Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

銀幕に夢をみた

2011-05-10 08:20:54 | 読書
ニーナ・ルヴォワル 著, 長澤 あかね 訳,PHP 文芸文庫 (2011/03).<- この文庫は初めて買った,というより,初めて認識した.


「BOOK」データベースによれば*****
かつて映画スターだったジュン・ナカヤマ。いまは、人知れず、ひっそりと暮らしていた。しかし、一本の電話が、彼を沈黙の生活から呼び覚ます。自分の突然の引退に関する昔の事件が、再び蒸し返されるのではないか…。訣別したはずの過去と向き合うことで、夢見る日々を取り戻そうとするひとりの男を、抑制された筆致で描く。海外各紙で「深い余韻が残る小説」と高い評価を受けた長篇小説。


いかにも 小説を読んだ ! という感想.
著者は日本人の母とアメリカ人の父のもとで生まれたとのこと.1977 年デビューとのことだが,主人公の老人特有の心理など上手いものだ.設定は 1964 年だがストーリーは 1920 年初頭のサイレント映画時代と往ったり来たりする.戦前の日本人排斥ムードも奥行きを作っている.ミステリーではないが,意外な結末はなかなか良い.

訳者あとがきに「早川雪洲を思い浮かべる人も多いでしょう」とあるが,「戦場に架ける橋」の早川とこの小説の主人公とはイメージが一致しない.早川さんも 20 台で引退したほうが良かったのかもしれない.
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絵画展のキャプション

2011-05-08 07:53:41 | お絵かき


絵画展ではタイトルと作者を書いたカードがピンで留めてある.「波の会」展では,あのカードも作者が作ることになっている.そのなかから 4 枚.
見て回ると,こうしたものに凝るのは女性だということが分かる.

上から 2 枚目はこの会の主催 広島大学名誉教授 難波平人先生のもの.このカードは美術品扱い.打ち上げ会場でじゃんけんトーナメントを勝ち抜いた方のものになった.
タイトルも名前もよくわからないあたりが貫禄だ.

「わだかまり」はどこか辻まことを連想させ,ぼく的にはベスト.「カーニバル」のキャプションは赤だが,作品はメルヘン的で黄色が主体.「コーラスライン」は,作品そのものとの関係が不明.

「波の会」展は広島県立美術館地階で 今日1700まで.
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新・日本の七不思議

2011-05-06 15:56:42 | 読書
鯨 統一郎著 創元推理文庫 (2011/04)

「新」というのは,「邪馬台国はどこですか?」という旧著が日本の七不思議を扱っていたから.その後の「世界の七不思議」もおもしろかったので,迷わず購入したが期待はずれ.

前2作で,歴史の珍解釈をめぐり けんか漫才を繰り広げていた男女が仲良くなってしまったのがおもしろくないし,

7 編のうちの書き下ろし 2 編は短くて埋め草みたいだし.

最後の「真珠湾攻撃...」にはストーリーがないし.

総じてばかばかしさが薄れたのが不満.解説 (波多野健) には,「邪馬台国...」の歴史推理は誰もホントと思わない」という笠井潔の批評に発奮して,本気を出したという意味のことが書いてあるが,単にネタ切れをフェイントでごまかした印象.中で読ませるのは,空海中国人説.
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あやふやだけれど 仕方ない 許容放射線量

2011-05-04 10:23:25 | 科学
最近,福島県の校庭の放射線量が問題になっている.初めはクニが基準を作れ,次にはクニは基準を見直せ,おクニを信用しないくせに,おクニに頼りたがる国民ではある.

五十年近く前,大学で「放射線健康管理学」という講義を取った.内容はアカデミックとは言い難かったが,「放射線はどんなに微量でも有害」という先生のお言葉だけは印象に残っている.それ以来退職するまで,放射線被爆を管理されて来た.

日本の大学・研究所の放射線管理方針は国際放射線防護委員会 (ICRP) の「勧告」に従っている.この勧告は,科学が社会に妥協した産物である.科学と言っても今のレベルでは,小線量の放射線障害は確率的で晩発的な現象を手がかりにするしかないので,あまり説得力がない.それでも,何年か毎に見直しがあり,規制値は厳しくなる方向ではある.

この勧告によれば,同じ人間なのに,放射線業務従事者と一般公衆とで許容線量が違う.これはおかしい.タクシー運転手が交通事故に遭うのは当然 みたいな論理.放射線業務従事者は線量計 (たいていフィルムバッジ) をぶら下げ,定期的に健康診断を受けることになっているから良いのだ,というのもへ理屈めいている.

大学ではフィルムバッジを付けて定期健康診断でエックス線撮影を受けてみるという,好奇心おう盛な理工系学生が後を絶たない.しかし,病院で診断のときに浴びる放射線は線量管理の対象外らしい.診断や治療では線量に見合った利益があるのだという説明をされる.たいていの場合利益を得るのはお医者さんじゃないの ? 健康人が健康診断されたがために後年癌を発生する確率は計算されているのだろうか.

海外旅行などで受ける線量を管理外とするのもおかしい.放射線作業従事者には航空機を利用を制限しなくていいのか.

要するに
この勧告はあやふやなものだ.その原因は,線量が小さいうちは放射線障害は確率的で晩発的だから,どこに線を引くかは主観の問題だからだろう.
でも,これに変わる基準を作ろうとしても,大騒ぎの末に似たようものになるがおちである.
放射線被曝の「歯止め」に使うなら,ICRP 勧告しかないのだ.

確率的障害というのは曲者で,人為的放射線がゼロなら,例えば 1000 人にひとり癌になるところがある線量ではふたりになると言うようなことである...ふたり目は自分かもしれないし,あなたかもしれない.でもそうは考えられないところが,人間の浅はかさ.

1000 年に一回のはずの大津波がやってきた悲劇と,どこか似ているのでは.



「放射能泉」という温泉では,いわば,アルファ線の体内被曝を推奨している.その功罪は ? ICRP の公式見解を知りたいものだ.
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ダークダックス

2011-05-02 09:05:56 | ジャズ
ダークダックス シュブン(Sh-Boom) 1985


3 月末に「ありがとうダークダックス」というテレビ番組があった.トップテナーのパクさんがなくなって,ダークタックスはおしまい.現在ゲタさんは著述に精を出し,ゾウさんはアマチュアコーラスの指導をしているらしい.

ダークダックス以前には,リリオリズムエアース,ブライトリズムボーイズなどがあったが,(ダークダックスを含め) もっぱらソロ歌手のバックコーラスをつとめていた.シュブンは日本で初めてコーラスがソロ ? をおこなった記念すべき一曲だった そうだ.もともとは The Chords のヒット曲で,YouTube にも映像がある.

If ...., life could be a dream

という歌詞で,高校生だったボクたちは仮定法をベンキョーした.

ダーク版では原曲のドゥワップっぽい脂っこい汗臭さが流されて,いかにも慶応ボーイ的.ご当人たちも自信がなかったらしく、デュークエイセスやキングトーンズが台頭したら,あっさりこの路線から撤退してしまった.
個人的には,ダークダックスのジャズ,とくに服部克久編曲によるパクさんがメロディを担当するものが好き.CD で言えば As Time Goes By.若い人にくらべると断然リズムがよいが,英語はパクさん以外は日本人的.
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reading

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