Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

学術書の採算

2017-05-18 11:31:25 | 読書
twitter で東京大学出版会の方の,「今後の学術出版は300部を基準に考えざるを得ないのではないか」という観測が反響を呼んでいた.「図書館需要で200~300部で,仮に1000人の学会のある分野の本だとして,その1割の購入で100部.ここまでで400部弱となるわけですが,800~1000部作るとしたら500~600部を書店等で販売できるか」という皮算用.でもこれはかなり楽観的な数字なんだろう.

ひつじや書房さんのホームページによれば,採算のとれる本の値段は,300ページなら
 1001部~1300部 4200円
 701部~1000部 6000円
 501部~700部 8600円
 300部~500部 15000円
だそうだ.「この刊行部数が1年半以内に80パーセント以上売れれば,出版社としては採算割れにならなくてすんだと胸をなで下ろします.」

数千円以上の本を自費で買える研究者はいない! 自費出版は論外...となれば,出版費用は研究費から捻出しなければならない.科研費その他で出版補助をうたった助成もあるが,くじ運が必要.拙著「レーザーとプラズマと粒子ビーム」は阪大に籍があったので出版できた.

学術書というのもおこがましいが, 「ジャズ演奏と心拍」というのを docs.com にアップしている.しかし勝手にアップしただけでは人目に触れる機会がなく,自己満足に終わるのは,自分はともかく共著者にお気の毒.
アクセスは 300 弱.この原文を投稿して拒否された学会の会員数は当時数十人だったので,サーキュレーションとしてはまあまあという見方もありかな.

とくに文系では博士論文を出版したいと考える方が多いらしい.研究結果をネットにアップする習慣と,どこにアップされているという情報が行き渡るシステムがあれば,金もかからず有益と思う.
欧米では学術出版とはちょっと意味合いがちがうが,フリーアクセスジャーナルというのがある.投稿費がべらぼうに高く,もうかるらしい (信用できないものもある).
出版屋さんもこの方向に活路を見出してはいかがでしょうか.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg