Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

また 平成日本の音楽の教科書

2020-11-28 09:30:24 | 読書
だいぶ前にここに音楽教育体験は書いたけれど,音楽の教科書はまったく覚えていない.中学の音楽の先生ならうっすら覚えている.女性教諭は音楽と家庭科だけだった.

見出し画像は現代の教科書の表紙だが,音楽の教科書を出しているのはこの2社だけだそうだ.この本の著者・大谷さんも教科書を作られたらいかが?
さてその,
 大谷能生「平成日本の音楽の教科書」新曜社(よりみちパン!セ 2109/5).
の,第1章 小学校 に続きこのたびは「第2章 中学校の音楽の教科書」.小見出しを示し,その後に要約・補足・私見などをそのあとの [ ] の中に書いた.

・ どんどん増えてる「日本の伝統音楽」 [これは自民党・日本会議路線,などとは書かれていない.]
・ 教科書の半分が和太鼓・筝・三味線・篠笛・尺八だった [知らなかった! でも先生には教えられないらしい.]
・ ドレミのルールに静寂の美学はない [ワビサビとは無縁.]
・ 無理があるしちょっと非常識 [能も歌舞伎も民謡も一緒くたに伝統音楽として扱うことへの批判.]
・ 学校では教えない「日本の伝統音楽」と、学校で教える「西洋音楽」 [著者は美空ひばりに代表される「演歌」は日本の伝統音楽を引き継ぐものと位置付ける.でも演歌は教えない.それはそれとして,富国強兵策の産物としての西洋音楽推奨と,国粋主義的伝統音楽推奨は矛盾するなぁ...というのは 16 とんの私見.]
・ そしてグローバル化を終えた音楽だけが残された [もともと唱歌は西欧諸国の民謡から取捨選択したもので,別な国に輸出しても繁殖できるというグローバル性を持っている.]
・ 「民族音楽」と「伝統音楽」 [教科書では日本の民族音楽だけをあえて伝統音楽と呼んでいる.]
・ 「伝統芸能」の生空間に入り込もう [歌舞伎・能を中学生に見せよう]
・ 「科学的精神」と音楽 [ここから4項目は音楽の物理学の初歩を教えるべしとの意見.大賛成!]
・ 音楽が「崇高な芸術」になるまで
・ 音楽とは空気の振動である
・ 「音の物理学」を学べば聴き方が変わる
・ 「長調」と「短調」ってなに? [なにって聞かれても...とにかくそういうことなんだから覚えなさい.]
・ ぜんぜん理論的じゃない音楽記号のナゾ [音楽には前近代が残っている.ばからしい...と中学時代の16とんも思った.]
・ 「表現課題曲」の印象が薄いのはなぜか [教科書にはつまらない曲ばかり...]
・ 教科書に載っているのは「歌手を持たない歌」である
・ 義務教育は「商品価値」と絶縁する [現在では音楽はビジネス.しかし学校音楽は商品価値とは意識的に絶縁している.]
・ 音楽の授業が不満なのはなぜか [商品としての魅力をもつ音楽に,授業は背を向ける.社会との繋がりを否定するのと同じことだ.]
・ 「みんな」とシェアできない、したくない音楽 [中学生としての自意識のめばえと,イヤホンで聞く自分だけの音楽.]
・ 好き嫌いで人生を決定することの「重さ」 [それに対して,クラシック以外のジャンルの扱いの「軽さ」.]
・ 喋る/書く行為の中にも「音楽」はある
・ 「言葉」を使って、聴く耳を育てる
・ 授業に疑問を持つこと

もう疲れた.このブログは義務教育までとしたい.本そのものは図書館に返却した
高校では音楽は選択科目化し,JPOP も大手を振って登場する.「第3章 高校の音楽の教科書」で本書はますます佳境に入るが,興味を持たれた方は,本を買って読んでください.
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