Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

川端康成「級長の探偵」

2014-04-14 08:18:18 | 読書
中央公論社(1937/12).
復刻 ほるぷ出版 (1976/4).

箱入りハードカバーが古書市で500円だったが,持ち帰るのに重くて閉口した.この種の復刻版をよく二束三文で見かけるが,どうなってるんだろう.

少年少女小説集とあるが,表題作を除く8編は少女小説.
その表題作を,ミステリを期待して読んで「なんだこりゃ」.理科の実験道具を生徒が壊したらしいと,先生が級長に犯人探しを命じる.このプロットに腹が立った.生徒を何だと思ってるんだ! 犯人は校長だった,めでたしめでたしというのも人を馬鹿にしている.

でもこれがいちばん出来が悪いようで,あとは可愛い小説で気持ちよく読めた.たいてい学校が舞台で,先生がたくさん登場するが,みな女生徒にはやさしい.最後の「学校の花」はほかの4-5倍の長さがあるが,ストーリーは陳腐.

装幀・絵 深澤章三・紅子.旧かなのルビとか,右から左への横書きとか,懐かしい.男子生徒を「男生」などと略すのが変な感じ.
原本の定価は二円五十銭.いまの感覚では五千円くらいかと思う.でも庶民の所得は低かったと思うので,良家の子女だけが手に出来る本だったのだろう.

大阪児童国最文学館のホームページ,日本のこどもの本100選,戦前篇には,『名著複刻日本児童文学館第二集解説書』の引用として,この復刻の出版依頼に川端は「いやです」と返事し『あなたもあの内容をいいとは思はないでしょう」と述べた,とある.
ではなぜ復刻したのかな?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg