Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

青柳いづみこさんの処女出版

2011-07-01 08:47:39 | 新音律
『ハカセ記念日のコンサート』 東京音楽社 (1990)

いまでは研究・演奏両面でのドビュッシーの権威であらせられるが,20 年以上前だから文章は威勢がよく,写真もお若い.「ピアニストとしての私はようやく幕下の中どころ」という (当時の) 自己評価も興味深い.

古書で 105円.イラスト (佐藤真紀子) はかわいいが,表紙はフォントを並べただけで素っ気ない.
雑誌「ショパン」連載のエッセイその他をまとめたもの.現在は,そのショパンから本書の増補版が出ている.

「なぜドビュッシーですか?」という文章から勝手に抜粋すると,ドビュッシーは,ベートーベンのように「苦悩を経て歓喜に至る」などというのはてれくさいなぁ,とか,ソナタ形式のようにそっくりそのままの旋律が繰り返されるのはかなわないなぁ,とか 感じるタイプの人間なんだそうだ.
「亜麻色の髪の乙女」の演奏のこつ?も書いてある.

ワタクシ個人の思い入れだが,革新的なことをやってしかも大衆に受け入れられたのは,クラシックの世界ではドビュッシーが最後ではないかと思う.

書名は,青柳さんがドビュッシー研究で東京芸大からフランス音楽の分野で初の学術博士号を取られたことに由来する.最後の「ピアノ博士の話」で,異分野の学位制度を覗き見ることができる.
学齢前のお嬢さんのバイオリンのレッスンのはなしもあるが,ご本人がおとなになってからここを読んでどう思われただろうか.

もちろん おいしいものの話もたくさん.



宣伝です.

小方・高田・中川・山本 著
「視て聴くドレミ - フーリエ音楽学への招待」大阪大学出版会(2013/03).

各ネット書店,丸善ほかの有名書店,ヤマハ銀座店等で発売中です.
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