Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

コルソン・ホワイトヘッド「地下鉄道」

2020-11-05 08:41:58 | 読書
谷崎由依訳,早川書房(2017/12),2020/10 ハヤカワ epi 文庫.

Amazon の内容説明「BOOK」データベースより*****
19世紀、アメリカ。南部の農園で過酷な生活を送る奴隷の少女コーラは、新入りの少年シーザーから奴隷を逃がす“地下鉄道”の話を聞き、ともに逃亡を決意する。冷酷な奴隷狩り人リッジウェイに追われながらも、コーラは地下をひそかに走る鉄道に乗り、さまざまな州をわたり、人に助けられ、また裏切られながら、自由が待つという北をめざす。ピュリッツアー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞受賞作。*****

Wikipedia によれば*****
地下鉄道(ちかてつどう、英: Underground Railroad)は、19世紀アメリカの黒人奴隷たちが、奴隷制が認められていた南部諸州から、奴隷制の廃止されていた北部諸州、ときにはカナダまで亡命することを手助けした奴隷制廃止論者や北部諸州の市民たちの組織。また、その逃亡路を指すこともある。地下鉄組織(ちかてつそしき)とも呼ばれる。*****

南北戦争の30年前だが,小説は地下の鉄道網がアメリカの州を超える規模で実在したという仮定に立っている.この仮定にも関わらず,描写はリアル.全12章のタイトルは人名 (アジャリー,リッジウェイ,...) と地名 (ジョージア,サウス・カロライナ,ノース・カロライナ) が交互に使われるが,地名タイトルの章がストーリーを伝える.これらの地をヒロインが転々とする.文中で (解説でも) ガリバー旅行記が引き合いに出されるが,ガリバーが各地を転々としたことに対比しているらしい.

アメリカの長編によくあることだが,最初の数十ページは読みにくい.そこを越えてしまえば,巻を措く能わず,である.ヒロインは逃げおおせるらしいが,彼女に関わった人たちは次々にひどい目にあったり死んだり.彼女自身も殺人犯として手配される.字を読むことを覚え,年鑑を愛読したりする.敵役の奴隷狩りと対等に会話するようになるのも面白い.

図書館で借用.
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