
ドレミファソラシドはドをだぶって数えなければ7音音階である.もうひとつ音を増やすとどうなるか ?
オクターブを全音・半音交互に,全半全半全半全半と分割すると8音音階となる.スクリアビンのピアノソナタ 6 番など.でも,いかにも頭で考えたという感じで,気持ちのいい音階ではない.
もっと自然体で行くと...
周波数比から行くと,ドとソは相性がよく,ソとレは相性がよく,レとラは相性がよく... と,芋づる式に音が出てくる.12 出ると (だいたい) ドに戻るので,ド・ソ・レ・ラ...をこの順で時計の文字盤のように配置したのが5度円である. 図では音名 CGDA... を示した.この5度円の上で隣り合う 5 音を取り出し並べ替えるとドレミソラのヨナ抜き音階になり (左の図),隣り合う 7 音を取り出し並べ替えるとドレミファソラシドとなる (右の図).
7音で止めるのは,あまり音が多くなると分からなくなるから,らしい.
このやり方でもうひとつ音を増やすとすれば,右の図で赤で示した F# であろう.
どの音をいちばん下にするかという問題 - モードの問題 - はあるけれど,とりあえず右の図でCをいちばん下にしてみる.じつはこの音階ははジャズでは意識的無意識的にあらわれる.
E F F# G A B C と音を並べるとデューク・エリントンの曲によく現れる終止形.
何か変わった実験を と,8音音階を考えてみたのだが,もともと8音音階から出発したほうがジャズはやりやすいかもしれない,というのが結論.CDEFF#GABは,イオニアンのようでもありリディアンのようでもあり,というわけでジョージ・ラッセルのリディアン・クロマティックの二番煎じみたいになってしまった.
お粗末でした.
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小方・高田・中川・山本 著
「視て聴くドレミ - フーリエ音楽学への招待」大阪大学出版会(2013/03).
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