Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ミドル・テンプルの殺人

2017-05-15 07:48:37 | 読書

J.S. フレッチャー,友田 葉子 訳.論創社 (2017/02)

Amazon の内容紹介(「BOOK」データベースより)*****
第28代アメリカ合衆国大統領トーマス・ウッドロウ・ウィルソンに絶讃された歴史的名作が新訳で登場!謎とスリルとサスペンスが絡み合うミステリ協奏曲。遠い過去の犯罪が呼び起こす新たな犯罪。深夜の殺人に端を発する難事件に挑む、快男児スパルゴの活躍 ! *****

1919 年の作品.日本では「謎の函」のタイトルで 1922 年に早くも訳本が出た人気小説らしい.1962 年の井上一夫訳では,松本清張が解説を書いたそうだが,トリッキーなトリックはなく,新聞記者スパルゴが足を使って真相に迫るのは清張好み.でも,清張作品には感じられないユーモアがある.新聞記者の肩書きが副編集長で,偉そうな印象を持ってしまうが,実はお若いらしい.18 才の令嬢と仲良くなりそうな結末.

「黒いトランク」や「樽」を思わせる雰囲気もあるが,探偵役はろくに推理せず,直感と当てずっぽうで行動する.都合よくいろんな事実に遭遇し,最後は意外な犯人に突き当たる.こちらも考えている余裕などないままに,気持ちよく読了した.100 年前の小説は面白かったんだなぁ.

ミドル・テンプルとは何かを訳者あとがきの冒頭で学習してから読んだ方がよかった.
横井司による論文見たいな解説もついている.そこでも指摘されているが,スコットランドヤードの刑事と新聞記者がやけに仲がいいのが,今の目で見ると不思議.

☆☆☆★
コメント
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reading

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