくら / 白木秀雄&スリー琴ガールズ (SABA)

ジャズはアフリカと欧州が奇跡的に融合したハイブリットな音楽で、それゆえにその後も様々な様式を貪欲に吸収して進歩・発展したわけですが、それなら日本独自のジャズがあっても良いだろうと、内外でいろいろな試みが行われています。

それらは成功よりも失敗の方が、残念ながら多いように感じますが、最終的にそれを決定するのは個人的な好みということで、今回はこれをご紹介致します。

メンバーは芸大出身の天才ドラマーである白木秀雄を中心に、日野晧正(tp)、村岡建(ss,ts,fl)、世良譲(p)、栗田八郎(b) という当時のクインテット、そして特別に加わった白根絹子、野坂恵子、宮本幸子という3人の美人琴奏者となっています。

録音は1965年11月1日で、実はこの編成による演奏は、その年のベルリン・ジャズ祭のための企画でした。そのテーマは「日本人による日本のジャズ」で、欧州の名プロデューサーであるヨアヒム・ベーレントのアイデアだったと言われていますが、そうなれば日本の祭りとジャズのビートの融合を狙った名盤「祭りの幻想」を吹き込んでいた白木秀雄クインテットに白羽の矢がたつのは当然というところです。

で、勇躍ベルリンに乗り込んだ白木秀雄一行の演奏は大きな話題を呼び、そのまま当地のスタジオで録音されたのが、このアルバムというわけです。

まずA面1曲目には、これぞ日本という「さくらさくら」が収められていますが、琴で演奏される基本的なメロディに白木秀雄がドラムソロで応戦するというアレンジになっており、他のジャズメンは加わっておりませんが、なかなか上手く纏まっています。

続く2曲目の「よさこい節」はモードを使った静謐なアレンジで、村岡建のソプラノサックスを中心に演奏されており、なんとなくスタンダードの「サマータイム」を思わせる展開になっていきます。世良譲の洒落たコードバリエーションは言わずもがな、栗田八郎のさり気無く小技をいれたベースワークも聞き逃せません。

A面ラストの「山中節」は再び琴を入れたアレンジでスタートし、村岡建がウェイン・ショーター風のテナーサックスでテーマをバリエーションする展開となり、アドリブパートでは一転してアップテンポの演奏となります。もちろんそこはモードを使った、当時のマイルス・デイビスあたりをお手本にしたものですが、全体にクールで熱いカッコ良さを狙っているようです。

ただし残念ながら、やや緊張感が強くてバンド全体のリズムが硬いのが勿体無いところで、日野晧正は熱血がやや上滑りしているようです。

しかしB面に入っては白木秀雄が十八番の「祭りの幻想」ですから、演奏もグッとヒートアップしています。もちろんここでも最初に琴が登場して日本のメロディをたっぷりと聞かせるというアレンジになっており、それが終わってから登場するテーマのジャズっぽい部分との対比が鮮やかです。さらにアドリブパートに入ってからも琴が魅惑のリフでそれに応酬するのですから、いやはやなんともの興奮度が高くなります。

それにしてもこの演奏を聴いていると、音楽を文章で表現する虚しさを感じますねぇ……。とにかく一度聴いて欲しいとしか、結ぶ言葉がありません。白木秀雄はかなりアート・ブレイキーのリックを用いていますが、それがアフリカにならず日本になっているのですから、たまりませんね。

そして次が、実はこのアルバムの目玉というか、後々まで日野晧正といえば、これっというハードボイルドなバラード「Alone, Alone and Alone」です。う~ん、やっぱり最高です。ハスキーな部分とハイノートのバランスも良く、とにかく、せつなく歌う日野晧正は畢生の名演でしょう。もちろん海外でも評判の演奏となり、ブルー・ミッチェル(tp) を筆頭にカバー・バージョンのレコーディングが幾つか発表されているほどです。もちろんこれがあってのジャズ喫茶の名盤という側面もあるのでした。

