■恋のフィーリング / Capricorn (Epic / CBSソニー)
往年の洋楽ポップスには日本だけのヒット曲というジャンルが後に成立したほど、何故か本国よりも日本で売れまくった歌手やグループが少なくありません。
例えば本日ご紹介のカプリコーンは、1960年代末頃からロンドン周辺の様々な店で歌っていた男女3人組で、メンバーはコーリン・トラバース(g,vo)、エリック・フランシス(g,b,vo)、そして紅一点のスー・アボリー(vo) がレコードデビュー時の顔ぶれでしたが、皆様ご推察のとおり、このグループの魅力はスー・アボリーの爽やかに澄み切った歌声にありました。
それは1971年に出した最初のシングル曲「ハロー・リバプール / Liverpool Hello」の大ヒットによって見事に証明されたわけですが、逆に言えば彼女の歌声があったからこそ、この歌が流行ったというのが真相かもしれません。
ちなみに「ハロー・リバプール / Liverpool Hello」は本来、イギリスのBBC放送で制作されたミュージカルの主題歌だったそうで、レコード化する予定も無かったところが、テレビ視聴者からの要望が殺到して!?
という経緯から、これを歌うグループとして抜擢されたのが、カプリコーンだった!? と件の日本盤シングルに付けられたピクチャースリーヴ裏解説には記してあります。
で、ここで要注意なのが、これまでにも拙プログで度々書いているように、当時のイギリスの音楽業界で作られたポップス系ヒットレコードの多くは、先に楽曲があって、それを録音する時にはセッションミュージシャンのボーカリストや楽器プレイヤーが招集されるという、言わば「産業」でしたから、いよいよ売れてしまってからの巡業ライプやテレビ出演等々には、それ専用の歌手やバンドを作り出すのが常なのに、カプリコーンは最初っからグループが実在していたという珍しさ(?)でしょう。
もちろん前述した3人が公式レコードデビュー前からグループとしてやっていたか? という裏付けはありませんが、少なくとも一座のスタアであるスー・アボリーが所謂ハコバンで歌っているところをBBCの関係者に発見された事は間違いないと言われています。
ところが既に述べたように、この「ハロー・リバプール / Liverpool Hello」が大当たりしたのは、過言ではなく日本だけなんですねぇ~~!?
しかも勢いで出した次のシングル曲「明日にこんにちは」が我国でも、ほとんどヒットせず……。
まさにドメスティックな一発屋とは、カプリコーンを指しての言葉!?
と思われた頃の1972年秋、突如(?)としてヤマハ主催による世界歌謡祭出演のために来日したんですから、なんとかは忘れた頃にやって来るじゃ~なくて、その「なんとか」をポップスフリークは如何様にも解釈出来ますよねぇ~♪
そして本日掲載のシングル盤A面収録「恋のフィーリング / Feeling」こそ、ジャケットにも大きく特記してあるとおり、堂々のグランプリ受賞曲♪♪~♪ 全てのリスナーを魅了するスー・アボリーの天使の歌声が堪能出来るのは言わずもがな、軽快なピートとアコースティックなサウンドに彩られた胸キュンメロデイの印象は、絶妙のストリングスアレンジや爽やかコーラスも抜群ですから、何時聴いても、たまりません♪♪~♪
しかも、掲載した私有のシングル盤ジャケ写に登場しているスー・アボリーの衣装が、これまた魅惑の脚線美というか、ムチムチした太股がミニスカから惜しげもなく披露されているのですから、このローアングルの美味しさを狙ったカメラマンが羨ましいぃぃぃ~~~!
これは何もサイケおやじだけの気持ではないでしょう。
また、これは付け足しかもしれませんが、この時のカプリコーンはスー・アボリー(vo)、コーリン・トラバース(g,vo)、スティーヴ・プライヤー(b,vo)、アンウィン・ブラウン(ds) という4人組になっていて、この「恋のフィーリング / Feeling」以降に出したレコードを聴いてみると、これが相当にロックっぽいハードな音作りにもチャレンジしているんですから、なんだかなぁ……。
と書いたのは、ご存じのとおり、カプリコーンは再び「恋のフィーリング / Feeling」だけのヒットで埋没したからで、しかもまたまた日本だけでの注目で終わってしまったんですから、失礼ながら勘違いだったと思います。
そして個人的にはカプリコーンの二大ヒット曲「ハロー・リバプール / Liverpool Hello」と「恋のフィーリング / Feeling」に共通する魅力として、スー・アボリーのボーカルに効かせられた不思議系エコー!?
う~ん、これ無くしては、カプリコーンとは言えない!?
そんなふうに思うばかりです。
ということで、本日も爽やか系ポップスでゴキゲンな気分を求めてしまいました。
まあ、現実はそれとは逆に、ちょいと厳しい仕事の状況が予想されているんですが、こんな爽やかな歌を聞かせてくれたカプリコーンだって、実際は苦節の連続だったと思いますから、負けてはいられせん!
このジャケットを眺めつつ、スー・アボリーの歌声に慰められれば、それはそれで終りなき日常も乗り切れるのかもしれません。