竹内薫.PHP研究所 (2019/2).
高校生のための本.著者はブルーバックスなどたくさん書いておられるので,定年で教授職を退職されたご同輩かと思っていたが,1960生のお若い ? サイエンスライターであった (ただし PHP のこの本の著者紹介には,PHP から出版した著書しか紹介されていない).理系の世界を,文系を含む多数にわかりやすく伝えることが仕事とおっしゃる.東大文1に入学後,転部して教養学部教養学科で科学哲学を学び,卒業後理学部物理学科へ学士入学という,この種の本の著者には最適な経歴の持ち主.
カバーの袖には,文系・理系 (という分類はもう古い,それ) に代わる,いまの実情に即した分類があるとすれば,ひとつは「コンピュータ系」「非コンピュータ系」であり,もうひとつは「グローバル系」「国内系」という分類である...とある.
「第1章 文系・理系の区分けは、もう意味がない」では,AI の登場でどんな仕事がなくなり,どんな仕事が新しく生まれるかを示す.経済学は文系なのか理系なのか,も面白い.「好き」を尖らせていけばそれで生きていける...と希望を持たせてくれる.
年寄りばかりで話していると,教育制度の不備をあげつらって終わってしまう.しかしこの本は,受験生として今できるベストの選択を考えてくれる.そこで「第2章 15年後に生き残るための学部選び」「第3章 文系・理系の大学受験攻略法」と続くのだが,動物が好きだから生物学科は間違い,数学(国語)が苦手な人はどうすればいいか,など具体的.
「第4章 夢は一つじゃなくていい」では著者の経験を踏まえて,文系から理系へ・理系から文系への転換も語られる.海外への進学・大学で勉強する以外の選択肢も.
16トンの場合,父親が「理系は戦争に取られない」と言ったのが効いて,理系に進んだ.今にして思えば,どちらでもよかったかな,とも思う.
図書館本.