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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【HUNTER2021.09.08】:筑後市の怪文書騒ぎ|副市長と前議長の関与明らかに

2021-10-07 08:27:50 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【HUNTER2021.09.08】:筑後市の怪文書騒ぎ|副市長と前議長の関与明らかに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.09.08】:筑後市の怪文書騒ぎ|副市長と前議長の関与明らかに 

 怪文書騒ぎで揺れる福岡県筑後市。騒ぎの裏で動いていたのは、市議会の前議長と現役の副市長だった。

 ハンターは、全農パールライスが取得した土地の疑惑に絡め、地元の県議や市議らに濡れ衣を着せる形の印刷物をばら撒いてきたグループに、副市長や前議長が加わっていることを示す告発文書を入手。告発した筑後市在住の男性の自宅で、告発の経緯や背景について詳しく聞いた。以下、衝撃のインタビュー結果である。

 ■利用された告発人

 告発文を作成し、筑後市議会関係者に配布したのは筑後市に住む高井良孝久氏。防大出身の元自衛官だという同氏は、新たに作成した時系列に沿った文書を確認しながら、記者の質問に答えた。以下、その概要である。

Q:はじめに、なぜ告発ということになったのかをお聞かせ下さい。
A:端的に言うと、信じていた人間に裏切られたということ。そのせいで、私が支援してきた市議会議員の名誉を傷つけ、市議会にも迷惑をかけることになった。とんでもない陰謀に加担させられたことに憤りを覚えましたし、贖罪の意味でも本当のことを申し上げるべきだと考えました。

Q:市議会議員に配られた高井良さんの文書を拝見しましたが、大変な内容です。関係者から訴えられるのではないか、という心配はなかったですか?
A:まったくありません。私は自分が残した記録の通りを文書にしたまで。内容が嘘だとか、間違いだと言われるはずがないからです。

Q:裏切られた、という点について、詳しく話していただけますか?
A:ご存じとは思いますが、筑後は、去年から例のパールライスが買った土地の件で、ゴタゴタが続いてきました。おたく(ハンター)も記事に書かれとったでしょ。何種類も文書が出て、まず県議の蔵内(勇夫)さんが土地取引に介在したかのような話が出回った。それが否定されたら、今度は貝田義晴議員が蔵内県議の話や漏れるはずのない土地の取引額の情報源だとするビラがまかれた。やっているのは同じメンバーですよ。で、貝田議員が濡れ衣だったことを説明する集まりを開いたんですが、私がその会に参加することを知ったメンバーの代表者の下川良彰さんが、「絶対に迷惑はかけない。確認するだけだから」というので信用して、その会の様子を録音してCDにして下川氏に渡しました。ところが、その直後に問題の文書(下、参照)が出回ったんです。この内容は、録音データを使わないと絶対に分からない。書いた人間も文体から想像がついた。騙されたあげくに、長く支援してきた貝田議員を裏切った形になった。そりゃ、誰だって怒るでしょ。利用されたんだから。

 ■スタートは「農業の自立を考える会」の怪文書

Q:なるほど。信用した相手に裏切られて告発に至ったということですね。ところで、高井良さんが市議会側に配った文書には、別紙が添付されていました。その内容について、おうかがいします。
A:時系列に沿って話します。まず、昨年秋に「農業の自立を考える会」という団体名で、パールライスの精米工場建設にまつわる疑惑を伝える文書が配られました。そのころ、私は疑惑が事実ならけしからんことだと考え、その会に入会したんです。その時は、「全農パールライスに説明を求める会」に名前が変わっていましたけどね。

Q:団体名が変わった理由について、聞いていましたか?
A:「農業の自立を考える会」のビラには代表者の名前も住所もありませんでした。記者さんがお持ちのビラ(下の画像)は、つまり怪文書だったわけです。会の関係者に聞いた話では、きちんと文書の出所を明からにするようにとの弁護士の指導があり、新しい名前にしたということでした。

  ■暗闘の背後にいたのは・・・

Q:誰からの誘いだったんですか?
A:親戚の者から誘われました。

Q:メンバーは?
A:代表が市長(西田正治筑後市長)の後援会長の下川良彰さん、事務局長が市会議員に落選した北島一雄でした。

Q:北島一雄さんは、いまの筑後市副市長で間違いありませんか?
A:そうです。市議を落選した人が、なぜか副市長(笑)。

Q:ビラに書かれている内容を、信じていましたか?
A:信じるの何も、下川さんも北島も、昔からよく知っている関係ですから、それに議長も加わっておったわけだから……。最初は信じてましたよね。

Q:議長というのは、今年3月まで市議会議長だった原口英喜市議会議員のことですか?
A:そうそう。

Q:他のメンバーは?
A:昨年の11月9日に久留米市の弁護士事務所に行って、パールライスの問題の作戦会議をしたんですが、その時には私も含めて10人が参加しました。その時のメンバーというのが、下川、原口、北島、それに市会議員の永松孝信、共産党の貝田義博、あとは農政区長が何人かいたですね。農政区長は下川さんの関係でしょうね。

Q:なるほど。それだけのメンバーがいたことで、ビラの内容を信じたわけですね。ところで、久留米の弁護士事務所に行ったのは1回だけですか?
A:いやいや、4回。4回行ってます。

Q:原口前議長も?
A:原口は2回。間違いない。北島は1回。その頃、北島を副市長にという話が出始めていたから、表にでるとまずいと判断したのかもしれない。

Q:弁護士さんも含めてですが、下川さんたちのグループは土地代9億5千万の根拠はお持ちだったんですか?
A:いや、ないから、どうやって証明していくかという相談が続いたわけで、いろんな策を示されてましたが……。

Q:根拠は得られなかったと――。
A:なかったですね。

Q:蔵内県議が土地取引に介在したという証拠も?
A:ないない。あるもんですか。噂だけでしたから。それも、貝田(義晴)市議から聞いたとか、いい加減なものだった。結局、貝田(義晴)市議は原口議長(当時)から聞いたというんですから、信憑性はどこにもない話ばかり(笑)。

Q:整理すると、前議長や副市長さんたちは、下川氏の名前の裏に隠れて、地元選出の県議に濡れ衣を着せたことになります。さらには、情報源を貝田晴義市議だと断定するビラまでまき散らした。パールライス問題を利用し、二人の政治家を陥れたんですね。
A:そうです。人間として許されることではないですね。しかも、平気で人を利用して、裏切る。下川さんも利用されているだけでしょうが、残念です。北島氏に副市長としての資格があるとは思えんし、原口氏も大言壮語する割には、後ろで動くだけ。人間としていかがなものか、私はそう思います。

 高井良氏へのインタビューは約1時間半。昨年から続いてきた土地取引きに絡む暗闘の裏に、副市長と前議長が関わっていたという証言は極めて重いと言わざるを得ない。証拠もないのに地元選出の県議に疑惑の目を向けさせ、関係のない市議に濡れ衣を着せて陥れようとした罪は決して軽くはあるまい。

 原口前議長は昨年12月、取材で自宅を訪ねたハンターの記者に、パールライスの土地取引を巡る怪文書騒ぎについて、こう語っていた。
私がなんか、後ろでしよる(やっている)という噂があるんですよ。まったく、私はタッチしてないんですよ。私はまったくタッチしていない」――原口氏は、“嘘つきは泥棒の始まり”ということわざを知っているのだろうか。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2021年09月08日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER2021.09.07】:筑後市の暗闘に新事実|浮かび上がった黒幕たちの顔

2021-10-07 08:27:40 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【HUNTER2021.09.07】:筑後市の暗闘に新事実|浮かび上がった黒幕たちの顔

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.09.07】:筑後市の暗闘に新事実|浮かび上がった黒幕たちの顔 

 福岡ソフトバンクホークスのファーム施設があることで知られる福岡県筑後市で起きた暗闘の裏で、北島一雄副市長と原口英喜前市議会議長が動いていたことが分かった。

 副市長と前議長が加わっているグループは、疑惑を呼んだ土地取引に地元選出の県議が関与したと思わせる印刷物を何度も配布。特定の市議を印刷物の情報源に仕立てて責任を押し付けていた。濡れ衣を着せた二人の政治家を陥れる目的があったとみられ、たくらみに利用された男性が市議会に告発文を提出する騒ぎとなっている。

 ■市議全員に怪文書

 醜い騒ぎのきっかけとなったのは、筑後市内の土地取引を巡る疑惑だ。2016年、八女郡広川町に本社を置く不動産業者が、Jr羽犬塚駅の近くにある約18,000㎡の日清製粉筑後工場跡地を入札で取得。その後、一部を筑後市が道路用地として買収し、残った全ての土地を農協の全国組織「全国農業協同組合連合会」(JA全農)の米穀部門を統括する「全農パールライス株式会社」(本社:東京)が購入する。

 この過程で、約3.3億円の土地が3倍の9.5億円に膨らんだとされ、同市の市民団体が、代表名で疑惑を追及する印刷物を何度もばら撒く事態になった。一連の顛末については、今年6月の配信記事で詳しく報じている。

3.3億が2年で9.5億|筑後市を揺るがす全農パールライス土地買収の核心(上)

黒幕は・・・|筑後市を揺るがす全農パールライス土地買収の核心(下)

 9.5億の根拠が薄弱な上に、当初配布された印刷物で土地疑惑の張本人に仕立て上げられた蔵内勇夫県議も無関係。さらには、土地の値段や県議の関与を漏らしたと印刷物で名指しされた貝田晴義市議会議員も、濡れ衣を着せられたことが判明する。

 沈静化するものとみられていた“文書事件”だったが、7月になって筑後市の市議全員に下の文書が配られたことで大きく動く。

   文書は、貝田市議が濡れ衣を着せられた経緯を地元住民に説明するため開いた集会を茶化す内容で、団体名の「筑後市のあしたを考える会」も、既存の団体名に似せたもの。それまでに出回っていた「全農パールライスに説明を求める会」や「全農パールライスの背任行為を追及する会」の印刷物にみられた代表者名も住所もなく、出所不明のいわゆる「怪文書」だった。ただし、記述のうち挨拶した人の顔ぶれなどは参加した者でなければ分からない内容で、何者かが集会の状況を、怪文書を作成した人物に漏らしたとみられていた。

 ■告発文で急展開

 しかし、その証拠をつかむのは無理な話。実行者が名乗り出ないかぎり、真相は藪の中だ。ところが、8月になって事態が急展開する。「私が録音データをある人物に渡した」と、市内在住の男性が貝田市議本人に名乗り出たのだ。名乗り出たのは貝田市議の古くからの知人。よほど申し訳ないと思ったらしく、今度は筑後市議全員に、「高井良孝久」と名乗った形で「利用された」とする文書を配布した(下の文書参照)。

  市議らに配布された文書によれば、男性が録音データを渡した相手は「全農パールライスに説明を求める会」や「全農パールライスの背任行為を追及する会」の代表を務めている下川良彰氏。同氏は、西田正治筑後市長の後援会長で、市議を落選して副市長の椅子におさまった北島一雄氏の後援会幹部も務めていたという市の有力者だ。その下川氏に「利用され」、「スパイ活動の片棒を担」いだことを「懺悔」するというのだから、ただ事ではない。全農パールライスを追及しているという“正義の士”らが、市議会議員の集会を録音し、怪文書をまく理由は何なのか――?

