Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件

2015-03-26 07:46:43 | 読書
アンドリュー・カウフマン, 田内 志文 訳,東京創元社 (2013/9)

「BOOK」データベースより*****
ある日、カナダの銀行に紫色の帽子をかぶった強盗がやってきた。彼はその場にいた 13 人から“もっとも思い入れのあるもの”を奪い、去り際にこんな台詞を残した。「私は、あなたがたの魂の 51 %を手に、ここを立ち去ってゆきます。そのせいであなたがたの人生には、一風おかしな、不可思議なできごとが起こることになるでしょう。ですがなにより重要なのは - その 51 %をご自身で回復させねばならぬということ。さもなければあなたがたは、命を落とすことにおなりだ」その言葉どおり、被害者たちに奇妙なことが起こりはじめる。身長が日に日に縮んでしまったり、心臓が爆弾になってしまったり。母親が 98 人に分裂した男性もいれば、夫が雪だるまに変身した女性も…。いったい、なにがどうなっているのか? *****

上述の内容以上でも以下でもない本.著者が思いつく奇想天外な事象を並べただけのようにも思える.語り手の妻は,ハイスクールで隣に座っていた今の夫 (すなわち語り手) から貰った電卓を奪われる.彼女は数学フェチで,夫の宿題・出産予定日.住宅ローンなどの計算にこの電卓を愛用していた.身長が日々減少するのだが,彼女はそれが「三角数」で予測できるとして,自分が消滅する日を計算するくだりがおかしい.
ハッピーエンドが暗示されている.

文章は平明で,芸術的に難解なわけではない.主張や教訓が含まれているようにも感じられない.童話のノリで楽しく読了.
挿画として入っている影絵 (Tom Percival) がよい.これは最初の場面.人物たちの関連が感じられないが,これが画風らしい.

黄色い表紙とタイポグラフィもよい.装丁 森田恭行.
これもまた図書館で借用した.

原題 The Tiny Wife.良い邦題とは思えない.
コメント
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