Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

他者に聴かれることを意図しない音楽とその可能性

2014-04-06 08:30:26 | 新音律
科学者・研究者向けのソーシャル・ネットワーク・ サービスがいくつかある.Research Gate にはヒトに勧められて入った.やたらとメールが来て煩わしい.しかしひとたび自著論文リストを作ると,おせっかいを焼いてくれるので,知らないうちに忘れていたものまで網羅されている.就職活動のときには利用できそうだ...いまさら就職はご免だけど.

Academia.edu もやはりソーシャル・ネットワーク・ サービスだが,ことらにはあまり関心がなかった.ところが舞い込んだメールに,広大准教授 Daisuke Terauchi 氏が論文をアップロードしたとあったので,アクセスした.

寺内 大輔
「他者に聴かれることを意図しない音楽とその可能性 - 寺内大輔の 3 作品による例証と考察 -」
音楽表現学 6(2008)29

がその論文で,もとは音楽表現学会の論文誌に掲載されたもの.

著者によれば,「他者に聴かれることを意図しない音楽」が作品となるためには

① 題名と作者がはっきりしており,作者自身が「作品」としての意識・意図を持っていること
② インストラクション(instruction=指示)などのテキストや初演記録,または口承などによる伝承によって,具体的な音楽実践の方法を他者に伝えることが可能であること

のふたつの条件を満たさなければならない.最初の例は著者による「耳の音楽」で,耳を触った時の音で成立する音楽である.耳殻を閉じ上から指で軽く叩けば,ベースドラムのような迫力ある音が,また耳の辺りを優しくこすればシャーという連続音がする.
ちょっとやってみると面白い.
演奏会場で行えば,演奏中はほとんど周囲からの音が遮断されてしまう.演奏終了直後には周囲の静けさがより新鮮に感じられる.また,共通な演奏を聴くわけではないのに,演奏体験を体験を共有できる.

もうひとつの作品例が,見るからにアヤシイこのビデオ「くちづけ口琴」.しかし,論文にはまじめくさった説明が.しかし,論文百読は一見に如かず.そして,百見は一演に如かず,であろう.



最後の作品例「内と外」は,ちょっと難しそう.
どなたでも Academia.edu からこの論文をダウンロードできるが,FaceBook のアカウントあるいは e-mail アドレス等を求められる.
コメント
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