 ■告発文「別紙」の驚くべき内容

 ここでハンターの記者が注目したのは、「詳細については別紙のとおりです」という記述だった。残念ながら、その「別紙」が確認できていない。「利用された」とする男性にも話を聴きたい。市議らに配布された文書の真偽も確かめねばならず、筑後市内での取材を続ける中、ようやく問題の「別紙」を入手する。下がその現物だ。

  市長の後援会長に「利用された」とする告発にも驚いたが、「別紙」は、それをはるかにしのぐ衝撃をもたらす内容だった。

 一連の印刷物をばら撒き、市民の間にあらぬ疑念を生じさせた団体の事務局長が現役の副市長である北島一雄氏、さらに、メンバーの中に藤丸敏衆議院議員の地元後援会会長を務める原口英喜前市議会議長まで含まれていたというのだ。記述が事実なら、現役の副市長や前議長が、たまたま浮上した土地疑惑を利用して地元の県議や市議を陥れようとしたことになる。

 ハンターの記者は、上掲の文書を作成して市議会に配布した高井良孝久氏に接触、インタビューを申し入れて承諾を得る。残された記録を基にした高井良氏の話は、現市政が吹っ飛びかねない内容のものだった。

(以下、次稿)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2021年09月07日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER2021.09.06】:独裁の証明|福岡県町村会会長・永原譲二大任町長との一問一答

2021-10-07 08:27:30 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【HUNTER2021.09.06】:独裁の証明|福岡県町村会会長・永原譲二大任町長との一問一答

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.09.06】:独裁の証明|福岡県町村会会長・永原譲二大任町長との一問一答 

 法律を無視して町発注工事の入札結果や施工業者を隠蔽している福岡県大任町の永原譲二町長が、取材したハンターの記者とのやり取りの中で、「独裁者」としての姿勢を剥き出しに非常識な持論を展開した。

 ■「資産公開」閲覧は町民だけ

 町発注工事の実態を頑なに明かそうとしない大任町。すべての入札結果を隠蔽する自治体は全国どこを探しても存在しておらず、工事現場で掲示されている「施工体系図」まで非開示にする姿勢は異常だ。永原町政下で、数十億円、数百億規模の公共工事が次々に発注されている現状では、違法な隠蔽の背景に町長と業者の癒着があるのではないかと疑わざるを得ない。不正な蓄財はないのか――確認するには、永原氏が保有する不動産や預貯金といった「資産」を調べるしかない。

 先月、ハンターの記者が大任町の総務企画財政課に対し、町長の資産公開資料を閲覧できるかどうかの確認を入れたところ「できます」という返事。誰でも見れるのかと聞くと「見れます」と明言したため、28日に大任町役場に出向き、資産等報告書の閲覧を申し出た。ところが……。

 窓口でいきなり「閲覧できません」と開き直ったのは、「新任で何も分からない」という同課の課長。「大任町政治倫理条例」の該当箇所を示して(下の画像参照。赤いアンダーラインはハンター編集部)、「町民しか見られない」と言う。

 “何日も前に電話で確認した上で来所した。町民だけだというなら、なぜ連絡して訂正しなかったのか”と抗議するが、謝罪するどころか「誰か行かせるとおっしゃったから」「町民が来るかもしれなかった」などと、こちらの言葉を逆手に問った言い訳に終始する。

 ならばと、「町民なら閲覧させるのか」と念押ししたところ、「すぐにという訳にはいかないかもしれません」と抵抗が続く。首長の資産公開資料を出し渋る役所など聞いたことがない。理由を尋ねると「決裁がいるはず」という返事だ。「いるはず」などと曖昧な話に納得するわけにはいかない。重ねて“本当に決裁が必要なのか?決裁権者は誰なのか?”と追及したところ、前任者に確認してくると言い出した。

 いったん席を外した課長は帰ってくるなり、「決裁は町長がする。町長にお会いになりますか?」と意外な申し出。ついさっきまで「町長は外出しておられます」と言っていたはずと訝ったが、郵送した質問書を黙殺した永原氏が会うというのだから、喜んで町長室に案内してもらった。以下、やり取りの概要である。

 ■コロナ感染を隠しているわけは?

――なんで町長とお仲間のコロナ感染を公表しないのか?
永原町長:誰が感染したの?

――大任町内の病院で陽性判定を受け、田川の市民病院に入院されてと聞いているが。
永原町長:全然違いますけどね。誰が、その、嘘言うておりますかね。

――取材源は明かせない。
永原町長:言えんのやったら、俺も答えられん。だからそれが事実ならいいけど、その事実じゃないいろいろなことをね、書かれたっていうのは答えるいわれもないし。そのそれが、例えばどうした、誰がどうしたとかとかいうことは

――正月、天ケ瀬の別荘に行ったのではないか?
永原町長:あんた、私がどこに行こうと……。

――事実無根と言えば済む話だ。
永原町長:そういうことは、一切、無根であるとかそういうことは……。

 

 ■資産公開閲覧決裁「私がいるっち言っとる」

――「町長の資産公開の資料を見られるか」と聞いたら、「見れる」という返事だった。来てみると「見れない。町民だけ」という。非常に不誠実。では、町民なら見れるのかと念を押すと、決裁が必要になると言い出した。本当か?
永原町長:本当です。で、俺の資産公開を?なんで?

――取材の一環。町長の決裁がいるのかを聞いている。
永原町長:いりますよ。私がいる。私が知らないと。もう行政の内規の問題だから。外部からウダウダ言われる筋合いは何もないですよ。外部の人からね、なんでそんな決裁がいるんかとか。一つ聞きたいけど、福岡の人がですよ、なんのために私のそれがいるんですかって。それは、私はこんなこと初めてやきぃ。その私の財産を、よそから来た人がね、そんなことも町民でもそんなこと見らんのに、なんでそんなこと来るんかねって。

――取材だと申し上げている。
永原町長:いや、だから、ただ取材だけでは……。そしたらね、いや、そりゃー、あんたたちは取材っちいうけども。今現実にいろんなことが行っちょるんですよ、と。あのね、そのうちわかりますよ。お宅のね、お宅に情報を流した奴らがどんな悪いことをしよるか。

――奴ら?情報を流した?どういうことか?
永原町長:あのね、お宅が情報をね、大任のことを知らんで書くことは、いろんな情報を貰いよるんでしょ。

――取材対象は多岐。多くの人に話を聞く。
永原町長:だから、行ったんでしょ?裏を取りに。例えば、言いますよ?病院に行ったら情報を教えますか?

――情報源を答えるつもりはない。話をすり替えずに、質問に答えてはどうか。
永原町長:なら、私も答えるつもりはないじゃないですか。

――資産公開の資料を閲覧するのに、あなたの決裁がいるのか?
永原町長:私がいるっち言っとるけん、私がいるんです。

――あなたがいると言っているだけ?別に条文化はされていない?
永原町長:それは知りませんよ。

――知らない?あなた、自分で何を言っているか分かっているのか?
永原町長:なーんが、私は最高責任者ですから。

――あなたが決めたことは絶対だと?
永原町長:またあんた書きゃいいよ。また、あんた独裁的って書けばいいじゃないの。

――もちろん、そう書くが。
永原町長:何書いても良いって。

 25分ほどのやり取りの中で永原氏は、違法に町発注工事の入札結果や施工体系図を隠すことについて、「それなりの理由がある」と強弁。“法律より町の勝手な理屈が上に来るのか”と問い詰めても、「それなりの理由」を繰り返すばかりだった。

 どこまで行っても平行線、資産公開の資料は、最高責任者の自分が決裁しなければ見せられないと断言する。「私の財産を、よそから来た人がね、そんなことも町民でもそんなこと見らんのに、なんでそんなこと来るんかね」に至っては、公人としての自覚がないことを宣言したようなものだ。

 やり取りの終盤で、いきなり実際の企業名を挙げて「あんたのところ(ハンター)に情報を流しとる」と決めつけたが、これまで同町が公文書を非開示にするたび理由として挙げてきた《公にすると、人の生命、健康、生活、財産または社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある》とは真逆の行為に、呆れるしかなかった。まさに「独裁」である。

 取材の最後、記者は永原町長にあることについての確認を求めた。これに対して町長は――「知りません。答える必要はない」。記者が投げかけたのは、永原町長が否定すれば真っ赤な嘘、認めれば県町村会会長だけでなく当然町長も辞任しなければならなくなる事案についての認否なのである。「答えられない」が本当のところだろう。詳細についての記事は、近く配信する予定だ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2021年09月06日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.09.04】:菅退陣で情勢混沌 総裁選は岸田・河野・石破の争い?

2021-10-07 08:27:20 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER2021.09.04】:菅退陣で情勢混沌 総裁選は岸田・河野・石破の争い?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.09.04】:菅退陣で情勢混沌 総裁選は岸田・河野・石破の争い? 

 4日、菅義偉首相が、自民党総裁選に出馬しないことを突然表明した。

 菅政権の閣僚の一員である河野太郎ワクチン担当相が、総裁選に出馬する意向であることを周辺に明言。石破茂元幹事長の動きにも、注目が集まっている。すでに、宏池会のトップ・岸田文雄前政調会長が出馬表明しており、次の総理・総裁の座を巡っての駆け引きが、一気に激化した状況だ。

 ■河野氏出馬で様相一変

 力尽きた菅首相について、ある自民党の大臣経験者がこう話す。

 「自民党の役員人事で、人気がある河野氏を幹事長で起用したいと思っていた。だが、本人が固辞。河野氏が所属する麻生派の領袖・麻生太郎副総理兼財務相からも断られた。それなら、安倍晋三前首相や麻生氏に支援が得られるような人物をとあたったが、菅首相の泥船には乗れないと、ほとんどの人から断られた。安倍政権時代から人事ですべてを牛耳ってきた菅さんだからこそ、東京オリンピック・パラリンピックを強引にやって、ワクチン接種を催促することができた。だが、最後は得意の人事が使えず、ジ・エンドですね」

 さらに、こうも言う。

 「河野氏は現職大臣で、菅さんとも良好。菅さんが出る総裁選では争うつもりはなかった。ところが、出ないと聞いて一気に勝負に出たんでしょう。菅首相辞任のニュースであふれるなか、出馬の意向を報じさせるあたりはさすがにうまい」

 人気者の河野氏については小泉氏も支援の意向だとされ、岸田氏優勢と見られていた情勢が変わりつつある。

 だが、河野氏は菅政権でのワクチン担当。菅首相のコロナ対策イコールワクチン接種という「一本足打法」を支えてきた立場だ。そのワクチンは供給不足が続いている上、異物混入などのトラブルが続いている。若い世代のワクチン接種を進めたいと、東京都が渋谷で予約なしの会場を設置したところ、「密」の大行列。抽選となったが、今も行列は絶えない。当然、責任はワクチン担当の河野氏にある。

 「いくら人気があるといっても、ワクチン供給や接種が予定通り進んでいないのは事実。本来なら、ワクチン担当相を辞任してもおかしくないほどの失態が続いている」と河野批判を強めるのは、岸田派の衆院議員。確かに、正論である。

 ■注目集める石破元幹事長の動き

 一方、岸田氏も地元広島では、河井克行・案里夫妻の公職選挙法違反事件と自民党本部からの1億5千万円の支出など問題を抱えたまま。今年4月に行われた案里氏の失職に伴う参院広島選挙区再選挙でも無名の野党候補に敗れた。

 「岸田氏は総裁選で安部氏の支援がほしいのか、まったく1億5千万円の問題には触れない。再選挙でも自分の連れてきた元官僚に大差で敗れた。勝負勘、決断力がない人が総理になれるか」と河野氏の所属する、麻生派の議員からはそんな話が聞かれる。

