トップの画像 (中村ユミ) ともども,「宇宙を生きる」からの受け売り.数十年離れていた話題だが,ブルーバックスあたりには詳しい本がありそう.
フリーマン・ダイソン Freeman J. Dyson の 1979 年の論文 Time without End は,「この宇宙で生命とその個体間のコミュニケーションは永遠に続けられるか」という問題を物理的に検証している.ただし生命といっても人類あるいは今の地球上の生命に限定しないし,肉体を持たなくても良いのかもしれない.
永続が可能となる前提は,宇宙の膨張速度がゼロに近づくか,あるいは膨張からやがては収縮に転じることである.この論文執筆当時はそう考えられていたので,答えは「可能」であった.しかし今世紀では,宇宙の膨張は加速するいっぽうとされている.このまま膨張が続けば,いずれは生命体相互どころか,素粒子と素粒子でさえ互いに情報を交換できなくなる.この状態をビッグリップ Big Rip という.
宇宙の歴史はビッグバンにはじまりビッグリップに終わる,一回限りである.ビッグバンの前に何があり,ビッグリップの後に何があるかは,考えてもしようがないから考えないというのが物理学の立場だろう.学生時代に聞いた αβγ や B2FH と変わらない.これが物理=科学と,神話=宗教の違いと言われても,困るけれどしようがない.
十分に進歩した宇宙文明ならば,無限の時間にわたり文明を存続する方法を見出すかもしれない.ここで言う無限は主観の問題のようでもある.「宇宙を生きる」での磯部さんはこの議論には踏み込んでいない.問題にしていないのかもしれない.その代わりそれよりずっと近未来の,人類の宇宙移住についての考察のページが多い.
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