Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

大癋見警部の事件簿 リターンズ 大癋見vs.芸術探偵

2017-05-22 08:46:00 | 読書
大癋見は「おおべしみ」と読む.コトバンクを引用すると*****能面の一。癋見の一種。目を見開き、小鼻を張り、口をぐっと結んだ大形の面。天狗(てんぐ)に用いる。*****

深水 黎一郎,光文社 (2016/9).
「リターンズ」というからには本編があって,2014 年刊行のそちらは本格ミステリ候補だったそうだ.信じられない !

図書館本.

第一部は美術ネタ.第二部は音楽ネタ.第一部はくだらないが,これがツボにくると言う方がるのかもしれない.読まないほうがいいと思うが,それは読まないとわからないということか.王羲之やブリューゲルについての蘊蓄は,取材したことをそのままリポートにしたみたい.

第二部には芸術探偵が登場しないがおもしろい.「とある音楽評論家の,注釈の多い死」で,上 2/3 が普通の活字で本編,下 1/3 が注釈で,最後は...という趣向.音楽評論家のマル秘ファイル「褒めているように見せかける表現集」というのがあって,ひとつふたつ例を取ると,

表現 臨機応変でフレキシブルな楽しい音楽会だった.
注釈 ミスタッチだらけじゃんかよ! もっと練習してから人前に出てこいよ!

表現 音楽会が終わった後の会場には,ほのぼのとした温かい空気が流れていた.
注釈 やっと終わったんで,みんながホッとしていた.

他にも「アラ探し集大成」「オビ仕事集」「プログラム作成・ひな形」などのファイルがある.ストーリーはあってもなくてもいいようなもの.立体視画像が挿入されている.

☆☆★
コメント
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