 菅首相から“切られた”ことで幹事長を降りることになる二階俊博氏の動向にも注目が集まる。

 昨年の総裁選では、いち早く菅首相支援を打ち出してキングメーカーとなった二階氏は、「幹事長以外はいい、副総裁など名誉ポストなんてやらん」と以前から豪語していた。このまま黙っているとは思えない。

 その二階氏が次期総理に担ぐ可能性があるのは、世論調査で「次期総理」として高い数字を獲得してきた石破氏とみられる。二階派の国会議員が次のように解説する。

 「河野が勝てば、二階派が冷遇されるのははっきりしている。石破さんは、小沢一郎氏が新生党を結成したときに、二階さんと一緒に自民党を出た仲間。以前から気脈は通じている。石破さんのパーティーでも、二階さんは断らずに必ず顔を出す。石破さんのグループは17人で推薦人が3人足らない。だが二階派や、石破さんを前回の総裁選で応援した竹下派の一部が加勢すれば勝負になる。事実、2012年の総裁選では安倍氏に1回目の投票で勝っている。河野氏や岸田だと世代交代の印象が強く、石破さんならと思いますね」

 自民党はコロナ禍をよそに、総裁選で大盛り上がりだ。だが東京や大阪では、緊急事態宣言が続いている。期限は9月12日までとされているが、延長が必至という状況。コロナ対策が最優先されなければならない中、総裁選だ、解散総選挙だとやっている場合ではない。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース】  2021年09月04日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER2021.09.03】:立憲福岡・堤かなめ県議の“見えない”政治活動(下)│政務活動費「個人と按分」の不明朗

2021-10-07 08:27:10 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【HUNTER2021.09.03】:立憲福岡・堤かなめ県議の“見えない”政治活動(下)│政務活動費「個人と按分」の不明朗

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.09.03】:立憲福岡・堤かなめ県議の“見えない”政治活動(下)│政務活動費「個人と按分」の不明朗 

 選挙期間中の支出も、関連政治団体の活動費支出も「0」。立憲民主党に所属する堤かなめ県議会議員の活動実態を、政治資金から追うのは不可能だ。一体、どうやって議員活動を続けているのか分からない状況だが、同氏が唯一、収支を明らかにしているカネがある。議員に支給される「政務活動費」だ。福岡県議会への情報公開請求で入手した堤県議の政務活動費使途報告書と領収書を精査した。

 ■「政務活動費」の大半は経常経費

 結論から述べれば、開示された政務活動費の使途報告書と領収書からは、堤県議が熱心に政治活動をやっているという確証が得られない。

 費消された政活費の内訳をみていくと、事務所の家賃、光熱水費、車のリース代、電話代、人件費などのいわゆる経常経費がほとんど。資料購入費としてしんぶん赤旗や書籍の代金支払いが散見されるが、調査研究費として計上されているガソリン代は月数千円程度で、“動き回る議員”の姿は浮かんで来ない。「カネのかからない政治」であることは間違いないが、逆に“県民のために身を粉にして働く政治家”という理想像とは程遠い印象を受ける。

 ■収入原資は不透明

 議員は政務活動以外に、議会活動、政党活動、選挙活動、後援会活動等多彩な活動を行っており、政務活動の補助員が複数の活動に従事する場合もある。そのため経常経費や人件費を、活動実績に応じて按分することが許される。各活動の実績の把握が困難な場合、政務活動費の充当割合は2分の1以内となる。

 堤氏の場合、広聴・広報費の一部を除く経常経費と人件費の按分率はすべて「50%」。すると残りの50%を別の財布から支出していることになるが、これまで報じてきた通り、選挙の支出も、二つある政治団体(「丘政会」・「堤かなめ後援会」)の支出も、2018年(平成30年)に資料作成費として計上されていた126,532円を除いて「0」というのが実情だ。政務活動費を、どこと按分したのか分からない。

 そこで、堤氏に関連政治団体との按分なのか、堤氏個人との按分なのか確認を求めたところ、「個人との按分」という回答が返ってきた。つまり、支出の半分以上を税金を原資とする政務活動費で賄い、残りを自腹で払っているというわけだ。ようやく按分方法は分かったが、不透明な政治資金収支であることに違いはない。

 政治資金の透明化は、「入り」と「出」、つまり「どこから来たカネが、どう使われたか」が明示されてはじめて実現可能となる。堤氏の政治資金収支は、支出先が明らかになっているだけで、堤氏個人が費消したカネの出所が分からないのだ。議員歳費なのか、別の収入源によるカネなのか――そこが明示されない以上、違法性はないが、透明性は担保されないと断ぜざるを得ない。

 ■政活費で選挙の事前活動

 ところで、堤氏の政務活動費利用状況を精査していくと、広聴・広報費の一部の支出だけ「按分率」が跳ね上がるものがある。「県議会報告」の制作費と配布費用だ。

 堤氏の公式サイトにある「活動報告」に、唯一掲載されているのが毎年1~2回発行されてきた県議会報告のPDF(下の画像参照)。この印刷物を、堤氏は政務活動費を主な財源にして発行していた。

 県議会報告の按分率は、2019年までが「80%」、19年からが「90」%。自己資金の比率はグッと低くなっている。2018年から20年までに作成された県議会報告関連費用の内訳を、下の表にまとめた。

  支出額の大きなものだけ政活費の按分率を上げるというのはずいぶんセコイ話だが、問題となるのは上掲の表で黄色く色分けした2019年春の県議会報告だ。(*下が問題の県議会報告)

 

 冒頭の挨拶文に記されているように、この年は4月に統一地方選があり、堤氏も3期目を目指して立候補予定だった。「ぜひ投票をお願いします」とある通り、選挙を意識して活動ぶりをアピールする印刷物であることは間違いない。そして上掲の表からは、この「2019年早春号」だけが、他の号より印刷費も配布料も高くなっているのが分かる。

 各年の議会報告作成枚数のうち、分かる分だけを赤字で示したが、県議選を間近に控えた2019年早春号の作成枚数は、それまでの最高だった5千枚の15倍以上となる7万6,200枚に膨らんでいた。しかも、郵送ではなくポスティング。不特定多数に配った証拠であり、目的は「選挙」であったとみるのが自然だろう。つまり、堤氏は、政務活動費で選挙の事前活動を行っていたということだ。

 ■身内からも厳しい意見

 これまで報じてきた通り、堤氏は無投票となった2019年の県議会議員選挙(博多区)で立憲民主党から得た公認料130万円を、そっくり懐に入れていた。選挙期間中の実質的な支出は「0」。何もしなかった格好だ。

 資金管理団体「丘政会」、支援団体「堤かなめ後援会」の、同年の支出も「0」。政治活動の実態は、まるで見えてこない。議会活動に専念してるということなのか、事務所運営費の半分以上を政務務活動費で賄い、残りを外形的には出所不明となるカネで支払うという状態だ。こうした点について、ある立憲民主党関係者は次のように話している。

 「堤さんの活動ぶりに、批判が多いのは承知しています。地元博多区の会合などにはあまり顔を出さないと聞いていますし、街頭や戸別訪問に精を出すということもなかった。無投票当選が分かっていたせいで、2019年の選挙の時は、それまで以上に動かなかった。人の選挙で懸命に応援に回ったという話も聞いたことがない。出身校の同窓生が熱心に応援してくれていますが、有権者とひざを突き合わせての議論したり、地域行事で住民と触れ合うということは少なかったのではないでしょうか。でなければ、政治団体の支出がゼロということはあり得ませんから」

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース】  2021年09月03日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.08.31】:立憲福岡・堤かなめ県議の“見えない”政治活動(中)│関連政治団体の支出も「0」

2021-10-07 08:27:00 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【HUNTER2021.08.31】:立憲福岡・堤かなめ県議の“見えない”政治活動(中)│関連政治団体の支出も「0」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.08.31】:立憲福岡・堤かなめ県議の“見えない”政治活動(中)│関連政治団体の支出も「0」 

 2019年(令和元年)の県議会議員選挙で福岡県博多区から立候補して3選を果たした立憲民主党の堤かなめ議員は、無投票当選となり選挙の支出が「0」になったとして、党からの公認料130万円をそっくりそのまま懐に入れていた。

 無投票だったとはいえ、選挙の支出が「0」というのは極めて異例。前後の年を含めた関連政治団体のカネの動きまで調べてみたところ、政治資金収支報告書の記載内容は、これまた異例と言うしかないものだった。この議員は、一体どのような政治活動をやってきたのか――?

 ■見えるのは「県議会報告」だけ

 堤県議の関連政治団体は、資金管理団体の「丘政会」と支援団体「堤かなめ後援会」二つ。福岡県選挙管理員会で確認可能な、両団体の2017年(平成29年)、2018年(30年)、2019年(令和元年)の政治資金収支報告書を調べた。

 驚いたことに、県議選が行われた2019年の両団体の支出は「0」。繰り越してきた資金は丘政会に113万8,248円、堤かなめ後援会に539万2,966円残っているが、両団体ともに1円も使っていなかった。(*下は同年の丘政会の収支報告書)

  確認した3年間分の政治資金収支報告書から年ごとの収入と支出の額をまとめると、下の表のようになる。

  3年間で唯一の支出として記載されていたのは、平成30年に政治活動資料作成費として計上されていた2件計126,532円だった。

  通常なら政治団体の支出の状況から、行き先や活動に使った物品、資料、会議や集会の規模などがある程度確認できるのだが、堤氏の場合は前出の資料作成費を除いて支出が「0」。日頃、どのような政治活動を行っているのかまるで分らない。後援会も、ほとんど動いていない形だ。

 同氏の公式サイトに掲載されている「活動報告」を2011年まで遡ってみたが、いずれの年も、博多区はもとより県内・県外における“現場”での活動ぶりを伝える写真などは皆無。発行した「県議会報告」のPDFが貼りつけてあるだけだった(下の画像参照)。

 議場での活躍の模様は分かるものの、日頃の政治活動――地元博多区や県内でどのような政治活動をやってきたかについては、まったく“見えない”といった状況だ。

 では、毎年何度か発行している「県議会報告」を作成する費用は、どの財布から捻出されているのか――。政治団体の支出が「0」である以上、考えられるのは「政務活動費」。県議会で堤氏が提出した政務活動費の使途報告書と領収書を確認したところ、意図的に政治資金収支を不透明な形にしているとしか思えない不可解な実態が浮き彫りとなる。 (つづく)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース】  2021年08月31日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.08.27】:立憲福岡・堤かなめ県議の“見えない”政治活動(上)│税金原資の選挙余剰金、そっくり懐へ

2021-10-07 08:26:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【HUNTER2021.08.27】:立憲福岡・堤かなめ県議の“見えない”政治活動(上)│税金原資の選挙余剰金、そっくり懐へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.08.27】:立憲福岡・堤かなめ県議の“見えない”政治活動(上)│税金原資の選挙余剰金、そっくり懐へ 

 政治家の活動実態を調べる上で、重要な役割を果たすのが政治資金収支報告書と選挙運動費用収支報告書。前者は政治資金資金規正法の規定に基づき作成・公表が義務付けられており、後者は公職選挙法の縛りを受ける。いずれの報告書も、支出額と支出日、支出先を明記しなければならず、支出を賄うための収入についても同様に記載義務がある。

 このうち、支出に関する項目を精査していくと、その政治家の普段の活動の様子や熱の入れ方が見えてくるのものだが、選挙運動費用の支出も、政治団体の支出も「0」という、珍しい政治家がいることが分かった。立憲民主党所属の堤かなめ福岡県議会議員である。

