路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【政界地獄耳・04.24】:「身を切る改革」維新が万博推進では支持につながらない

2024-05-01 07:40:10 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【政界地獄耳・04.24】:「身を切る改革」維新が万博推進では支持につながらない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・04.24】:「身を切る改革」維新が万博推進では支持につながらない 

 ★21日投開票のあった大阪・大東市長選挙。大東市は日本維新の会幹事長・藤田文武(大阪12区)のおひざ元。現職市長が3期務めて引退。新顔同士の対決となったが、大阪維新の会公認の前市議らを破り、無所属の新人で元大東市職員が当選を果たした。さすがに大阪で圧倒的に強い維新が取りこぼすとニュースになるが、22年3月の兵庫県西宮市長選の敗北、23年の9月の茨城県牛久市長選の新人の落選、10月の奈良県橿原市長選では前市長が落選。11月の京都府八幡市長選での新人の落選、同月の神奈川県海老名市長選でも新人(推薦)が落選を喫している。

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)夢島 鳥瞰イメージ

「2025年大阪・関西万博」会場 夢洲 鳥瞰イメージ 夕景(2022年7月13日時点)
提供:2025年日本国際博覧会協会

 ★首都圏はとにかくも大阪、兵庫、奈良、京都という近畿圏の首長を取りにいく戦略は功を奏さず、かげりが見え始めたと評す声もあるが、大阪の衆院選挙では毎回、各党とも全く歯が立たない。もし大阪の有権者が地域の首長と東京で自民党やほかの野党と論戦を戦わせる役割を承知で投票行動を分けているのなら、なかなかなものだが、その背景には「身を切る改革」を掲げる改革政党としての維新のイメージが強く浸透しているということになる。だが維新積極的誘致を決めた大阪・関西万博会場建設費が膨らみ、建設工事遅れも深刻化していることなどが背景にあるのだろうか。

 ★立憲民主党はさまざまな分野で繰り広げられる野党共闘を念頭に、万博の費用問題や工事の遅れについての政府への批判すら封印している。政府批判ストレート維新批判につながるからだ。東京の自民党関係者が言う。「確かに維新勢いは下がってきている。身を切る改革万博推進東京ではなかなか重ならない」。立憲関係者も「改革路線は自民党支持者以外の業界団体などの活動も既得権のように扱い、否定的に見ているというただの壊し屋イメージが強い。それでいて、いざとなると自民党助けかねないという思いは有権者強くある」。改革を叫ぶ自民党支持ではつじつまが合うまい。(K)※敬称略 

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年04月24日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・04.23】:衆院3補選の結果が出れば今後は茂木敏充の進退が焦点 自民党の瓦解で政治が動く

2024-05-01 07:40:00 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【政界地獄耳・04.23】:衆院3補選の結果が出れば今後は茂木敏充の進退が焦点 自民党の瓦解で政治が動く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・04.23】:衆院3補選の結果が出れば今後は茂木敏充の進退が焦点 自民党の瓦解で政治が動く 

 ★政界は28日投開票の衆院3補選の結果を固唾(かたず)をのんで待つ状況だ。自民党は島根1区に候補者を立てているが、2つの不戦敗も含めて、決して楽な選挙ではない。21日、全国ではさまざまな選挙が行われたが、任期満了に伴う東京都目黒区長選は無所属現職が票は減らしたものの当選。6選を果たした。無所属新人の元都議(国民民主党、都民ファーストの会推薦)や立憲民主党推薦、社民党・共産党支持、自民党推薦候補ら4人を破った。多選批判で関心は薄いかと思われたが、投票率は低投票率ながら、前回を2・88ポイント上回る36・21%だった。既成政党は現職に歯が立たなかったが、ことに都知事・小池百合子が特別顧問を務める都民ファーストの敗北は、次期衆院選挙で同党が都内で複数候補を擁立するとの戦略を左右しかねない。

自民党役員会に臨む岸田文雄首相=4月15日午後、国会内(春名中撮影)

 ★愛知県碧南市議選は定数22に対して26人が立候補したが、作家・百田尚樹と名古屋市長・河村たかしが共同代表を務める政治団体「日本保守党」の公認候補が、党公認の第1号当選者となった。日本維新の会やNHK党(現・みんなでつくる党)も地方議会で議席を持ち、国政へ勢いをつけた。2大政党で政権交代をやりやすくするという選挙制度に変わってから約30年。制度ではなく、自民党の瓦解(がかい)という形で政治が動こうとしている。

