ワーナーのゴジラ 2014 がこの夏公開予定.キャッチコピーは{世界が終わる・ゴジラが目覚める」だそうですが...
「霧笛」はレイ・ブラッドベリの短編.灯台の霧笛に惹かれて海底から恐竜が現れ,去って行くという詩みたいな小説.
Wiki によれば,この「霧笛」は 1951 年,The Beast from 20,000 Fathoms のタイトルで発表された.その後,核実験で目覚めた恐竜がニューヨークを破壊するという,1953 年製作のアメリカ (ワーナー・ブラザーズ) 映画に,このタイトルが採用され (売ったのかもしれない) ,ブラッドペリはもともとの小説のタイトルを Fog Horn に変えたとのことである.
Fog Horn の方がずっと良いと思う.
そんなことは知らず,「霧笛」を読んだときはすぐゴジラを連想した.
映画 The Beast from 20,000 Fathoms は「原子怪獣現る」というタイトルで 1954 年 12 月に本邦公開.観たことはないが広告は覚えている.
ゴジラの公開は 1954 年 11 月.現在のように東西交流が迅速ではなかった時代だから,ゴジラがこの原子怪獣にどの程度影響されたか,判らない.でも原子怪獣のほうは今では誰も覚えていない.後出しゴジラの成功は,その命名 (ゴリラ + 鯨 と聞いている) にあるのだろう.ちなみにゴジラの原作者は香村 滋で,当時の少年雑誌でもときどき名前を目にした.
連想は不可避とはいえ,これらの怪獣映画と「霧笛」とは無関係.
「霧笛」は学生時代,ハヤカワ SF シリーズ (ハヤカワ・ボケット・ミステリと同じ造本) の「太陽の金の林檎」小笠原 豊樹訳 (現在はハヤカワ文庫 SF, 2012) に収録されていたのを読んだ.毒々しい表紙と粗悪な紙質のペーパーバックが,ポケミスでは上等なブンガクに変身したように思えた.
今では原文をネットから無料でダウンロードできる.
現在「霧笛」は「ウは宇宙船のウ」にも収録されている.大西 尹明訳,創元 SF 文庫 (2006).この短編集の原題は R is for Rocket,内容は「太陽の金の林檎」と重なっている.