 ■自己資金ゼロ、収入は130万円の公認料のみ

 最初に注目したのは、堤県議の選挙運動費用収支報告書だった。下は福岡県選挙管理委員会に情報公開請求して入手した2019年4月に行われた県議選の収支報告書である。

 この選挙における堤氏の収入は、立憲民主党の県連から2度に分けてもらった公認料の130万円だけ。自己資金は一円も入っていない。

 一方支出は、公費負担で作成した選挙ポスターとビラの印刷費計67万5,760円のみで、実質的な支出は「0」だ。つまり、公費負担は別として、堤県議は1円も使わずに選挙を終えていた。

 支出が少なくて済んだ理由は簡単で、同氏が立候補した博多区という選挙区に、定数となる3以上の立候補者が現れなかったから。つまり無投票当選で、「選挙戦」は告示日の1日だけだった。

 カネのかからない選挙になったせいで、立憲民主党からの公認料130万円が、堤県議個人の財布に残った状態となる。よく問題になる「選挙余剰金」だ。そこで資金の動きを確認するため、堤氏の資金管理団体「丘政会」と支援団体「堤かなめ後援会」の同年の収支報告書を調べてみたところ、両団体に対する堤氏からの寄附は皆無。立憲民主党県連の報告書も精査したが、堤氏からの返金とみられる寄附はなかった。

 同党県連の「政党交付金使途等報告書」によれば、堤氏にわたった公認料の原資はすべて政党交付金。堤県議は、税金130万円を、そっくりそのまま懐に入れたということになる。

 念のため堤氏側に選挙余剰金をどう処理したのか質問したところ、次のような回答が返ってきた。

 2年4か月以上前の県議選の余剰金を、『次の選挙』に向けた政治活動資金として別途保管しているという堤氏側の回答。何に使うにしろ、税金を原資とするカネが、堤氏の懐に残っているのは確かだ

 そもそも、次の選挙に向けた“政治活動のため”に終わった選挙の余剰金を残しておくというのなら、いったん資金管理団体などに寄附するのが筋。そうでなければ、政治資金の透明化は図れない。個人の政治活動に資するための資金であったとしても、もらったカネは資金管理団体に収入として計上すべきなのだ。堤県議は、政治資金規正法の趣旨を勉強し直すべきだろう。

 ■不可解な支出「0」

 ところで、堤県議の選挙運動費用収支報告書を見ると、本来あるべき支出の記載がないことに気付く。「事務所費」や「選挙カー」に関する支出が計上されていないのだ。これは一体どういうことか――?

 無投票だったからといって、選挙事務所がなかったわけではない。県選管への開示請求で入手した資料によれば、堤氏は告示日に立候補を届け出た際、下の「選挙事務所設置届」を提出していた。

 告示日の1日だけとはいえ、堤氏の選挙事務所があったことは否定できない。すると“事務所費の扱いはどうなったのか”、という疑問が生じる。

 告示日以前の選挙運動は禁じられているため、前日まで行うことができおるのは後援会活動。活動拠点となるのが「後援会事務所」だ。告示日以降は後援会や資金管理団体から選挙事務所を“借りる”形にするのが一般的で、その場合には貸主である政治団体に日割りで家賃を払うか、「無償提供」されたことにするかのどちらか(もちろん、物件所有者との直接の貸し借りも可能)。ただし、無償提供なら、当該政治団体から候補者が寄附を受けたものとして「収入」にカウントしなければならない。

 だが、堤氏の選挙運動費用収支報告書の事務所費は「0」。その場所が堤氏の自宅ならば「0」ということで差し支えないが、確認したところ堤氏の選挙事務所の住所は自宅ではなく、同氏の資金管理団体「丘政会」と「堤かなめ後援会」の事務所と同一だった。

 では、「丘政会」もしくは「堤かなめ後援会」からの無償提供ではないのか――。さっそく両団体の政治資金収支報告書を調べてみると、堤議員の、さらに不可解な政治活動の実態が浮き彫りとなる。(つづく)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース】  2021年08月27日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.09.02】:アフガニスタンの苦悩と誇り ― 長岡 昇(元朝日新聞論説委員)―

2021-10-07 08:26:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【HUNTER2021.09.02】:アフガニスタンの苦悩と誇り ― 長岡 昇(元朝日新聞論説委員)―

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.09.02】:アフガニスタンの苦悩と誇り ― 長岡 昇(元朝日新聞論説委員)― 

 余命いくばくもなく、訪ねることができるところはあと一つだけ。そう告げられたら、あなたはどこを選ぶだろうか。

 私は迷うことなく、「アフガニスタン」と答える。32年前、国際部門に配属されて最初に取材した国であり、その後も新聞記者として心血を注ぎ続けた土地だからだ。

 戦争とは何か。その中で生きるとはどういうことか。アフガンの人々と接する中でそれを教えられ、考えさせられた。厳しい取材だったが、日本にいたのでは経験も想像もできないことが多かった。新聞記者として生きてゆく覚悟のようなものを植え付けられた土地だった。

◇     ◇

 この夏、そのアフガニスタンが再び国際報道の焦点になった。

 2001年9月の同時多発テロの後、アメリカはこの国に攻め込んだ。当時、この国を支配していたイスラム勢力のタリバンが、テロの首謀者であるオサマ・ビンラディンらをかくまっていたからだ。

 米国は圧倒的な軍事力でタリバン政権を崩壊させ、親米的な政権をつくり、この国を「自由で民主的な国」にしようと試みてきた。だが、20年にわたって戦い、支援してきたにもかかわらず、彼らが望むような国をつくることはできず、撤退に追い込まれた。

 全土をほぼ支配下に収め、実権を握ったのは、米軍が一度はたたき潰したはずのタリバンである。

 首都カブールの北郊にある空港は逃げ出す外国人であふれ返った。通訳や諜報員として米軍に協力したアフガン人とその家族も、報復を恐れて空港に押し寄せた。離陸する輸送機の機体にしがみつく人々を捉えた映像は、彼らの恐怖心がどれほどのものかを示している。

 なにせタリバンは、アフガン各派の中で最も厳格にイスラム法を適用すると標榜している勢力である。かつて権力を掌握した際には、反対勢力を容赦なく処刑した。

 女性には全身をすっぽり覆うブルカの着用を強制し、女子教育も認めなかった。「盗みを働いた者は手を切り落とす」「姦通は石打ちの刑」といった古来の刑罰を復活させ、実行した。バーミヤンの大仏を「偶像崇拝の象徴」として爆破したのもタリバンだ。

 「あの恐怖の日々がまたやって来る」。普通の住民がおびえるのは無理もない。

 だが、アフガニスタンの政治と社会をずっと追ってきた人間から見ると、「タリバンはかなり変わった」と映る。かつての統治の行き過ぎを認め、より現実的な方向に舵を切ろうとしているのではないか。

 米軍撤退の前に米政府と交渉し、「撤退が完了するまではカブール国際空港の管理を米軍にゆだねる」と合意したのは、路線変更の証しと言っていい。かつてのタリバンなら、勢いにまかせて空港も制圧し、殺戮の限りを尽くしたことだろう。

 権力掌握後の8月17日に開いた記者会見で、タリバンの報道官は「女性の権利を尊重する。女性は働き、学ぶことができる」「自由で独立した報道を認める」と語った。どちらも「イスラム法が認める範囲内で」という条件付きではあるが、大きな路線転換であることは間違いない。

 報道官は、反対勢力の政治家や兵士に「恩赦を与える」と述べ、「外国に脅威を与えることは望まない」と表明した。「アフガンはまた『テロの温床』になってしまうのではないか」との懸念を払拭しようとしたのだろう。

 こうしたタリバン側の表明を「国際社会からの批判をかわすための演技」と報じたメディアもある。確かに、額面通りに受けとめるわけにはいかない。タリバンの兵士たちがこうした約束をどれだけ守るかも定かではない。

 だが、この国が歩んできた険しい道のりを思えば、「演技」と断じてしまうのは酷だろう。一線の兵士はともかく、少なくともタリバンの指導部は過去の失敗から学び、「現実的な路線を選択しなければ、安定した統治はできない」と悟ったのではないか。

◇     ◇

 私が初めてアフガニスタンを訪れたのは1989年の4月である。インドのニューデリーから空路、首都のカブールに向かった。パキスタンの領土を横切り、空からこの国の風景を初めて見た時の衝撃は、今でも忘れられない。黒褐色の岩山が延々と続いていた。

 国境の峰々を越えても、その色は変わらない。砂漠ではなく、岩と土漠(どばく)の世界が広がっていた。緑はほとんどない。雪融け水が流れる川に沿って草木がわずかに茂り、村々がへばり付くように点在していた。

 緑に包まれた日本の風景の「ネガフィルム」を見ているような感覚。こんな厳しい土地で人々はどうやって生きてきたのか。なぜ、争いがやまないのか。褐色の大地を食い入るように見つめ続けた。

 当時、この国を支配していたのは共産主義政権だった。ソ連はその政権を支えるため軍事介入したが、10年にわたって反政府イスラム武装勢力の激しい抵抗を受け、おびただしい数の犠牲者を出して2カ月前に完全撤退していた。

 ソ連軍の撤退前にアメリカや日本の外交官は脱出し、国連の職員も去っていた。長い戦乱ですでにパキスタンとイランに500万人の難民が流出していたが、撤退を機に新たな難民も生まれた。この時の混乱状態は今回の米軍撤退時と重なるものがある。

 政府側が支配しているのは首都カブールをはじめとする主要都市だけ。農村部は反政府勢力がおさえ、都市を包囲していた。カブールにも連日のようにロケット弾が撃ち込まれていた。

 中心部のホテルは破壊され、報道陣が宿泊できるのは丘の上にあるホテルのみ。ここに世界中からやって来た多くの記者やカメラマンが陣取っていた。

 国際電話はほとんど通じない。衛星電話は登場したばかりで、大型のスーツケースほどもあった。高価なうえ記者一人ではとても持ち込めない。商用のテレックス回線を使い、ローマ字で日本語の原稿を送るしかなかった。

 戦況を正確に把握するためには、反政府勢力側からも取材しなければならない。何回目かの出張の際、パキスタンの国境地帯からゲリラ部隊に同行して彼らの動きも取材した。

 それができたのは、当時のアフガンでは「パシュトゥンの掟」と呼ばれる慣習が強く残っていたからである。その掟は部族によって微妙に異なるが、「尚武(トゥーラ)」「客人歓待(メルマスティア)」「復讐(バダル)」の三つはどこでも固く守られていた。

 自立心が強く、家族と財産を守るために命をかけて戦う。一方で、見知らぬ者でも頼ってくれば、できる限りのもてなしをする。客人として記者を受け入れた部隊は、記者を守るためにあらゆる手段を尽くしてくれた。

 目にした農村の風景は強烈だった。どの家も高い土壁に囲まれ、一軒一軒が砦のような造りになっている。どの家にも男手の数だけ自動小銃があった。男の子は物心がついたころから、銃を分解して組み立てることを仕込まれるのだという。

 アメリカは「銃社会」と言われるが、それをはるかに上回る「重武装の社会」である。そして、それはこの国の地勢を考えれば、当然のことだった。

 周りの国はすべて陸続きだ。いつ、どこから、武装した人間たちがなだれ込んでくるか分からない。実際、騎乗したモンゴル兵に蹂躙され、ペルシャの軍勢に攻め込まれるといった歴史をくぐり抜けてきた。自分の身は自分で守るしかない社会なのだ。