そしてオーラスは、またまた日野晧正のオリジナル「諏訪」で締め括りです。もちろん琴が効果的に使われた幻想的なテーマを、日野晧正がミュート・トランペットで鋭く奏で、快適な4ビートのアドリブパートに繋げるあたりの緊張感は素晴らしい限りです♪ リズム隊のグループもほどよくこなれており、気持ちよく楽しめる演奏です。

ということで、かなりキワモノという声もありますが、純ジャズ的には「Alone, Alone and Alone」が入っているというだけで、私は大切にしているアルバムです。

これは当時、ドイツ盤がオリジナルでしたが、幸いなことに現在、リマスター&紙ジャケット仕様で再発されておりますので、物は試しで聴いてみて下さいませ。

最後になりましたが、リーダーの白木秀雄は学生時代からトップドラマーとなり、昭和33年頃からは日本ジャズ界の頂点に立っていた人気者でした。日活映画「嵐を呼ぶ男」でのドラムの吹替えも白木秀雄によるものだと言われています。しかし私生活は乱れており、悪いクスリに手を出して健康を害し、このベルリン遠征直後からは仕事も不調、ついに1972年に他界してしまったのは残念の極みです。合掌。

コメント (2)
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ルパンザサ~ァ

2006-02-02 18:38:21 | Weblog

本日は東南アジアの某国からお客さんが来ましたので、いろいろと気を使って、疲れました。昼メシには気の利いたところが無いのでトンカツ屋に行きましたけど、イスラムの人でなくて良かったです。

で、その後、車でいっしょに移動しましたが、話をしてみたらフュージョンが好きというので、このアルバムをBGMにしたところ大喜びされましたです――

ルパン三世オリジナルサウンドトラック (日本コロムビア)

今や日本を代表するアニメ作品となった「ルパン三世」は、その劇伴のカッコ良さも当時から話題を集めていました。特に大野雄二が担当した第2シリーズ以降は、放送用音源とは全く別にアルバムが製作されるほどの大ヒットになっています。

このアルバムはその最初の作品ですが、ここに至るまでの簡単な経緯として、「ルパン三世のテーマ」は大雑把に3バージョン存在しています。それは――

 ●テレビ放送用のバージョン:所謂「TVサイズ」
 ●シングル盤で発売されたバージョン
 ●このアルバム用のバージョン

まず最初の「TVサイズ」とは、昭和52年秋から日本テレビで放送されたアニメ「ルパン三世」のオープニングに使用されたバージョンです。これは約1分20秒ほどの演奏で、後のシングルバージョンよりもテンポが若干、スローですし、当然、モノラル仕様です。

しかしその演奏は、皆様よくご存知のように、16ビートのチャカポコリズムに歯切れの良いブラス、その背後で躍動するシンセサイザー、サビで華麗に展開するストリングス、ふくらみのある女性コーラス、そして素敵なメロディが渾然一体となった傑作です。それは当時流行っていたフュージョンの美味しい部分を完全に取り込んだものでした。

実は私は、リアルタイムでそのテレビ放送初回に接し、そのあまりのカッコ良さ、インパクトの凄さに、思わず食べていた餃子を取り落としてしまった鮮烈な記憶があります。すげぇ~♪ で、ほどなく発売された「ルパン三世のテーマ」と題されたシングル盤を買ったのは言うまでもありません。

しかし、そのシングル盤はテレビ放送で使われているものとはイメージが違っていました。もちろん、それ用に録音し直した音源で、ステレオ仕様になっています。

まず全体のテンポが速くなり、歯切れの良いリズムギターが左右に配置され、ブラスも一層シャープになり、サビのストリングスも分厚くなっています。演奏時間も3分23秒に伸ばされ、間奏ではジャジーなサックスがアドリブを聞かせますが、「TVサイズ」では大暴れしていたシンセサイザーは隠し味程度になっています。う~ん、それにしてもカッコイイ! こんな素晴らしいフュージョンは無い、と当時、本当に思いましたねぇ~♪ もちろん、今でも大好きです。

で、そうこうしているうちに、今度はアルバムが発売されたというわけです。そしてこれがまた、素晴らしいのですねぇ~♪ 新しい曲もたっぷり聴けるのです。

なにしろA面1曲目の「ルパン三世のテーマ」からして、ルパン三世と銭形警部の台詞からスタートするリミックスバージョンになっています。もちろん音源的には「シングルバージョン」と同じですが、間奏でも登場人物の紹介を兼ねた台詞が入っているのです。また全体にドラムスやコーラスが一層、歯切れ良くミックスしてあります。

2曲目の「愛のシルエット」は流麗なストリングと分厚いホーンセクションが、哀切のメロディをじっくりと奏でる素晴らしい演奏です。リズム隊も重いビートと複雑なリズムパターンを完璧にこなしていますし、泣きのサックスもたまりません。世界の何処に出しても可笑しくない、第一級のフュージョンになっています。

そして3曲目がこのアルバムの目玉というべき「抱いてルパン」になるわけですが、前曲からフェードしつつルパン三世と峰不二子のエッチな会話がミックスされているので、ムード満点のこの曲が一層、引き立っています。ちなみにセクシーに歌っているのは、後にサンディ&サンセッツを結成するサンディ・ホーンです。また間奏のエリック・ゲイル調のギターも素晴らしく、とにかく魅惑のメロディに溺れてほしいところです。あぁ、いつまでも聴いていたいです♪

さらに続く4曲目の「殺し屋に紅薔薇を」は、頭に次元大介の台詞が入ったシャッフル系の躍動的なフュージョンで、ブラスと泣きのサックス、絡み合うリズム隊というお約束が楽しめます。ちなみに演奏メンバーは特定出来ませんが、演奏のエレピソロは大野雄二本人かもしれません。

A面ラストはタイトルからして素敵な「月影におやすみ」で、スローなラテン・グルーヴがたまりません。メロディを奏でるサックスも素直ですし、ここでも活躍するギターが、ほとんどエリック・ゲイルという、フュージョン好きにはグッとくる演奏です。

さてB面も銭形警部とルパン三世の掛け合い漫才的な台詞があって、いきなり16ビート全開の「デンジャラス・ゾーン」が始まります。もちろん躍動するエレキベースと迫力のブラス、流麗なストリングスはお約束♪ 緊張感が途切れないアレンジも流石です。ちなみにこの曲はこのアルバム用に作られた後、劇場版「ルパン三世」に転用されています。

そのノリは続く「サンセット・フライト」でも存分に楽しめますが、一層、ジャズ・フュージョン味が強くなっており、演奏メンバーの只ならぬ力量が確認出来ます。

ここで曲間にルパン三世と次元大介の台詞が入り、効果音もあって始まるのが「マグナムダンス~ロンリー・フォー・ザ・ロード」という、前曲を引き継いだジャズ・フュージョン路線です。ここでは微妙に歌謡曲が入ったテーマ・メロディが大野雄二だけの味の世界♪ 間奏のピアノも作者本人かもしれません。本場の第一人者であるボブ・ジェームス(P) も顔色を失いそうな演奏です。

次は一転、私の大好きな明るいボーカル曲「ラヴィン・ユー」で、歌っているのは当時人気絶頂だったロックバンド「ゴダイゴ」のドラマーであるトミー・スナイダーです。「ゴダイゴ」はバンドとしても後に「モンキー・マジック」等の大ヒットを連発するのですが、実はメンバーの実力が高く評価されていてスタジオセッション活動も多く、これもそのひとつだったのかもしれません。

そして最後はお待ちかね「愛のテーマ」です。これはテレビ放送ではラストに流されていた人気曲で、哀愁たっぷりのハーモニカとストリングが華麗に奏でる美しいメロディがたまりません。もちろんリズム隊は重いビートと歯切れ良さで盛り立てます。

もちろんこの曲は「TVサイズ」が存在しており、また前述した「ルパン三世のテーマ」のシングル盤B面に収められた「シングルバージョン」も存在するのですが、ここではそれに台詞を被せてリミックスしたバージョンが使われています。

