Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

丸谷才一「持ち重りする薔薇の花」

2015-04-05 08:34:07 | 読書
新潮社( 2011/10),新潮文庫(2015/3).

この著者の最後の長編小説らしい.
カバーイラストは昔のゲーム機でちょこまかと動いていた奴らを連想させるが,4つの弦楽器のブリッジたちである.装丁は和田誠.

小説の中で Blue Fuji Quartet と命名される,弦楽四重奏団のはなし.タイトルは,コンサートで演奏者に贈呈される薔薇の花束を,4人で持つのは面倒だぞ,厄介だぞ,持ちにくいぞ,と言うことだそうだ.

ジャズバンドでは烏合離散を繰り返すのが普通で,メンバーが固定していたのは MJQ くらいと思うが,やはり (特に若かったときは) 楽屋では喧嘩ばかりしていたと聞いたことがある.学生のバンドは和気藹々だが,この小説でもカルテット発足時・学生時代の4人は仲がいい,でも職業となると...などと思いながら読めば面白いが,そうでなかった,どうだろうか.

団員が別な団員の奥さんと駆け落ちしたりするあたり,通俗小説ふう.
語り手が経団連の元会長という設定.この老人は最初の奥さんはアル中で,次の奥さんは認知症.それでも彼に思い入れができないので,読んでいて弾みがつかない.小説とはいうものの,著者のウンチクエッセイとあまり変わらないようだ.

Blue Fuji Quartet はいかにもダサい命名だが,著者はそうは思わないのだろうか?
なんだか面白くないなと思いながら,最後まで読んでしまった.

文庫本を書店で見て,図書館で単行本を借用するというパターン.
コメント
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