 日本は海に囲まれ、外敵に突然攻め込まれる、といった心配をする必要がない。有史以来、外国の大軍に攻撃されたのは、元寇とマッカーサー率いる米軍の2回だけである。

 世界でもまれなほど「安全な国」だ。軍事的な観点から見ても、日本とアフガンは「写真のネガとポジ」のような関係にある。日本人の感覚でこの国の政治や社会を考えようとしても、とても捉えきれるものではない。

◇     ◇

 ソ連軍撤退の3年後、1992年に共産主義政権は崩壊し、イスラム政権が樹立された。だが、待っていたのはイスラム諸勢力による凄惨な内戦だった。

 アフガニスタンの国境が現在のような形になったのは19世紀末のことである。

 インドを植民地支配していた大英帝国はその版図を西に広げようとした。一方、北からはロシア帝国が南下を図って攻め込んだ。せめぎ合う二つの帝国は、直接衝突することを避けるため、アフガニスタンを「緩衝地帯」として残すことで合意した。そうして引かれたのが今の国境線である。

 その結果、この地域で暮らしていた主要な民族は真っ二つに分断された。ヒンドゥークシ山脈の南麓にいたパシュトゥン人はアフガンと英領インド(現パキスタン)に二分され、山脈の北側にいたタジク人とウズベク人も、半分はロシア領に組み込まれた(図参照)。

 アフガンの苦悩は、この国境画定を抜きにして語ることはできない。人口の過半数を占める民族はない。おまけに、どの民族も多くの部族に分かれ、それぞれの利害がぶつかり合う。

 一口に反政府イスラム勢力と言っても、私が取材していた頃ですら、15もの組織に分かれていた。共産主義政権という「共通の敵」がいなくなった途端、そうした勢力が入り乱れて戦い始めたのだ。

 90年代の半ば、国土が荒れ果て、世界が関心を失う中で台頭したのがタリバンだった。パシュトゥー語で「(神学校の)生徒」を意味する。厳格なイスラム支配を唱える宗教指導者が神学校の生徒たちを糾合して組織した、と喧伝されたが、それは表向きの顔に過ぎない。

 戦車をはじめとする武器と弾薬を供給したのはパキスタンの軍部であり、資金的に支えたのは湾岸諸国のイスラム主義勢力だった。パキスタンは隣国を意のままに操ることを目指し、湾岸の同調勢力は「理想のイスラム国家」の建設を夢見た。

 だが、尚武の気質を持つ民は「武器と金」をもらっても、意のままにはならなかった。支援する者たちの思惑を超えて、信じられないほど厳格なイスラム支配に乗り出し、米国を「悪の帝国」とみなすアルカイダなど過激な勢力と手を組んだ。

 共産主義から厳格なイスラム支配へ。大国と周辺国の思惑に突き動かされ、アフガンは振り子の重しが外れてしまうほど激しく揺れた。そして、9・11テロへと至ったのだった。

 アメリカの政治家と軍人たちは「我々には『テロの撲滅』という大義がある。今度こそ、この国を自由で開かれた国にする」と決意していたのではないか。日本や欧州諸国もそれに従って巨額の援助を注ぎ込んだ。

 そうした介入と援助は水泡に帰した。なぜか。

 米欧の指導者たちは、アフガン人の「気概と気風」を軽く見ていたのではないか。彼らはよそ者から押し付けられることを何よりも嫌う。自分たちの社会のことは自分たちで決めたいのだ。彼らには彼らの掟と慣習がある。それはイスラムが伝来するはるか以前から育んできたもので、イスラムの教えと溶け合って社会に深く根を下ろしている。変える必要があるとしても、根付いたものに反しないよう変え方も自分たちで決めたいのだ。

 「パシュトゥンの掟」の一つに、紛争はジルガ(部族評議会)で決着を付ける、というのがある。部族の代表者が一堂に会し、納得がいくまで話し合って決めるやり方だ。それは自由選挙を基にした代議制民主主義とはまるで異なるものだが、長い歴史の中で培われ、機能してきた制度である。民主主義を採り入れるにしても、こうしたジルガの伝統との折り合いを付けた制度にしない限り、この国でうまく機能することはないだろう。

 米欧の指導者たちは、アフガン人の「苦悩と誇り」にも思いが至らなかった。

 アメリカのメディアは、今回の米軍の撤退を1975年の南ベトナムからの撤退になぞらえて報道した。多くの血を流しながら戦争の目的を達することができず、みじめな形で出ていった、という点では確かに似ている。

 けれども、アフガンの人たちが思い浮かべたのはベトナムではないだろう。もっと長い時間軸、この100年余りの歴史を振り返っているのではないか。

 19世紀から20世紀初頭にかけて、世界で最も強大だったのは大英帝国である。前述のように、大英帝国はインドの植民地を西に広げようとして、何度かアフガンに攻め込んだ。首都のカブールを占領したこともある。だが、繰り返される反乱に手を焼き、撤退した。

 そして、20世紀の後半には超大国ソ連の軍隊を追い出し、今回は唯一の超大国アメリカの軍隊を追い払った。「帝国の軍隊」に3回も苦杯をなめさせたのである。

 もちろん、そのたびにおびただしい犠牲を払い、語り尽くせぬほどの苦悩を味わった。だが、それも彼らの価値観に照らせば、避けられなかった犠牲であり、決して屈しなかったことを誇りとして胸に抱くことになるのだろう。

◇     ◇

 現場の記者として、私がアフガニスタンを担当したのは1989年から95年までの6年間である。その後、東京でアジア担当のデスクとしてこの国の動きをフォーローし、社説を担当する論説委員になってからも足を運び続けた。

 戦乱の国の取材なので、政治指導者や軍人に会うことが多かったが、可能な限り農村の様子を見て回った。戦火がどんなに激しくなっても、国土がいかに荒廃しようとも、農村には乾いた大地を耕し、乏しい水を分け合う姿があった。

 食べ物を確保し、生き延びる。それだけでも大変な状況なのに、どの村でも人々は子どもたちに教育を授けるためにあらゆる努力を重ねていた。未来はそこからしか開けないことを知っていた。「この国には希望がある」。そう感じさせるものがあった。

 忘れられない言葉を聞いたのも、この国の人たちからだった。

 難民キャンプでみけんに深い皺を刻んだ老人に会った。戦闘に巻き込まれて孫を亡くしたばかりという。「私のような年寄りが生き残り、幼い孫が死んでいく。耐え難い」。そう嘆き、「いのちは幸運の結晶なのです」とつぶやいた。

 いぶかる私の目を見ながら、老人はさとすように語った。

 「君のいのちはお父さんとお母さんが出会って生まれた。どちらかが病気やけがで倒れていたら、君はこの世にいなかった。お父さんとお母さんはおじいちゃんとおばあちゃんが出会って生まれた。だれかが病気やけがで倒れていたら、二人はこの世にいなかった」

 「たくさんの、数えきれないほどたくさんのいのちが幸運にも生き永らえて、君にいのちをつないできた。だから、いのちは一つひとつ『幸運の結晶』なのです」

 命がいともたやすく失われていく国で聞く命の意味。いや、いともたやすく失われていくからこそ紡ぎ出された言葉だったのかもしれない。その後、記者として出会い、耳にしたどんな言葉よりも深く心に沈み、忘れられない言葉となった。

 アフガニスタンを「失敗国家」と呼ぶ人がいる。「破綻国家」と言う人もいる。けれども、そこに生きる人たちは「失敗人間」でも「破綻した人間」でもない。だれもが「幸運の結晶」としての生を生きている。

 再び権力の座に就いたタリバンはこの国をどこへ導くのか。それを見通すうえで大切なのは、自らの価値観だけでなく、彼らの価値観、さらに第三の価値観も携えてこの国に光を当ててみることだ。

 それはアフガニスタン問題に限らない。一つの尺度で物事を見る。そんな時代はとうに過ぎ去った。未来は混沌としており、複眼でも見通せない。より良く生きるために、立体的な座標軸が求められる時代なのである。 長岡 昇(元朝日新聞論説委員)

長岡 昇(ながおか のぼる)
山形県の地域おこしNPO「ブナの森」代表。市民オンブズマン山形県会議会員。朝日新聞記者として30年余り、主にアジアを取材した。2009年に早期退職して山形に帰郷、民間人校長として働く。2013年から3年間、山形大学プロジェクト教授。1953年生まれ、山形県朝日町在住。

 ≪参考文献≫
 ◎『アフガニスタン史』(前田耕作、山根聡)河出書房新社
 ◎『Afghanistan』(Louis Dupree)Princeton University Press
 ◎『The Great Game』(Peter Hopkirk) Butler & Tanner Ltd

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2021年09月02日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER20211.09.01】:「二枚舌」で選挙応援|“コロナ対応”のはずの吉村大阪府知事が池田市で街宣

2021-10-07 08:26:25 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER20211.09.01】:「二枚舌」で選挙応援|“コロナ対応”のはずの吉村大阪府知事が池田市で街宣

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER20211.09.01】:「二枚舌」で選挙応援|“コロナ対応”のはずの吉村大阪府知事が池田市で街宣 

 サウナ市長・冨田裕樹氏の辞職・再選出馬で注目を集めていた大阪府池田市の市長選挙は、8月29日に投開票が行われ、ローカルパーティー「大阪維新の会」公認の前市議・滝沢智子氏が初当選を果たした。

 この選挙で最も熱い視線を浴びたのは、冨田氏でも滝沢氏でもなく大阪維新の会代表の吉村洋文大阪府知事の動向だった。

 ■最終日、街宣カーから「大阪府知事の吉村です」

 吉村氏は冨田氏のサウナ問題などが発覚した直後、「冨田氏の公私混同を池田市民にお詫びしたい。大阪維新の会が公認した責任がある」と述べ冨田氏を非難。国政政党「日本維新の会」代表を務める松井一郎大阪市長も、「(池田市長選には)関与しません」と発言していた。

 維新は一転して池田市議だった滝沢氏を“大阪維新の会公認”として擁立したものの、新型コロナウイルスの新規感染者が連日2,000人を超え、重症者数も200人を上回るといった状況の中、吉村知事は「コロナ対応で池田市長選の応援には入れない」(維新関係者)とされていた。

 しかし世間にとっての非常識である「二枚舌」は、維新の常識。投開票日前日の8月28日、池田市の街中に吉村知事の声が響き渡った。

 「滝沢智子さんをよろしくお願いします」――大阪維新の街宣車に乗って遊説をはじめた吉村氏は、郊外の住宅街から阪急池田駅前、石橋駅前の繁華街まで2時間以上もかけて滝沢氏の支援を訴えた。

 「吉村さん、頑張って」と手を振りながら、家から飛び出してくる住民。笑顔で応える吉村氏。さかんに「大阪府知事の吉村です」と訴える。

 「大阪維新の会の吉村です」と話すべきところを、公職である「知事」を強調するのは、地位利用ととられても仕方があるまい。

 吉村氏は2年前、池田市長選で「冨田さんを市長にお願いします」と叫んでいたはず。ところが街宣中、サウナ市長の「製造責任」について、謝罪も反省もなかった。

 これまでの維新の選挙手法によれば、吉村氏ら党のトップクラスが選挙区に入るときは、ツイッターなどで「前打ち」するなど、PRに余念がなかった。7月の兵庫県知事選でも、日本維新の会として斎藤元彦氏の応援に入った吉村氏はその際も、<兵庫県知事選挙、明日7月4日(日)、さいとうさんの応援に行きます>とツイートしていた。

 神戸市の繫華街では、大勢の聴衆が詰めかけまさに三密に。しかし、池田市長選では吉村氏本人だけではなく、大阪維新の会からも事前PRは一切なかった。その理由について、ある大阪維新の会の地方議員がこう解説する。

