ずいぶん本を読むことから遠ざかった.座るために体を 90 度曲げた状態を続けると腹が痛くなるためである.しかし何とか解決しつつある.
図書館で「遺言の買い方」本を探すはずが,小説を借りてしまった.
エリー・ウィリアムズ, 三辺 律子 翻訳,河出書房新社 (2023/5).
現代ロンドンの辞書出版社のインターン,マロリーと,19 世紀の辞書編集者ウィンスワースのふたりが主人公.各章がアルファベットで始まり,A,C,E,... がマロリー,B,D,F,... がウィンスワース.後者 (カバーイラスト左) が辞書に紛れ込ませた虚構の見出し語を,前者 (カバーイラスト右) が見つけ出そうと苦闘するというストーリー.,A,C,E,... のほうは合理的に解決するが,B,D,F,... はよくわからないままに放り出される.
辞書は当然英語だから,英語のことば遊びが満載.英語に堪能でない自分のような読者には,面白くもなんともない小説かとおもいきや,訳者の努力でじゅうぶん楽しませてくれた.
ウィンスワースの造語をひとつふたつ紹介すると,
peltee(名) 毛玉,もしくは,すべやかな獣 (「猫」の項目参照) の口から撒き散らされる嘔吐物
cassiculation(名) 透き通った見えない蜘蛛の巣に突っ込んでしまったときの感覚
など.ちなみに前者については注に pelt(名) 毛皮 と pelt(動) 雨が激しく降る/勢いよく動く をもじったもの,とある.
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