中央公論新社 (中公文庫 2021/8).
Amazon の紹介*****
文学とユーモアエッセイ,二つのジャンルで人気を博した作家・北杜夫.その1956年から83年の間に発表された作品群から作者自身のセレクトによる全10篇を収める。三島由紀夫賞賛の表題作,「岩尾根にて」ほか初期の純文学作品,SF風の寓話「不倫」,随筆「死」まで多才な作家のエッセンスが一望できる自選短篇集.〈巻末エッセイ〉今野 敏*****
帯に「没後10年」とあった.
どくとるマンボウもの以外は,学生時代,山やの友人に言われて「白きたおやかな峰」を読んだ程度のはずだが,なぜか懐かしい気がして,1日で読了.巻末に,著者あとがき・解説(篠田一士)・エッセイ(今野 敏) の3本立てだが,あとがき以外は無くもがな.
著者曰く「初期の短編のほうが後期の短編よりもいいと人も言うし,自分でも或る程度そう思っている.しかし,年齢によって若いころの初々しさを失っていくのは,人間として必然のことである.」
表題作は,いかにも三島好み,でも「賞賛」ではなかったようだ.手紙で「いくらか讃め,同時に「意地悪な」批評もしてくださった」そうである.
「岩尾根にて」は気持ち悪いが良い作品.
「谿間にて」は舞台が徳本峠への谷間から台湾の山中へと飛ぶのだが,オチのあるエンタメ小説と読むこともできそう.
「不倫」はフレームとして SF を使っただけ.
「河口にて」「星のない街路」は海外が舞台.
父・斎藤茂吉をあつかった「死」で,小説世界からとつぜん現実世界へ引き戻された.随筆というには重すぎる感じ.今更ながら「楡家の人びと」を読んでみようかな.
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文学とユーモアエッセイ,二つのジャンルで人気を博した作家・北杜夫.その1956年から83年の間に発表された作品群から作者自身のセレクトによる全10篇を収める。三島由紀夫賞賛の表題作,「岩尾根にて」ほか初期の純文学作品,SF風の寓話「不倫」,随筆「死」まで多才な作家のエッセンスが一望できる自選短篇集.〈巻末エッセイ〉今野 敏*****
帯に「没後10年」とあった.
どくとるマンボウもの以外は,学生時代,山やの友人に言われて「白きたおやかな峰」を読んだ程度のはずだが,なぜか懐かしい気がして,1日で読了.巻末に,著者あとがき・解説(篠田一士)・エッセイ(今野 敏) の3本立てだが,あとがき以外は無くもがな.
著者曰く「初期の短編のほうが後期の短編よりもいいと人も言うし,自分でも或る程度そう思っている.しかし,年齢によって若いころの初々しさを失っていくのは,人間として必然のことである.」
表題作は,いかにも三島好み,でも「賞賛」ではなかったようだ.手紙で「いくらか讃め,同時に「意地悪な」批評もしてくださった」そうである.
「岩尾根にて」は気持ち悪いが良い作品.
「谿間にて」は舞台が徳本峠への谷間から台湾の山中へと飛ぶのだが,オチのあるエンタメ小説と読むこともできそう.
「不倫」はフレームとして SF を使っただけ.
「河口にて」「星のない街路」は海外が舞台.
父・斎藤茂吉をあつかった「死」で,小説世界からとつぜん現実世界へ引き戻された.随筆というには重すぎる感じ.今更ながら「楡家の人びと」を読んでみようかな.