Sixteen Tones

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宇宙人類学と宇宙倫理学

2019-09-06 09:39:38 | 新音律
磯部洋明氏の著書「宇宙を生きる」で,宇宙人類学と宇宙倫理学が紹介されている.どちらも京都大学・宇宙総合学研究ユニットのテーマである.

宇宙倫理学は,いわゆる倫理学の延長上と理解できる.この本で読む限りは.倫理学というより道徳学に近いかな? ロボット倫理学とも共通点がありそう.
さしあたりのテーマは,他の天体の改変は許されるか,人工衛星による超高分解能の地球観測はプライバシーの侵害か,天体を所有・利用する権利はいかに生じるか,地球外で宇宙人に遭遇したらどのような方針で臨むべきか,etc.
天体の利用・所有権は大国のエゴに左右されそうだが,そこに宇宙人という人類共通の相手(敵)が現れたらどうするか,と考えるとおもしろい.

宇宙人類学は倫理学より漠然としている.
「宇宙を生きる」で磯部さんは,森山徹「ダンゴムシに心はあるのか あたらしい心の科学」PHP (2011) を紹介している.ダンゴムシに迷路実験・行き止まり実験・水包囲実験など,未知の状況を与えると,「常識」では考えられない突飛な行動をとる.同様に,宇宙で未知の環境に囲まれたとき,人間とその集団が潜在的に持つ未知の性格が現れるであろう.
将来人類が宇宙のどこか,地球と異なる環境下で生き延びるためには,環境を変えるか・人類が変わるかのどちらかが必要で,後者の方が現実的と思われる.そのとき,遺伝子組み換えによる人類の改変は,倫理学・人類学に共通のテーマになりそう.

トップの画像の2冊は,カタログで存在を知ったのみ.さすがは Springer !
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