Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

泡坂妻夫 からくりを愛した男

2015-04-16 08:00:00 | 読書
KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 (2015/2)

内容紹介*****『しあわせの書』で再ブレイクのミステリ作家・奇術師・紋章上絵師でもある作家の初の総特集。対談:北村薫×法月綸太郎、寄稿多数。*****

この文藝別冊は特にミステリ作家としての泡坂を特集している.手品つながりで,あのナポレオンズが登場するのが面白い.直木賞受賞後はふつうの「文藝路線」に転向した感があるが,そちらの路線はこの本の範囲外らしい.

泡坂自筆の漫画が十数葉.雑誌「奇術研究」に掲載されたもので,奇術ネタだがどれも楽しい.紋章上絵師という職業も手伝っているのだろうが,一目で氏の絵とわかる書き方.漫画だけ集めて出版してもらいたいところ.中井英夫による亜愛一郎のスケッチはご愛嬌.

本書で竹本健治は,「匣の中の失落」への泡坂のアドバイスに関連して,「泡坂さんには『ドグラマグラ』や『黒死館』や『虚無』を面白がる感性はあまりなさそうだ」と書いている.なるほど.
やはり本書の法月綸太郎との対談中で北村薫が「乱れからくり」中の「からくり師の目からは,芸術も科学も,まるで駄目」という文章を引用している.これに反発するような野暮天は泡坂文学とも無縁なんだろう.

1970 年代末と思われるが,駅前で倒産した出版社の本を二束三文で売っていた.このとき買って読んだ短編集「亜愛一郎の狼狽」が 16 トンの泡坂作品初体験.こんなのありか !! と思った.周囲のミステリ好きにも読め読めと強要したが,全く評価しない人もいて当惑した記憶がある.
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