 「不祥事を起こしたサウナ市長を誕生させたことについては、大阪維新の会に責任があることを認めています。コロナ禍で市長選をやらねばならないことも問題です。吉村氏も一度は行きませんと宣言していましたからね。緊急事態宣言の中、池田市に入るのはちょっとという思いがあって事前の前打ちは控えたのでしょう」――これこそが、本サイトでたびたび指摘している維新の「二枚舌政治」だ。

 投票日前日、選挙戦は滝沢氏優勢、追うのが保守系無所属の渡辺ちよし氏とみられていた。ある報道機関は、1,500票ほど滝沢氏がリードと分析していたが、蓋を開けてみれば、滝沢氏が約3,600票差をつけての勝利。渡辺陣営は、「滝沢氏の背中が見えたと思ったら吉村氏の登場で1,000から1,500票、滝沢氏の票が上積みされた」と悔しがる。

 冨田氏の市長退任後、緊急事態宣言であるにもかかわらず、約1か月市長不在だった池田市。市長選にかかった費用は約4,000万円というが、あらゆる意味で維新の「罪」は重い。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース】  2021年09月01日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.08.31】:【速報】久留米市長選に元国交省・奥田氏擁立の動き

2021-10-07 08:26:20 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER2021.08.31】:【速報】久留米市長選に元国交省・奥田氏擁立の動き

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.08.31】:【速報】久留米市長選に元国交省・奥田氏擁立の動き 

 来年1月に予定される久留米市長選挙に、元国交省自動車局長の奥田哲也氏を擁立する動きがあることが分かった。

 奥田氏擁立に関わっているとされるのは、古賀誠元自民党幹事長や久留米市を含む福岡6区を地盤とする鳩山二郎衆院議員。さらには解放同盟の関係者や商工会の一部も積極的で、すでに市内の団体幹部などに打診が来ているという。

2018年の選挙で初当選した大久保勉市長も再選を狙って出馬するのが確実で、奥田氏が立候補に踏み切れば、一騎打ちになる公算が大だ。

 奥田氏は、久留米市出身の59歳(6月2日で60歳)。ラ・サール高校から東大に進み、卒業して旧運輸省に入省した。一貫して運輸畑を歩み、鉄道局長や自動車局長を歴任して一昨年に退官した後は、国交省の外郭団体「一般社団法人 運輸総合研究所」の専務理事に天下っていた。昨年の福岡県知事選挙で古賀氏ら一部の自民党関係者が擁立を図ったが支持が広がらず、出馬見送りを求めた二階俊博幹事長の言葉を受け入れる形で立候補を断念している。

 奥田氏を巡っては、北九州市長選への出馬を予想する声もあったが、同氏の起用に積極的な古賀氏や大久保市長と距離ができたとされる鳩山議員の利害が一致したことで、久留米市長選での擁立に傾いたものとみられている。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース】  2021年08月31日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.08.28】:カネと女でナンバー2が辞職|不祥事に揺れる大阪維新

2021-10-07 08:26:16 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER2021.08.28】:カネと女でナンバー2が辞職|不祥事に揺れる大阪維新

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.08.28】:カネと女でナンバー2が辞職|不祥事に揺れる大阪維新 

 大阪維新の会の副代表で府議会議長の経験もある今井豊大阪府議が、新潮に「闇献金」と「不倫問題」を暴かれ、議員辞職に追い込まれた。

 “身を切る改革”、“クリーンな政治”と掛け声だけは威勢がいい維新。その内情が、今井氏の行状から明らかになった。

 ■維新の地方議員は冷やか

 一連の疑惑をスクープした週刊新潮が報じたのは、今井氏が貝塚市の藤原龍男市長から「闇献金」を受け取っていたことと、女性秘書との不倫問題。不倫を否定しつつ、闇献金については自ら「貝塚市長が内緒の金、ウチに持ってきたんや。これ、もう、受け取ってるから。要は、闇献金や。トータル100(万円)」、「パイプカットしているのは、ヤクザもんかオレ、って言われている」などと記事の大筋を認めている。当然のことだが「闇献金」は政治資金規正法違反に抵触する問題だ。

 橋下徹氏ともに「維新」を創立したのが大阪市長の松井一郎氏。その松井氏の盟友とされる今井氏は、維新の創立時から幹事長などの要職に就き「ナンバー2」として組織を仕切ってきた。

 ある大阪維新の会所属の地方議員はこう語る。

 「今井氏の口癖は『橋下はこう言っている』『松井の思いは……』。いつも橋下氏や松井氏の代理人のように振舞い、恫喝することもありました。今回、議員辞職に追い込まれて、ざまあみろと維新の多くの地方議員は思ってますよ。『コロナ禍じゃなければ、今井氏の議員辞職に祝杯だ』ともいう声まであるほどです」

 よほど今井氏に嫌悪感を抱いていたらしく、批判は止まらない。

 「今井氏の不倫やカネの汚さは知られるところ。維新の者が腹に据えかね、週刊新潮に売り込んだんだと思いますわ。その証拠に、今井氏の議員辞職を歓迎するもんはいますが、悲しむもんはゼロや」

 かつて、維新の地方議員だったX氏は、今井氏とバトルを続けたことがある。X氏が、あるスキャンダルに見舞われた時のことだ。一部は事実だったため、潔く維新から離党を表明。すると今井氏に呼びつけられたという。X氏がその時の様子を打ち明ける。

 「離党する前にも『今井氏が怒っている』というので連絡をとった。すると『お前、離党ですむと思うな。すぐに議員辞職や』と恫喝。離党すれば維新の議員ではないので、そこは考えると話すと『何をいうてるねん、俺ならすぐやめるで。不祥事は恥や』と言っていた。あまりに上から目線の物言いなので、反発。しばらく、連絡がきても応答しませんでした。すると『こらはよやめろ』とヤクザのような口調で文句を言われた」

 今井氏に反発した理由については、こうも話す。

 「今井氏は橋下さんと松井さんをバックにぞんざいな言い方をすることで、維新でも有名。けど、今回、週刊新潮で報じられた女性問題以外でも、疑惑はいくつもある。私は、『お前が言うな』と反発しただけ。今回の疑惑も、維新の地方議員が腹に据えかね、週刊新潮に情報を流して、刺した。誰が動いたのかも聞いている」

 ■維新流「二枚舌」で吉村知事登場か?

 「闇献金」に「不倫」というのは、政治家として大きな問題。松井市長は、記者会見で「こういう問題は我が党だけではなく、自民にも他党にもある」と火消しに懸命となっている。

 火消しを急ぐ理由は、投開票日を控えた選挙にある。今井氏のスキャンダルが、サウナ市長・冨田裕樹氏のお陰で「全国区」になった、大阪府池田市の市長選挙に飛び火しているからだ。

 池田市長選は冨田氏に加えて、大阪維新の会公認の滝沢智子氏、池田市議だった渡辺千芳氏(無所属)、労組系団体が支援する内藤勝氏(無所属)の4人が争っている。だが、実質的には滝沢氏が優勢、渡辺氏が追う展開といった展開で、“サウナ市長”の冨田氏や内藤氏はリードを許しているとみられていた。それが今井氏の不倫と闇献金が報じられたとたん、混とんとしてきたというのだら選挙はわからない。

 これまで報じてきたように、池田市は大阪9区を地盤とする日本維新の会・足立康史衆院議員の地元。足立氏の選挙でもないのに、自分の写真を貼りだした街宣車を走らせるなど「事前運動じゃないか」と問題視されるほど熱を入れている。地元の維新関係者は言う。

 「トラブルメーカーの足立さんは、解散総選挙が近いことからか、池田市長選でサウナ市長の元秘書だった滝沢氏を引っ張り出した。批判も多い中、今度は今井氏のスキャンダル。おまけに内容はカネと女の疑惑というのだから最悪。『こんな大事なのときに!』と足立さんも怒っていた。維新の支持者が離れると、市長選が危ないと足立さんは焦り、ウルトラCで挽回を図ろうとしている」

 ウルトラCとは、大阪維新の会代表でもある吉村洋文大阪府知事の池田市入りだという。もともと、サウナ市長の「製造責任者」である維新は、池田市長選に関与しないと表明していたほど。市長選初日に池田市でマイクを握った大阪維新の横山英幸幹事長も「吉村氏は応援には来ない」と明確に語っていた。

 だが吉村氏は、否定していた池田市入りについて態度を一変させており、「公務がない時には応援に行くこともありうる」「応援に入らないわけではない」と記者会見で言い始めた。コロナ禍で新規感染者が連日2,000人を超える大阪府の知事が、緊急事態宣言下、本当に池田市長選の応援に入るつもりなのか?

 2019年の池田市長選で、維新は冨田前市長を擁立。土壇場で吉村氏と松井氏が応援に来て、一気に流れは冨田氏に傾いた。足立氏はその再来を狙っていたのだろう。

 ところが、今度は維新のナンバー2だった今井氏のスキャンダル。吉村氏や松井氏が池田市長選に絡むことで、ニュースとなり、滝沢氏が当選となれば今井スキャンダルの影響が薄らぐとの魂胆が見え隠れする。

 池田市長選介入を模索しはじめた吉村氏の態度は、維新の「二枚舌政治」の象徴だ。選挙の応援に出る暇があるのなら、コロナ対策をしっかりやるべきだろう。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース】  2021年08月28日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.08.26】:強制わいせつの元警官に求刑2年|法廷では仰天の「ストーカー被害」主張

2021-10-07 08:26:12 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【HUNTER2021.08.26】:強制わいせつの元警官に求刑2年|法廷では仰天の「ストーカー被害」主張

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.08.26】:強制わいせつの元警官に求刑2年|法廷では仰天の「ストーカー被害」主張 

 未成年女性にわいせつな行為をした元警察官の事件が18日、札幌地方裁判所(中川正隆裁判官)で初公判を迎え、被告の男が起訴事実をほぼ全面的に認めた。検察は「性欲の赴くまま犯行に及んだ責任は重大」と懲役2年を求刑、即日結審した。

 強制わいせつ事件で起訴されたのは、札幌市に住む元警察官の男(77)。本年3月30日夕、同市内の公園で未成年女性に抱きついてキスするなどし、地元警察に逮捕された。近隣の小学校で約20年間にわたってスクールガード活動(児童の見守り)を続けていた被告は、小学生時代の被害女性と顔見知りだったという。地域で得た信頼を悪用する犯行に被害女性は大きなショックを受け「絶対に許せない。きちんと処罰して欲しい」と訴えている。

 ■スクールガードの信頼悪用か

 被告の男は高校中退後、海上保安庁に職を得たのち1968年に北海道警察に転職(初任科30期)、空知地方の美唄警察署を皮切りに道東の中標津や留萌、札幌などに勤務した。90年ごろ定年を待たずに退職し、前後して札幌市内に自宅を購入、さらに10年ほどを経て先に述べたスクールガードなどボランティア活動に励むようになった。

 スクールガードを始めたきっかけは、児童が犠牲になる交通事故が小学校付近で多発したためという。見守り活動を通じて子供たちと親しくなった被告は、登下校中の児童らと「ハイタッチ」あるいは「ハグ」などをし合うこともしばしばだった。これに、地元町内会関係者は「ちょっと過剰なところがあった」と指摘する。

 「一部から『女の子とべタべタし過ぎ』『必要以上に触っているようだ』という声が上がっていました。あと、ここ10年ほどは正式なスクールガードとして市に登録されていないことがわかっています」

