早川書房 (2011/7)
ミステリ・マガジン連載の単行本化がいち早く図書館に入ったので,いち早く借出した.
「BOOK」データベースより
*****18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が…解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちがときに可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む。*****
というわけで,「開かせて」は「解剖させて」の意味.
舞台は18世紀ロンドンだが,登場する外科医とその弟子たちの心情は至ってウエット.明治の日本を舞台にしてもしっくり来そうだ.
皆川小説の例に漏れず大部で,おどろおどろしい小説だろうという予感もあり,読む前に身構えてしまったが,CM のように「ときに可笑しくときに哀しい」場面もあって,440 ページだがすぐに読めてしまった.でも,皆川さんの「可笑しい」場面はどこか不器用.
以下はネタバレかも?
犬が死体の胃袋を食べてしまったり,その犬の胃袋からまた犯罪の証拠を回収したりする部分が良い.この犬がおかしい.
ハッピーエンドに近い終わりも意外だった.