Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「迷宮」ボケたことが本人には分からない

2014-05-11 07:53:02 | 読書
3月に亡くなった大西巨人の小説が何かあったはずと,探して
「迷宮」光文社文庫(2000/2)
を発掘.内容を全く記憶していなかったが,読み返したら身につまされるものがあった.著者 79 歳の作品.読む側の年齢が書いた側に追いつきつつあるということだろうか.

「BOOK」データベースより*****
元作家・皆木旅人が謎の死を遂げた。皆木は、寡作ながら作家として高い評価を得ていたが、二十余年前、突如文壇を去っていた。皆木の遠戚・春田大三は、海外旅行から帰国後、初めてその死を知った。遺書が残されてはいたが、どうしても皆木の死が自殺とは思えない春田は、その死の謎を追いはじめた。人類普遍のテーマに挑む、文学ミステリー、現代人必読の書。******

ミステリと思って読みはじめても,全然ミステリらしくない.古今東西の文献 (映画の批評等もある) の引用と,それに対する登場人物の見解が披露されるだけである.読み難いかと言われるとそうでもない.文体に独特のリズムがあるせいだろう.へんてこな読み方をさせる人名がおもしろい.伊阿胡右(これおかひさあき) とか,宜前市也 (よしさきまちや) とかには,モデルがいるのだろう.

叙の章,第1章,第2章,... ときて最後が跋の章.ここでやっとミステリっぽくなる.
以下,ミステリならネタばれになるが,この小説はネタばれの影響は受けそうもないから良いことにする.ボケてもそのことが本人には分からない.このことを恐怖と感じる元作家が,妻に頼んだ嘱託殺人ないし承諾殺人だったという結末.実際のボケ場面が出てこないから,ぜんぜん観念的.その頭でっかちぶりに感心すべき なんだろう.時計のトリックとか,不器用な恋愛小説的な味付けは読者へのサービスだろうか.

ボケることは死ぬための準備,夫婦間ではボケたもの勝ちなどと,気楽に構えている人種には無縁の小説.

知らなかったが,大西巨人氏は晩年 原発容認発言で話題になったそうだ.ウェブで見た限りでは,禅問答的な発言でよくわからない.
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「霧笛」からゴジラまで

2014-05-09 08:38:32 | エトセト等


ワーナーのゴジラ 2014 がこの夏公開予定.キャッチコピーは{世界が終わる・ゴジラが目覚める」だそうですが...

「霧笛」はレイ・ブラッドベリの短編.灯台の霧笛に惹かれて海底から恐竜が現れ,去って行くという詩みたいな小説.

Wiki によれば,この「霧笛」は 1951 年,The Beast from 20,000 Fathoms のタイトルで発表された.その後,核実験で目覚めた恐竜がニューヨークを破壊するという,1953 年製作のアメリカ (ワーナー・ブラザーズ) 映画に,このタイトルが採用され (売ったのかもしれない) ,ブラッドペリはもともとの小説のタイトルを Fog Horn に変えたとのことである.
Fog Horn の方がずっと良いと思う.

そんなことは知らず,「霧笛」を読んだときはすぐゴジラを連想した.
映画 The Beast from 20,000 Fathoms は「原子怪獣現る」というタイトルで 1954 年 12 月に本邦公開.観たことはないが広告は覚えている.
ゴジラの公開は 1954 年 11 月.現在のように東西交流が迅速ではなかった時代だから,ゴジラがこの原子怪獣にどの程度影響されたか,判らない.でも原子怪獣のほうは今では誰も覚えていない.後出しゴジラの成功は,その命名 (ゴリラ + 鯨 と聞いている) にあるのだろう.ちなみにゴジラの原作者は香村 滋で,当時の少年雑誌でもときどき名前を目にした.

連想は不可避とはいえ,これらの怪獣映画と「霧笛」とは無関係.

「霧笛」は学生時代,ハヤカワ SF シリーズ (ハヤカワ・ボケット・ミステリと同じ造本) の「太陽の金の林檎」小笠原 豊樹訳 (現在はハヤカワ文庫 SF, 2012) に収録されていたのを読んだ.毒々しい表紙と粗悪な紙質のペーパーバックが,ポケミスでは上等なブンガクに変身したように思えた.
今では原文をネットから無料でダウンロードできる.
現在「霧笛」は「ウは宇宙船のウ」にも収録されている.大西 尹明訳,創元 SF 文庫 (2006).この短編集の原題は R is for Rocket,内容は「太陽の金の林檎」と重なっている.
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猫のループ・タイ

2014-05-07 08:14:37 | エトセト等


ベネチアン・マスクふうのデザイン.

