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セシウムを核変換

2011-08-14 08:31:49 | 科学
セシウム137 (Cs137) が問題になっている.
除染といっても,別な場所に移すだけでは問題を転嫁するだけだ.別な核種に変える - 核変換 - のが本質的な解決で,その常識的な方法は加速器を用いてガンマ線を発生し,光核反応をおこすことだろう.

でも,こんな実験結果もある.


図のPd(パラジウム) CaO Pdの三層膜の,上側の Pd には Cs133 を付着させる.重水素ガスを上から下へと流すことを数日続けると Cs133 が Pr(プラセオジム)141 に変換するというのだ.グラフでご覧のように,Cs が減少するとともに,影もかたちもなかったPrが出現し,増加する.
ストロンチウム88 からモリブデン96 への変換も報告されている.
"Elemental Analysis of Pd Complexes: Effects of D2 Gas Permeation"
Yasuhiro Iwamura, Mitsuru Sakano and Takehiko Itoh
Jpn. J. Appl. Phys. 41 (2002) pp. 4642-4650

論文のタイトルには「核変換」の文字はない.Japanese Jpurnal of Applied Physics は応用物理学会の英文誌だが,この「錬金術」を極力センセーショナルに扱うまいとする編集委員会の意向が反映しているらしい.この実験は「常温核融合」に刺激されておこなわれたものと思うが,常温核融合の論文がこうしたれっきとした論文誌に掲載されることは滅多にないのだ.

論文より,著者が所属する三菱重工先進技術研究センターのホームページの記述
http://www.mhi.co.jp/atrc/project/pdtamakuso/index.html
のほうがずっと要領を得ている.
阪大,静岡大学,イタリアINFN (核物理研) で再現実験に成功したとのことである.

ただし,現在問題となっているのはCs137だが,この実験で扱われたのはCs133であった.メーカーの研究所のことだし,当然Cs137を用いた実験にも着手しているとは思うが...

この論文にはなぜ核変換が起きたか ? に関する考察はほとんどない.私個人としては,なぜ核のポテンシャル障壁を乗り越えて核変換が可能なのか,納得できない.
Mikio Fukuhara
New Approach to Cold Nuclear Transmutation Theory
Jpn. J. Appl. Phys. 46 (2007) pp. 3035-3038
では,核変換で質量数が 8 増えることに注目した理論が発表されている.

Cs137 -> Nd145 ???


広く薄くばらまかれた現状の Cs137 に対処するには,この方法が有効とは思えないが,あれこれやっているうちに何か美味しいことが生まれるかもしれない.

コメント (2)
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reading

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