 ★思えば先週、自民党総務会長・森山裕は「国民政党として選択を狭めてしまったことは重い責任だ。勝ち負けは別にして、信を問うべきだった」と、戦わずして負けを認めたことに強い不快感を示したが、背景には幹事長・茂木敏充への責任論があるという。自身にも“政治とカネ”に不透明な部分を抱える茂木は党議員の処分を決めたものの“政治とカネ”という不祥事全体への責任論もある。また派閥解体を首相(総裁)が言い出しても茂木派は存続させ、最近になって解体が決まったばかりだ。この動きは、既に総裁選挙が始まっているといえるだろう。今後は茂木の進退が政局の焦点に浮上する。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年04月23日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田首相】:円安進行に打つ手なし!「物価高から国民生活を守る」の空虚、むしろ手立ては緩みっぱなし

2024-05-01 07:15:50 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【岸田首相】:円安進行に打つ手なし!「物価高から国民生活を守る」の空虚、むしろ手立ては緩みっぱなし

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相】:円安進行に打つ手なし!「物価高から国民生活を守る」の空虚、むしろ手立ては緩みっぱなし

 29日に34年ぶりの円安水準となる1ドル=160円台に急落した東京外国為替市場の円相場。一夜明けた30日も正午時点で1ドル=156円71~72銭と「円安・ドル高」の傾向は変わらず。さらなる円安進行となれば、懸念されるのが今夏以降の物価高だ。

 民間調査会社の帝国データバンクは30日、5月に値上げする予定の飲食料品が417品目になると発表。4月の約2800品目から減少するものの、平均値上げ率は31%。値上げが本格化した2022年以降で最も高くなった。

<picture>「守る」のではなく「壊している」が正しいのでは…(C)日刊ゲンダイ </picture>

 「守る」のではなく「壊している」が正しいのでは…(C)日刊ゲンダイ

 値上げの要因は「輸入品などの原材料費の高騰」「物流コストの上昇」で、いずれも大きくかかわっているのが円安だ。市場では「1ドル=170円台」の可能性も指摘され始めているから、そうなれば幅広い品目で大幅な「値上げラッシュ」は避けられない。

 政府が物価高対策として続けてきた電気・ガス料金の負担軽減措置も5月の使用分までで終了。6月の電気とガスの料金はともに値上がりする見通しだから、さらなる物価高となれば国民生活への影響は計り知れない。

 ■国民の実感は「生活が壊されてきた」の方が強いのではないか

 SNS上では《これ以上の値上げはヤバい》《政府は何をやっているのか》といった怒りの投稿も見られるが、岸田文雄首相(66)は物価高に対してこう繰り返していた。

 「物価高から国民生活を守る手立ては緩めません」(2024年1月の衆院本会議)

 「国民の皆さんが苦しんでいる物価高騰に的確に対応し、そして暮らしやなりわいを守る、これは大変重要なことであります」(2023年12月の衆院予算委員会)

 「物価高から国民生活と事業活動を守り抜きます」(2022年10月の衆院本会議)

 「足下の物価高騰等に直面し困窮する方々の生活を守るための支援にも取り組んでまいります」(2022年4月の衆院本会議)

 「物価高から国民生活を守る」「暮らしを守る」「手立ては緩めない」――。岸田首相はこう声を張り上げていたが、国民の実感は「生活が守られてきた」ではなく、手立ては緩みっぱなしで、むしろ、少子化対策のための実質的な増税やガソリン税減税の拒否、インボイス導入などによって「生活は壊されてきた」という思いの方が強いのではないか。

 いずれにしても、今の為替動向と秋以降の値上げに注視する必要がある。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・金融・為替】  2024年05月01日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【為替】:1ドル=160円台突入を指をくわえて傍観か…34年ぶり円安水準で問われる財務省の姿勢と曖昧説明

2024-05-01 07:15:40 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【為替】:1ドル=160円台突入を指をくわえて傍観か…34年ぶり円安水準で問われる財務省の姿勢と曖昧説明

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【為替】:1ドル=160円台突入を指をくわえて傍観か…34年ぶり円安水準で問われる財務省の姿勢と曖昧説明

  アジア市場では1990年4月以来、34年ぶりの円安水準となる1ドル=160円台に急落した29日の東京外国為替市場の円相場。午後になって154円台へと約6円も急反発したことから、市場では政府、日銀が為替介入に踏み切ったとの観測が広がった。

 一夜明けた30日午前の円相場は、1ドル=156円台前半に上昇したものの、神経質な動きが続いている。円相場は今年1月初旬時点で1ドル=140円台だったから、この4カ月で約20円も円安が進んだわけだ。

