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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

津野海太郎「最後の読書」

2021-09-12 08:50:10 | 読書
新潮文庫 (2021/9).ウェブで読める.

Amazon の紹介*****
目はよわり、記憶はおとろえ、蔵書は家を圧迫する。でも実は、老人読書はわるいことばかりではないよ――。鶴見俊輔、幸田文、須賀敦子……。長い歳月をたずさえて読む本は、豊かで新鮮なよろこびに満ちている。親しい仲間や敬愛する先達との別れを経験しながら、それでも本と出会い続けよう。本を読み、つくり、書いてきた読書人が、その楽しみを軽やかに綴る現状報告。読売文学賞受賞作! 解説・鈴木敏夫*****

全17章.「1 読みながら消えてゆく」に登場する鶴見俊輔は,脳梗塞で言語の受信は可能,発信は不可能.読めるが書けないという状態に陥るが,3年半本を読み続けて没する.「2 わたしはもうじき読めなくなる」の幸田露伴の晩年は,読めない・書けない・でも話せる,だから他人に読ませるのだが,我儘で癇癪持ち.以下「4 目のよわり」「5 記憶力のおとろえを笑う」「7 蔵書との別れ」...など.

著者は1938年生まれ,16とんより三歳年上だが,単行本刊行は 2018年11月とのことで,今の自分ともろに重なり,身につまされることばかりで,気が滅入る.

途中.(こじつけてはいるが) 老人の読書というテーマからは離れる部分もある.「百歳までの読書術」という著書もあるようだ.似たような本を何冊も書くのは大変だろう.ご苦労さまである.
しかし,須賀敦子が登場する最後の2章「16 貧乏映画からさす光」「17 柵をこえる」 では,テーマは社会性を持つ.

「である」調にときどきくだけた「ですよ・ますよ」が混じる文章.

カバー装幀はこの3月に亡くなった,平野甲賀.
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