Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ニッポンのうたはどう変わったか

2020-11-18 08:46:19 | 読書
佐藤良明「ニッポンのうたはどう変わったか: 増補改訂 J-POP進化論」平凡社ライブラリー(2019/4).

Amazon 記載の内容(「BOOK」データベースより)*****
この百年の日本人の心と身体を揺らしてきたのはどんな「うた」だったのか?“和”“洋”“黒”が融合する過程で演歌や歌謡曲が生まれ、うたを受容する日本人の心が変化していくなかで「J‐POP」が育まれる軌跡をスリリングに描く。美空ひばり、フランク永井、森進一、西田佐知子、ザ・スパイダース、キャンディーズ、石川さゆり、さだまさし、サザンオールスターズ、安室奈美恵、そして宇多田ヒカルまで、あの名曲も多数登場。*****

本書の前身は,平凡社新書 「J-POP進化論」(1999).ここでも取り上げる題材は20世紀のもの.このころはまだ16トンもJ-POPについていけたので,なんとか内容は理解できる.E,J,B を 欧風,日本風,黒人風の記号として論じる.W もカントリー・ウェスタンからプレスリーに至る系譜として登場するが影が薄い.
平凡社新書は小泉文雄の音階論に依拠していた.改訂版では社会学的な考察に基づき,J-POP でのラドレミソは日本音階とは無関係に,B の感覚を取り込んできたと主張しているようだ.

著者の「マトリクス」の定義は理工系のそれとは遠く,単に表に整理するだけのこと.
うたの胸・腹・腰,リキミ&ブルース,トンコ・ブルースといった造語がつぎつぎに現れる.これらに同調しなければ先に進めない.しかし本書の内容は豊富にして複雑,そのまま大学の講義に使ってもいいみたい...もう,そうしているのかもしれない.
索引が必要.

J-POP 以前の歌謡曲の作曲家として古賀政男,服部良一などは登場するが,近ごろ巷で話題の古関裕而は完全に無視されている.書店の棚を見渡した限りでも,朝ドラ便乗本を除くと,音楽的に古関を扱った本はないようにみえる,
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