というこのアルバムは大ヒット! これによって大野雄二の名前が広く一般に知れ渡ったと言っても過言ではありません。ちなみに大野雄二は元々はジャズピアニスト、同時にテレビや映画のサントラ音源製作にも携わり、また歌謡曲の作曲家でもありましたが、その洒落たセンスは最高で、ついにここでブレイクしたというわけです。そして翌年には松田優作主演による「遊戯」シリーズのサントラで、最高のジャズ・ファンク物の発表するのでした。

また当然「ルパン三世」物も数多く製作していきますが、その音源の詳細や演奏メンバーの推測等々は、いずれ本サイトの「偏愛音楽館」で取上げたいと準備中です。

とにかくカッコイイ、まさに聴かずに死ねるかの1枚です。東南アジアからのお客さんも「ルパンザサ~ァ」と歌っていましたよ。

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野良猫だってロックだぜっ!

2006-02-01 17:50:32 | Weblog

突発的に観たくなる映画が確かにありまして、今日の私は日活ニューアクション作品がっ!

と言っても仕事中には無理なので、昼メシ時に、これ、聴きました――

野良猫ロック / 日活ニューアクションの世界 (Solid)

今日、「日活ニューアクション」と呼ばれている諸作は、日活がロマンポルノ路線に転じる直前まで作っていた活劇映画です。それは青春映画でもあり、犯罪映画でもあり、また恋愛映画でもあるというハイブリットなものでしたが、その根底にあるのは若者の反逆だったと思います。

その部分はもちろん、以前の「日活アクション」にも顕著でしたが、ここであえて「ニュー」と付けられたのは、裕次郎や旭といった既存の大スターが登場せず、梶芽衣子や藤竜也といった、どちらかと言えば同社で燻っていた役者が主役を張っていたことです。

当然、演出も流行していたアメリカン・ニュー・シネマの影響が大きく、また日活といえば鈴木清順という、当時の分からないことがカッコイイ的な感覚も強烈に含まれていました。

ですから、そこに使われる音楽もジャズやロック、しかも当時の先端の音が取り入れられ、映像と音楽の融合を目指していたような部分さえ、推察出来るほどです。そして「日活ニューアクション」が再評価されているのも、実はそれゆえなのだと思います。

このアルバムはそんな再評価ブームの中の1枚で、収録された16曲は昭和45年から翌年にかけて全部で5本作られた「野良猫ロック」シリーズに用いられた音源です。ただしシリーズ1作目の「女番長・野良猫ロック」からの音源はありません。これは主演が和田アキ子だったためでしょうか? ちなみに、その作品は彼女を売り出すために企画された側面が強く、もちろん和田アキ子本人の歌も使用されていましたが、その権利関係の所為かもしれません。

で、そこで和田アキ子以上に輝いたのが梶芽衣子だったというわけです。そして以後、彼女を中心にシリーズが製作されていくのは、ご存知のとおりです。

肝心の音源ですが、私的なお目当ては初っ端に収録された「恋のブルース / 青山ミチ」です。これは第4作「マシンアニマル」からの音源で、非常にディープな演歌ブルース♪ そのコブシ、その情念は、不滅の輝きがあります。黒~い、重~いフィーリングと恐いけれども実は優しい心根の呻きをお楽しみ下さい。ちなみにこれは彼女が実際に出演して歌った場面からのものです。

また「野良猫ロック」の代名詞ともなった名曲「禁じられた一夜」は安岡力也のソロ・バージョンと梶芽衣子とのデュエット・バージョンの両方が収録されているのが嬉しいところ♪

それとハードロック音頭の真髄を聞かせる「御意見無用/ モップス」のフィルム・バージョンも貴重です。

他にもジャズロックや歌謡フォーク&ポップスの名演・名曲が多数入っておりますので、当時の雰囲気が楽しめます。ただし、ここまで復刻して映像DVDが出ないのは片手落ちでしょう。

そのあたりは、おまけに付けられた復刻ポスターを見ながら、思いをはせて下さいませ。またジャケットはデジパック仕様、ブックレットには当時のスチールも掲載されています♪

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