Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

演歌よ今夜も有難う

2015-10-27 11:07:05 | 新音律
副題「知られざるインディーズ演歌の世界」
都築 響一,平凡社 (2011/6).

TOKYO STYLE 等の写真集や,独居老人スタイル等のルポで,この著者のファンになった.展覧会に行ったこともある.でもその著書は当地の図書館でなかなか借りることができない - 人気があるのかも知れないが,借りた人が返さないのかもしれない.

この本の対象は,自分の貯金をはたいて演歌の CD を作り,手売りして頑張っている人たちである.自分で作詞作曲し,演奏し,ジャケも自分のブリンターで作ってしまうジャンルと違い,作曲・作詞・編曲・バンド伴奏・スタジオ・ジャケット撮影・CD プレスからレコード会社への発売委託費用まで,演歌のCD を作るには数百万円かかるのだそうだ.レコード会社と契約しても,たいていプレスした分は全部買い取らされる.

ヒットするにはカラオケに入れてもらうのが必須で,これにも金がかかる.現代の演歌は聞かせる歌ではなく,素人でも歌える歌,カラオケで歌いたくなる歌でなければならないという特徴があるのだそうだ (これに敢えて反抗される方も登場する).

冒頭にこの方たちの歌が聞ける場所のグラビアがある.スナック,カラオケ喫茶,レコード店,夏祭り,ローカル公会堂,健康ランド,老人ホーム,そして路上.

登場するのは 17 人.
目次からサブタイトルだけを抜き書きすると,「清掃車ドライバー兼・演歌歌手という生き方」 「主婦が放つ、天をつんざく掛け声を聴け」「窓際サラリーマンが歌う、かくも愉快な演歌ワールド」「秋田に潜む、心やさしき超実力派シンガー」「ハワイアン、キャバレー、そして演歌。昭和風俗を体現する大ベテラン」「建築士から演歌の道へ、人生はマラソンのように」「ステージはいつも駅前。年中無休のストリート・シンガー」「みちのくの秘密兵器。車椅子から放つ極上演歌」「官能小説家の妻は歌で反戦を訴える」「ギターと米を抱えて紛争地帯へ! 行動する演歌歌手,参上」...

どなたの人生も劇的だが,ほとんどの方が 60-70 歳台.4年前の本だが,みなさん今もお元気だろうか.
週刊誌みたいな文体だが,決して対象を悪く書かないところが素晴らしい.
コメント
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