 そのボランティア活動は、純粋な善意によるものだったのか、あるいは別の目的があったのか――。後者の可能性を疑わせるのは、被告と同期の元警察官らの証言。その1人(71)は、はっきり「あれは悪い奴だ」と断言する。

 「あれは悪いぞー。たしか札幌の署にいた時、未成年のパンツ脱がしたかなんかで調べられてる筈だ。初任科生の時は、警察学校の風呂場で『おれのはデカい』って自慢するような、どうしようもない男だった」

 別の元警察官からは「異動のたびに不倫相手をつくっていた」「近所に住む女性教師の部屋を覗いた」「愛人に家庭教師のバイトを斡旋していた」などの証言も出てくる。のちに筆者の直撃取材に応じた被告自身はこれらの疑惑をすべて否定したが、いずれの言い分が正しいのかは定かでない。ただ、今回の未成年相手のわいせつ事件を知った複数の同期生が「あいつならあり得る」と言い切ったのも事実だ。

 被害者となった10歳代後半の女性は、とくに被告の男と親しいわけではなかった。「小学生の時にスクールガードをやっていたお爺さん」程度の認識だったが、高校進学後に一度だけ悩み相談を寄せたことがあったという。被告の男はこの時、女性の携帯電話番号を入手、のちに何度か連絡を試みたものの、通話には到っていない。

 被害女性の住まいは、被告の自宅のごく近くに建つ。被告は本年2月、近所でたまたま女性の保護者と顔を合わせ、世間話をする中で本年春に女性の就職が決まったことを知った。被告はその場で「就職祝いをしたい」と申し出、保護者の了承をとりつける。3月下旬には改めて被害女性の携帯電話を鳴らしたが、女性がこれに応答しなかったため、同29日に直接自宅を訪問、翌30日に食事の約束をするに到った。

 30日午後4時ごろ、被告は自家用車で被害者宅へ赴き、被害女性と2人きりのドライブに出る。地域の洋菓子店で「就職祝いのケーキ」を買い求めた後、近所の回転寿司店へ。午後6時過ぎにそこを出たのは、被害女性がその夜に友人と会う約束をしていたため。ところが被告の男は女性を自宅まで送ろうとせず、近くの公園に連れ込んだ。被告に言わせると被害女性は小学生時代、その公園でいじめを受けて泣いていたことがあるというが、女性自身にそのような記憶はない。

 園内のベンチで男が犯行に及んだのは、6時10分ごろのこと。男は突然「最後にハグしよう」と両手を広げ、女性に迫った。女性は「意味がわからず、何も反応できなかった」という。これを「抵抗していない」と都合よく解釈した男は、正面から女性に抱きついた。のみならず、上着に手を入れて胸を触り、またお尻を揉むなどのわいせつ行為を重ね、さらに恐怖で固まる女性に顔を近づけてキスをした。

 被害女性はのちに、次のように供述している。――《強引に舌を私の口に入れてこようとしたので、私も歯を喰いしばって唇を閉じて抵抗しました。しかし被告は無理やり、舌を私の上唇と下唇の間に入れてきて、私の歯をまさぐるように舐め回しました》――再現するだにおぞましい犯行。地域の信頼を悪用して60歳下の女性を弄んだ男は、被害者の心身に深い傷を残すことになる。

 《被告のことがとても恐くて、しかもとても近所に住んでいるので、未だに近所のコンビニに行くこともできません。毎日バスを利用しているのですが、このバスを1人で待っていることも恐くてできず、お母さんに一緒に来てもらっている状況です》

 当初、「被害を大ごとにしたくない」との考えで捜査機関の聴取に応じていなかった女性は、被告の男がほとんど反省していないことを知るに及んで供述を決意したという。事件後、男は被害女性の保護者に宛てた謝罪文で「近所のスーパーなどの利用は控える」旨を約束していたが、実際にはこれを破ってスーパーで被害者家族と鉢合わせるトラブルを起こしていた。同じく「150万円の慰藉料」「別の地域への転居」などを約束しつつ、これらも現時点で履行していない。

 ■反省なく“被害”主張

 一連の犯行は、筆者を含む複数の報道関係者が把握するまで一切明るみに出なかった。警察が報道発表を控えたためだ。未発表の理由は定かでなく、元警察官にしてスクールガードの男への“忖度”も疑われるところだが、北海道警察はこれを問う筆者の取材に「回答を差し控える」としており、捜査の事実を伏せた理由を明らかにしていない。

 事件から2カ月強が過ぎた5月10日に強制わいせつ容疑で逮捕された男は、送検後に勾留満期で釈放、6月2日に在宅起訴された。検察は釈放時、被害者に接近しないよう男に言い含めていたが、近隣住民は「その後も普通に出歩いていて、高齢施設のボランティアとかを続けていたようです」と証言する。

 起訴当日に自宅前で筆者の直撃取材に応じた男は、「やったことは間違いない」と容疑を認めた上で、「自制心が飛んでしまった」「癌で余命宣告を受けて厭世的になっていた」などと弁明、あくまで計画的な犯行ではなかったと強調した。警察学校同期生らが証言する過去の女性トラブルについては「一切ない」と全面的に否定、定年前に道警を退職した理由は「上司と揉めたため」と説明している。

 8月の初公判では、これに加えて「被害者家族によるストーカー行為」の被害に遭っているとの主張を展開し、検事や裁判官を呆れさせることになる。弁護人による主尋問でのやり取りは、以下の通りだ。

 ――被害者の母親が、後をつけてくると。
「はい。朝の7時過ぎから夜まで」

――ほかには。
「近所のスーパーに車を駐めたら警察を呼ばれ、公衆の面前で『この人は悪い人だから連れていってくれ』と言われました」

――とくに何かしたわけでもないのに。
「その時は何もしていません」

――周りに影響は。
「町内に事件のことが広く知られてしまいました。20年間やっていたスクールガードに行けなくなり、いろんなボランティアを辞めざるを得ませんでした」

――奥さんもメンタルを病んだと。
「はい。ずっと被害者の母につきまとわれているので、医者に言わせるとそれが原因ではないかということです」

 あたかも自分自身が被害者であるかのような語り。そこからは、深刻な強制わいせつ被害を受けた女性やその家族の怒りを理解しようとする思いはおよそ汲み取れない。

 被害女性の憤りは大きく、法廷で検察官が読み上げた陳述書には悲痛な思いが綴られていた。

 《検察官が「必ず裁判で裁いてくれる」と言っていたので、その言葉を信じていました。ですが、見せてもらった被告人の調書は嘘ときれいごとばかりで、自分をよく見せようとしているとしか思えないものでした。小学校4、5年生のころに私がいじめられていたので抱きしめて慰めた、とありましたが、そのような記憶は一切ありません。私が高校で不登校になったということもなく、自殺未遂や家出をしたこもありません。「死にたい」などと相談したと被告人は言っていますが、そんなことを相談したこともありません。被告人の言っていることが嘘ばっかりだったので、真実を知る私が話すしかないと思い、出たくはありませんでしたが裁判で証言する決断をしました》

 《常に近くにいるという恐怖。1人で外に出られず、近くのコンビニや自動販売機にすら恐くて行けない。会社でも、どこにいても、男の人が恐いです。仕事中に突然事件を思い出し、恐くなってトイレに逃げ込む、夢に出てくる、ストレスで体調を崩した等々、これが私の置かれている現状であり、生活にとても支障が出ています。被告人が、やったことを認めて反省しているとはとても思えません。人としてあり得ないことをしておいて反省もできない人間を理解するなど、私には不可能です。そんな被告人を許せません。これから先も絶対に許さないです》

 検察は論告で「信頼を裏切り、性欲の赴くがまま犯行に及んだもので、経緯動機に酌むべき事情はまったくない」と指弾、「厳正な処罰で臨み、猛省を促す必要がある」として、懲役2年を求刑した。一方の弁護側は、事件が未だに報道発表されていないにもかかわらず「充分な社会的制裁を受けている」などと主張、これまでの地域貢献の実績や癌の持病などを情状として、執行猶予つき判決を求めた。

 判決は9月1日午後、札幌地裁で言い渡される。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2021年08月26日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.08.20】:横浜市長選、小此木氏苦戦で顕在化した「ポスト菅」の動き

2021-10-07 08:26:08 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER2021.08.20】:横浜市長選、小此木氏苦戦で顕在化した「ポスト菅」の動き

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.08.20】:横浜市長選、小此木氏苦戦で顕在化した「ポスト菅」の動き 

 8人が立候補して激戦が続いてきた横浜市長選挙は、終盤にきて、菅義偉首相が支援する前国家公安委員長・小此木八郎氏と、立憲民主党や共産党が支持する前横浜市大医学部教授・山中竹春氏による、事実上の一騎打ちとなっている。

 報道各社の情勢調査によれば、山中氏が抜け出す勢いであるに対し、小此木氏は日ごとに支持を落とす状況。新型コロナウイルスの感染爆発を招いた政権への怒りが、小此木陣営に向けられているとみられている。

 「菅さんが選挙の顔では総選挙は戦えない」――横浜の選挙結果を見越した自民党内からは、「ポスト菅」をさぐる動きが出始めた。

 ■終盤戦で山中氏リード

 お盆の8月13日から15日にかけて、報道各社の世論調査や期日前投票の出口調査が実施された。あるメディアの世論調査では、山中氏が小此木氏を7ポイントリード。期日前投票における出口調査でも、山中氏が優勢となっている。出馬表明時には「当確」と見られた小此木氏が、ここに来て大苦戦といった状況だ。

 小此木氏を支持する、自民党の横浜市議が悲壮感を漂わせる。

 「小此木氏が立候補を決めて、最大の争点であるIRの横浜誘致の反対と言った時点では、何万票差をつけるか計算していたほどだった。しかし今は、相手の山中氏に投開票日の何時に当確が打たれるかという点に注目が集まる始末。いくら必死で追いかけても、相手の背中は離れるばかり。どうしようもない」

 緊急事態宣言の中、小此木氏は毎朝、駅前などに立ってきた。だが、道行く人からの反応は鈍く、「あのおじさん誰?って視線が感じられる。たまに反応があっても『あんたたちのせいで、コロナ感染が広がっているのでしょう』と実に冷たい。争点はIRではなく、コロナになっている」(前出の横浜市議)

 一方、山中氏を推薦している立憲民主党の国会議員は鼻息が荒い。

 「連日、コロナの新規感染者数が発表される。そのたびに、小此木支持の票がこっちに転がり込むようか雰囲気です。盛り上がってきたのは確か」

 コロナ対策の失敗で、菅内閣の支持率は急降下。多くの世論調査で、危険水域といわれる20%台になった。小此木氏は、市長選直前まで菅内閣の一員だったため、もろに影響を受けた格好だ。横浜市民は、小此木氏にも責任があるとみている。

 ■「ポスト菅」

 コロナで票を減らす小此木氏に対し、山中氏は「コロナの専門家」をPR。これが勝敗を分ける最大の要因になりそうだ。小此木氏の厳しい戦いを目の当たりにした自民党の閣僚経験者は、こう話す。

 「菅首相の懐刀のような存在で、現職閣僚でもあった小此木氏で必勝を期した横浜市長選。負けたら、政局になることは間違いない。コロナの感染爆発と同様に横浜市長選の負けも、菅首相の失政とみられるだろう。このままでは、解散総選挙は戦えない。党内は、そういう意見が大半だ」

