Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

つるべ落としの未来

2019-10-24 06:50:35 | 読書

主催者にとって個展会場は狂騒と退屈の連続である.退屈用に用意したのが,  日本SF作家クラブ「たそがれゆく未来: 巨匠たちの想像力[文明崩壊] 」ちくま文庫(2016/6). 図書館で借用したもの.このちくま文庫のシリーズには「あしたは戦争」「暴走する正義」もある.

「たそがれゆく...」で意外によかったのが,高木彬光「火の雨ぞ降る」(1957).放射能で汚染された地球脱出者に選抜された主人公が恋人を残していくかどうか煩悶する.最後に一捻り. 意外な作家としては樹下太郎.「夜に別れを告げる夜」(1961)がなかなかシュール.眉村卓「自殺卵」(2012)は既読だった.新しい作品だけあって古くさくない.逆に今日泊亜蘭「地球は赤かった」(1973)は初出「高二コース」だそうだが,古すぎ.河野典生は好きな作家だが「機関車、草原に」(1967)はやはりロマンがある. 安部公房「鉛の卵」(1957)は純文学大家の商品という感じ,倉橋由美子「合成美女」(1961)ともども結末で読ませる. 漫画も3作.松本零士「おいどんの地球」(1972)は持って回りすぎ,水木しげる「宇宙虫」(1965)は解説によれば三島由紀夫の絶賛作だそうだ。楳図かずお「Rojin」(1985)は人間が20歳までしか生きられなくなった世界で,初めて70歳の老人に出会った5歳児の衝撃を書く.

さて,現実の未来は,たそがれゆく...などというのんびりしたものではなく,つるべ落としで人間の世界は崩壊に突き進んでいる.これについては後日.

新天皇も暗い未来を感じているのかいないのかわからないが,式典ではあまりうれしそうではなかった.

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