<picture>どこまで進む?(C)共同通信社</picture>

     どこまで進む?(C)共同通信社

 ゴールデンウィークを利用して海外旅行に出かける観光客からは「食料を持参します」「現地では何も買わない」といった、ため息交じりの声も漏れているが、SNS上で上がり始めたのが《結局、財務省は何をやっていたのか》《財務省は傍観していただけではないのか》といった投稿だ。

 アベノミクスによる異次元金融緩和を続けてきた日本と、緩和策を徐々に修正し、利上げを行ってきた米国。ここ数年の日米の金利差は広がるばかりで、円安ドル高の傾向が続いていたのは周知の事実だろう。円安進行による物価高の影響を懸念する声も強まり、国会質疑では緩和策の見直しや為替に関する政府の姿勢が問われてきたのだが、政府や財務省が繰り返してきたのが「高い緊張感」という曖昧な言葉だった。

 ■「高い緊張感を持って注視し、適切に対応」してきたのか?

 「政府といたしましては、引き続き、為替市場の動向、高い緊張感を持って見守ってまいりたい、注視してまいりたいと考えております」(鈴木俊一財務大臣=2024年2月22日の衆院予算委員会)

 「私どもとしまして、引き続き、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視をするとともに、必要な場合には適切な対応を取る、こういう考え方で引き続き臨んでまいりたいと考えてございます」(三村淳・財務省国際局長=2022年11月18日の衆院財務金融委員会)

 「為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変動に対しては適切な対応を取りたい」(鈴木俊一財務大臣=2022年11月2日の衆院財務金融委員会)

 「為替市場の動向に高い緊張感を持って注視しつつ、過度なこの変動に対しては適切に対応するということを申し上げさせていただいております」(岸田文雄首相=2022年10月24日の参院予算委員会)

 「財務省といたしましては、引き続き、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに…」(土谷晃浩・財務省国際局次長=2022年9月30日の衆院経済産業委員会)

 米国の動きもあるとはいえ、財務省が答弁通り、「高い緊張感を持って注視し、適切に対応」してきたのであれば、さすがに34年ぶりの円安水準とはならないのではないか。これではネット上で、《財務省は傍観していただけ》《財務省はむしろ円安を容認していた》と指摘する声が出るのも無理はない。

 ベストセラーとなった経済アナリストの森永卓郎氏(66)の著書「ザイム真理教--それは信者8000万人の巨大カルト」(フォレスト出版)は、低迷を続ける日本経済の背景として財務省の責任を説いていたが、そろそろ「最強官庁」「エリート集団」といった見方は改めた方がいいかもしれない。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・金融・為替】  2024年05月01日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政局】:8時に「瞬殺」でもしがみつき まだ辞めない総スカン首相の驚くべき鉄面皮

2024-05-01 07:15:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【政局】:8時に「瞬殺」でもしがみつき まだ辞めない総スカン首相の驚くべき鉄面皮

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:8時に「瞬殺」でもしがみつき まだ辞めない総スカン首相の驚くべき鉄面皮 

 注目された衆院3補選は下馬評通り、岸田・自民に国民の鉄槌が下った。

 与野党一騎打ちとなった島根1区は立憲民主の亀井亜紀子が圧勝、自民が不戦敗だった長崎3区、東京15区はいずれも立憲の候補が制した。

 この結果を見て、日本中が「山が動く」予感と興奮に包まれているのではないか。政治記者歴50年の野上忠興氏も、そんな一人だ。

<picture>8時に決まった「岸田NO」(衆院島根1区補欠選挙、当選を決め、万歳する立憲民主党の亀井亜紀子氏=中央)/(C)共同通信社</picture>

 「長年、選挙予想をしてきました。289小選挙区と言っても、すぐに◎を打てる鉄板選挙区が自民党にはいくつもあった。島根1区はイの一番に自民に◎をつけてきた選挙区ですよ。そこが8時の開票と同時に落選が決まった。それにまず驚き、翌日、新聞の出口調査を見てさらに驚いた。自民の支持層の2、3割が亀井氏に流れていたからです。統一教会が動かず、学会票にも愛想を尽かされ、岩盤支持層も崩れた。明らかに潮流が変わったことがハッキリわかりました。これは一時的な現象ではありませんよ。カネにまつわる怒りですから、選挙を先送りしたところで、国民は絶対に忘れません。私も政権交代前夜の予兆と興奮を感じています」