クール・ビズとかで一時ループタイが流行ったが,様になる人はいなかった.これも壁掛けにしておくのが無難と思うのだが,作家さんは「着けて下さい」とおっしゃる.
ネクタイの代用というのは忘れて,若い人を見習って,気楽に,ということらしい.
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King Kong

2014-05-05 08:17:49 | ジャズ


King Kong: Jean Luc Ponty Plays The Music Of Frank Zappa

ゴジラの先輩 キングコング.
Zappa という名前の響きと,ジャケットにつられてこの LP を衝動買いしたのは 1970 あたり.バイオリン・ジャズ初体験だったが,この曲は Jean-Luc Ponty にとつても大切なレパートリのひとつになったようだ.エレピは George Duke.

LP そのものは,他のと一緒に売り払った.B 面の "Music for Electric Violin and Low-Budget Orchestra" が現代音楽っぽい大作だったと思う.もう一度聞いてみたい.

この King Kong もバンドで演奏できそう.26 小節/コーラスなのがイヤな感じ.

「金黄」と書くと Kong Kong だと聞いたことがあるが,本当かな.
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ユーミンの罪

2014-05-03 08:27:15 | 読書
酒井順子著 講談社現代新書 (2013/11).

図書館で発見.

目次
1 開けられたパンドラの箱 「ひこうき雲」(1973年)
2 ダサいから泣かない 「MISSLIM」(1974年)
3 近過去への郷愁 「COBALT HOUR」(1975年)
...

というふうに,ユーミンの1991年までのアルバム毎に章をたてている.各章の扉には曲リストと,その年の流行とかできごととか.続いて,時代背景にひっかけて,ユーミンを褒めるでもなくけなすでもない本文.タイトルから連想される「断罪」という感じはない.ユーミン自身があちこちに書き散らした文章も随所に引用されている.

ブンガクという視点だけで,音楽という視点はない.
キーボードをいじり始めた頃,左手でコードを弾き,右手でメロディを弾いた.しかしそのようにユーミンのアルバムと付き合ったのも最初の2-3枚で,後はとびとびにヒット曲を意識した程度,たぶんそのあたりで,「詞」は別として,ユーミンの「曲」は出尽くしたのかもしれない.
でも,ユーミンの魅力は作詞・作曲・歌い手という三位一体にあると思うのだけれど.

雑誌 小説現代に連載されたそうだが,本として通して読むのはちょっとホネ.どうせ借りた本だということもあり,申し訳ないが途中で放り出した.

面白かったのは,卒業写真のあの人は,実はユーミンが通った女子高の怖い体育教師 (女性) のことだという怪説.

自分にとっての,今は昔 だが,高校時代に国語があった.古文は外国語みたいなものだから,勉強する意味があるとは思ったが,現代文は時間の無駄と思えた.教科書の文章に対する世の中の標準的な解釈を押し付けられるように感じた.この本も,うまい先生による歌詞をネタにした国語の授業という感じ.
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バートン・グリップ

2014-05-01 09:58:21 | ジャズ


ビブラフォンのマレットを 2 本持つ奏法と 4 本持つ奏法がある
ゲイリー・バートン風のアレンジで Bag's Groove をやってみようと言うことになり,上記ビデオを探し出した.

4 本の持ち方 (握り方・グリップ) にもいろいろあって,このビデオでも言っているように,ビブラフォンの世界では Joe Locke 等がやっている Musser Grip というのも有力だそうだ.要するに慣れの問題らしい.ちなみにMusser はビブラフォンのメーカーです.

今まで 4 本奏法は敬遠していたのだが,やってみるとおもしろい.
2 本,すなわち片手に1本ずつだと,肘から下がすべてマレットという感じで音板をひっぱたく.この快感が日頃のストレス解消に繋がるのだが,片手に 2 本ずつだとこの快感がないのが難点.あと,マレットの柄が掌の中でカチカチ言うのが気になるが,これは当人にしか聞こえない,と思うことにする.

ピアノやギターなどのコード楽器と,どう折り合いをつけるかが問題.

曲によって,2 本・4 本を持ち換えてみたい.
コメント (1)
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reading

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