 昨年9月の自民党総裁選で、いち早く菅支持を打ち出し、流れを作ったのは二階俊博幹事長である。首相と二階氏は、東京オリンピックのメダルラッシュで弾みをつけ、総裁選で勝ち、それから解散総選挙へというシナリオを描いていたはずだ。しかし、オリンピックは支持率回復に結びつかず、新型コロナの感染爆発には、まったく歯が立たない。連日、テレビカメラの前に立つ菅首相の自信なさそうな表情や、マスコミの質問にプッツンする様子は、国民だけでなく自民党内の信頼も失う結果となっている。

 そうした中、安倍晋三前首相に近い高市早苗元総務省や下村博文政調会長が総裁選に出馬する意向を示すなど、党内はすでに“ポスト菅”に向けて動き出した形。「安倍氏の揺さぶり」「菅おろしの序章」という永田町の声が、現実味を帯びる状況となってきた。

 「安倍さんにとっては、今回の総裁選がキングメーカーとしてのデビュー戦。自身と96人の派閥の力を誇示するはずだ。安倍さんの周辺には高市や下村など、候補が何人もいる。麻生太郎氏と組めば、総裁選の行方はほぼ決するだろう。コロナ対応の失敗は、本来は安倍さんの責任。その責任を、なんとしても菅総理に押し付けたい。もし、高市や下村で分が悪いとなれば、安倍さん自身が3度目の総理総裁を目指すという手もある。永田町はいま、菅首相の後は誰かという話ばかりだ」(前出・閣僚経験者)

 二階派所属の衆院議員でさえも、声を潜めて本音を打ち明ける。

 「自分の選挙があるのに、不人気の菅さんを支持するなんて選択肢はない。そんなことすれば、自分が落ちてしまう。菅さんで解散総選挙を戦うなんて無理。さすがに、二階幹事長にもまったくダメな菅首相をもう一度応援なんてしないでしょう。二階氏のことですから、うまく安倍氏や麻生氏と裏で連携しながら、次の一手を考えているはず。勝ち馬に乗ってほしいと願うばかりだ」

 横浜市長選の劣勢で、追い込まれる菅首相。カウントダウンがはじまったか。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース】  2021年08月28日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.08.24】:「サウナ市長」で注目の池田市長選、ルール無視の現場

2021-10-07 08:26:00 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【HUNTER2021.08.24】:「サウナ市長」で注目の池田市長選、ルール無視の現場

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.08.24】:「サウナ市長」で注目の池田市長選、ルール無視の現場 

 8月22日、大阪府の池田市長選挙が告示された。人口10万人ほどの地方都市の選挙が、注目を集めるには訳がある。これまで報じてきた通り、全国区になった「サウナ市長」こと冨田裕樹前市長による市役所私物化の是非が問われるからだ。

 市長室にサウナなどの私物を持ち込んだ市長は、いったん辞職したものの、性懲りもなく再選に向けて立候補。暴走市長を産んだ大阪維新の会も、これまた反省もなく公認候補を擁立した。ルール無視の維新型政治が、

 その市長選に立候補したのは、届け出順に以下の4人である。

 ・元池田市議の内藤勝氏(74)
 ・前池田市長の冨田裕樹氏(45)
 ・前池田市議の渡辺千芳氏(67)
 ・前池田市議で大阪維新の会公認の滝沢智子氏(40)

 ■相変わらずのルール無視

 池田市を大混乱に陥れた張本人の冨田氏は前2019年4月の市長選で、大阪維新の会公認候補として出馬し当選。大阪府の吉村洋文知事らが応援に入ったことで得票を伸ばした。

 ところが、1期目の途中で「サウナ市長」として厳しい批判を浴び、市長辞職。「ケジメをつけるべきだ」と吉村氏に批判されながら引退はせず、無所属で出馬してしまった。

 記者会見で「反省」を口にした冨田氏だが、どうやらそれは表面上のこと。地元関係者から、冨田陣営が平然とルール無視を続けていた証拠写真を入手した。

 選挙がはじまる2日前の8月20日午後のこと。阪急池田駅近くにある冨田氏の事務所の様子だ。本来なら、公職選挙法の規定で立候補届を提出するまで隠さなければならない選挙用の看板が、むき出しになっているのが分かる。

  写真を提供してくれた市民は、こう話す。 

 「選挙前にこんなことでええんかと、写真を撮った。すると、ビル2階の事務所にいた冨田本人が、手を振った。もう選挙がはじまっているんかなと、自分が勘違いしたのかと思ってしまいました」

 その後も看板はそのままで,「冨田ひろき」という名前や写真が見える状態が告示前日の21日まで続いていたという。こうなると確信犯だ。池田市議会から刑事告発されている冨田氏に、遵法精神のかけらもないことがよく分かる。

 ■無責任「維新」への批判も

 ローカルパーティー「大阪維新の会」の前代表で国政政党「日本維新の会」の代表を務める松井一郎大阪市長は、「冨田氏のサウナ問題では池田市民に迷惑をかけた。池田市長選には関与しない」と明言していたが、結局大阪維新は節操なく滝沢智子氏を公認。「冨田氏を公認した責任は大阪維新の会にある」と頭を下げた滝沢氏が、実はかつて冨田氏の秘書だったというからややこしい。滝沢氏擁立劇の裏で動いていたのは、池田市を含む大阪9区を地盤とする足立康史衆院議員だという。

 足立氏は22日の滝沢氏の出陣式で「選対委員長」として紹介され、写真のようにぴったりと候補者のそばについていた。

 街宣車には、足立氏と吉村氏のツーショット写真が大きく貼られ、演説を聞いていた池田市民は呆れ顔で、「これ足立さんと吉村さんの選挙なん?」とつぶやいていた。

  秋までには必ず実施される解散総選挙。足立氏が自身の選挙を意識しているのは明らかだ。もちろん「事前運動」は公職選挙法で禁じられているが、出陣式では司会の女性市議から何度もマイクを取り上げ、「コロナ対策、安全にできるのは滝沢さんです」。しかし、下の画像にある通り、足立氏は地方議員からマイクを受け取ると消毒もせず、自身がしゃべり、また次の地方議員に手渡していた。

  「なにがコロナ対策や。維新は感染対策がめちゃくちゃ。街頭演説でクラスターが出たらしゃれにもならへん」(通りすがりの市民)

 出陣式が終わると、なぜか維新のスタッフと池田市民とみられる男性が顔を突き合わせて口喧嘩。足立氏もすぐ近くにいるが、止める様子はない。マスクを着用しているとはいえ、コロナ禍では信じがたい光景だった。

 滝沢氏の選挙事務所は、阪急池田駅前の不動産会社の店舗だった物件。当初は無所属でも出馬する意向だった滝沢氏の事務所では、19日午後に滝選挙用看板が準備されていた。ところが下の写真にあるように、大阪維新の会「公認」の文字が――。だが、吉村氏らが「公認」を発表したのは19日の19時前後だった。つまり、「公認」の文字を入れたのは発表前だったということになる。初めから公認が決まっていた証拠だ。

   大阪では断トツの人気を誇る、大阪維新の会だけに、市長選の情勢も「滝沢有利」との前評判だ。だが、一方で「サウナ市長の製造者責任」「二枚舌選挙」と批判が高まっているのも確か。緊急事態宣言の中、密を生み出す可能性がある上、任期途中の選挙で無駄な公金支出となった責任は間違いなく維新にある。せめて、コロナ感染対策ぐらいは十分にやってほしいものだ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2021年08月24日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【僭越ながら「論」】:安倍・高市は「保守」に非ず

2021-10-07 08:25:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【僭越ながら「論」】:安倍・高市は「保守」に非ず

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【僭越ながら「論」】:安倍・高市は「保守」に非ず 

 自民党総裁選を巡る新聞テレビの報道合戦が始まって以来、「保守」という言葉の使われ方に首を傾げることが多くなった。「保守」の概念が、歪めて伝えられているのではないか――そう感じるからだ。

 特に、安倍晋三元首相が支援する高市早苗氏のことを、多くのメディアや評論家が「保守色が強い」「保守派の」などと表現することには不同意である。

 自民党は保守政党であり、総裁選に立候補している4人は全員「保守」を標榜する政治家。なぜ高市氏だけが、保守代表のように扱われているのだろうか。

◇  ◇  ◇

 保守色分けするとすれば、軍事優先で他国に対して強硬姿勢をとる「タカ派」と平和を希求する「ハト派」に分けるか、あるいは個人や自由を尊重する人たちを「リベラル」という言葉で括り、国家主義的な考え方に立脚する政治家を「右派」と称して区別するかのどちらか。そうした意味合いにおいて、高市氏は「右派代表」あるいは「国家主義者」であって、『保守代表』では決してない。

 敵基地攻撃能力導入、原発推進、靖国万歳、選択的夫婦別姓反対、先の大戦における従軍慰安婦や侵略戦争の否定、国防軍の創設――高市氏の政治的な主張は、単なる「右派」の域を超えた極右、もしくはウルトラライトと呼ぶべきものだろう。厳密にいうなら、同氏のように極端なものの考え方をする人は、「保守」とは言えない。

◇  ◇  ◇

 本来、伝統的な保守の考え方とは「寛容」が基本。社会を急激に変えるのではなく、ゆっくり時間をかけて改善してゆこうというものだ。「温故知新」というべきで、古いものに固執するのが保守ではない。「日本を取り戻す」などと戦前回帰にこだわる安倍晋三元首相政治姿勢も、保守のそれとは言い難い。

 保守政治の前提となるのは議論の末の合意形成で、当然ながら少数意見も尊重する。だが、安倍氏の政治は、「数の力」に頼った独裁。国民の半数以上が反対した特定秘密保護法や安全保障法制を強行採決で成立させたことが、端的にそれを物語っている。

 そんな安倍政治を「継承する」と明言している高市氏は、「総理になっても靖国神社に参拝する」と公約した。日本の総理大臣が任期中に靖国に参拝したら周辺諸国がどう反応するか――。分からないとすれば外交音痴、分かっていて参拝するというのであれば、危険思想の持ち主だ。そもそも、天皇陛下が参拝を控えている靖国にどうしても行くという政治家が、なぜ「保守」なのか?

◇  ◇  ◇

 自民党には「保守本流」という考え方がある。吉田茂が率いた旧自由党系の流れを汲む政治勢力のことを指す。現在では、池田勇人元総理の系譜につながる宏池会 (岸田派)、志公会(麻生派)、有隣会(谷垣グループ)、田中角栄元総理の旧田中派から続く平成研究会(竹下派)が該当する。総裁選を戦ってきた岸田文雄と河野太郎は、保守本流に連なる政治家である。

 一方、福田赳夫元首相が創設した清話会(現在の清和政策研究会)の流れをくむ細田派は、保守本流ではなく、いわゆる保守傍流。高市早苗氏がかつて所属していたのは細田派で、保守本流ではない。松下政経塾を出てから、無所属→柿沢自由党→新進党→自民党と渡り歩いた高市氏が、保守の代表を気取るのは滑稽というものだ。

◇  ◇  ◇

 安倍晋三首相として訴えてきたのは「戦後レジュームからの脱却」だ。その言葉通り安倍は、強行採決を繰り返して特定秘密保護法安全保障法制成立させ、憲法解釈を変更してまで戦後の内閣が認められないとしてきた集団的自衛権行使容認に踏み切った。「一強」をいいことに、戦争好き政治家が、たいした議論も経ずに根幹を大きく変えたということだ。「革新」というべき性急な変化だったとも言える。中国、韓国を敵視するあまり、米国依存を強めざるを得なくなり、普天間飛行場の辺野古移設を巡っては沖縄県民から「民主主義」を奪い取った。この国の姿を歪めた安倍が、「保守」であるはずがない。(中願寺純隆)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 【僭越ながら「論」】  2021年09月29日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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