癒しと浄化を得られるというシンギングボウル singing bowl の,これはいささか無味乾燥な動画,
ASA (Acoustic Society of America アメリカ音響学会) のページ http://acoustics.org/pressroom/httpdocs/163rd/August_2pMU4.html で見ると,振動はグラスハープと同じである.
しかしスペクトルで見ると,倍数波はグラスハープよりはるかに少ない.
図の左上がこの動画から得たスペクトルで,3倍波までである.別なボウルではと,
https://www.youtube.com/watch?v=Xm2mlNL054A
から採ったスペクトルが右上.こちらはより高音だが,整数倍音は贔屓目に見て4次まで.4倍音のすぐ右にはより大きなピークがある.このピークを含め,高周波側には非整数倍音が存在する.
これらに比べると右下のグラスハープでは整数倍音が豊富である.
ウェブではシンギングボウルは倍音ゆえに霊験あらたかと宣伝されているが,ワイングラスをこすったほうが効果が大きいかもしれない.でも,西洋音楽は整数倍音が豊富なほうが良いとされるが,東洋ではそんなことはないという面も有る.ちなみに,シンギングボウルはチベット起源.
グラスハープは叩いたときと擦ったときでスペクトルが異なるが,シンギングボウルでは同じである.
我が家にもシンギングボウルと類似の仏具があった! 仏壇のリン (おりん) である.左下はリンをリン布団の上に置いてリン棒でぐるぐると擦って出した持続音のスペクトル.こちらでノイズの上に顔を出しているのは非整数倍音ばかりである.
グラスハープではグラスは固定されているが,動画のボウルはマレット?とともにぐるぐる回されている.マレットとともに動く座標系で考えなければなるまい.リンの場合は,リン本体は布団のせいかリン棒を回しても動かなかった.
水の波面のパターンはファラディ波の文脈で説明されるようだ.しかし,グラスハープでもシンギングボウルでも枠の水平方向の変形が水面に伝わってパターンができるのだから,すこし複雑かと思う.