やっと,と言うか,ついに,と言うか,来月中旬手術の運びとなり,麻酔の先生から説明を受けて同意書に署名してきた.こんな漫画をパンフレットの余白に描き加えながらの説明で,すごい画才だ.後で見ると,マスイ・痛み止め・ZZZ...などの文字は判読できるのだが,朦朧とした目つきのあおむけの顔は何を意味していたのか,思い出せない.
サンソの文字だが,全身麻酔だと自力で呼吸ができないので,チューブで酸素を送り込むのだそうだ.こんなことも初めて知った.
PSA なる生体物質の血中濃度値が前立腺癌の指標として使われていて,検査は地域の健康診断でもオプションとされている.グレイゾーン(PSA値 4 - 10ng/ml)では 前立腺癌の確率は 30 %前後.この値が一昨年 8 月は 4.84 (以下 単位 ng/ml を省略) だったのが,昨年 8 月には 7.43 になった.上昇率が大きい.PSA は癌以外の要因でも大きい値を示すことがあるというが,とにかく生体組織検査 (痛い! 恥ずかしい!) を受けたら,癌が見つかった.悪性度は低いが左右両方の前立腺が侵されていた.
胃や肺とちがって,前立腺は生殖年齢を過ぎてしまえば無用の長物.手術で摘出することにした.癌が前立腺にとどまっている限りは実害はないのだが,骨に転移すると,痛い痛いと言いながら死ぬのかもしれないのだ.生検までは町の病院のお世話になったが,大学に勤めていたと言ったら,当然のように大学病院に回された.
患者としては,現状では自覚症状がなく,バーチャル世界のできごとみたい.
癌であるとわかれば,PSA は癌進行の目安になる.この値は (昨年 8 月の 7.43 から) 今年1月は 7.53,最近 (4 月) の測定では 7.70 であった.MRI によれば転移はないが,癌そのものは ゆっくり しかし着実に進行しているらしい.近藤誠医師の言う「がんもどき」とは違うようだ.
ダ・ビンチなるロボット手術で,最初に大学に行ったらやたら検査が続いたあげく,その後半年も待たされた.もっと重症な方を次々と優先させた結果らしい.
この間,落ち着かなかったし,まとまった仕事も引き受けられないし,癌患者と付き合うのは腫れ物に触るような感じらしく 遊んで貰えないし...
手術して貰いたいという気分は熟してきたようだ.