 2012年の安倍政権以来、国民はイヤというほど、政治のデタラメ、横暴を見せつけられてきた。モリ・カケ・サクラは言うに及ばず、大企業だけを利し、庶民を切り捨て、そのくせ、自分たちだけが裏金で潤い、破廉恥な醜聞を繰り返してきたのは周知の通りだ。しかし、いざ選挙になると、分断された野党は利権政党の前に屈してしまった。野党もどきの維新や国民民主が有権者をひっかき回し、自民は図に乗り、やりたい放題。自分たちの私腹を肥やすだけでは飽き足らず、庶民にはインボイスと大負担増を並べてきた。あまりの理不尽に対する怒り、悔しさ、やりきれなさ。マグマのようにたまった積年の恨みが今、自民党という汚物の山を動かそうとしているのだ。日本中から「思い知ったか、自民党!」の声が聞こえてきそうだ。

 ◆選挙結果にまるで他人事の岸田首相

 ところが、この選挙結果を突きつけられ、なお、政権にしがみついているのが岸田首相だ。

 29日の読売新聞には目をこすりたくなるような話が載っていた。選挙結果を受けて岸田は周囲にこんな心境を吐露したというのである。

 「不祥事の後の選挙はこういうものだ」

 まるで他人事、評論家のセリフではないか。この発言にこそ、岸田の裏金問題に対する意識が読み取れる。「あれは安倍派の話。オレには関係ない」ということだ。

 だから、岸田が通り一遍の謝罪を口にしても、国民には響かない。「火の玉」「先頭に立つ」など、空疎な言葉が空回りする。

 それが完全に見透かされているのに気づかない。恐ろしいほどの神経だ。自分のことしか眼中にないのだ。

 ◆島根補選は岸田信任投票ではないか

 今度の補選では元東京地検検事で弁護士の郷原信郎氏が立憲の候補の応援に入った。松江出身の郷原氏は岸田が裏金問題で自分に処分を科さなかったときに「最終的に国民、党員の判断をいただく」と啖呵を切ったことを捉え、こう訴えた。

 「岸田首相の言う“国民の判断”とは選挙のことです。今度の3補選は裏金問題が発覚してから初めての選挙です。その中で、自民党が候補者を立てられたのは島根1区だけです。岸田首相にとって、この選挙区こそが国民の審判を仰ぐ場なのです」

 まったくもって、その通り。ここでの補選には岸田の「信任投票」の意味合いがあったことは言うまでもない。岸田だって、十分、自覚しているはずで、だからこそ、2回も応援に入った。2度目は岸田の独断で急きょ決まって周囲も慌てた。その結果が開票と同時の「瞬殺」「惨敗」だったわけで、「“今すぐ辞めろ”が国民の声」と謙虚に受け止めるべきなのである。

 ◆地球の裏側弾丸ツアーで「やる気」の怖さ


 2度目は異例だった島根入り(最終日、錦織功政氏の最後のお願いに駆けつけた岸田首相=左)/(C)共同通信社

 それなのに、岸田の鉄面皮たるや、鋼のごとしだ。朝日新聞には、読売とは別のコメントが載っていた。

 「(3補選の全敗は)みんな予想していた(ことだ)」

 これものけぞる発言だ。「大したことじゃねえだろ」とでも言いたいのか。で、連休中はフランス、ブラジル、パラグアイを3泊6日で強行する「地球の裏側弾丸ツアー」に出かける。国民は円安で海外どころじゃないのに、イイ気なものだ。しかも、この旅の目的がグローバルサウスでの「顔売り」なのだ。ブラジルは今年のG20の議長国でもある。だから、パートナーシップを深めて、ともに世界をリードしていく。こんな魂胆、野望なのだろうが、このやる気にもゾッとする。一体、いつまで首相をやる気なのか。改めて、郷原信郎氏にも聞いてみた。

 「今度の補選は錦織功政さんという自民党の候補者が負けたのではなく、岸田首相が惨敗したのだと思っています。私の訴えに島根の人の反応がすごくよかったし、今度だけは自民党に投票できないという思いが亀井さんの票につながったのでしょう。岸田首相は自分への審判として重く受け止めるべきです。他人事のようなセリフでゴマカすなんて最悪です」

 なぜ、自分に裏金処分を科さないのか、と聞かれれば、「それは国民の判断を仰ぐ」と言い、その審判が下れば、「オレのせいじゃない」とばかりに居直る。党内は党内で、そんな岸田を傍観している。「いまは内輪もめをするときじゃない」とか言って様子見を決め込んでいる議員ばかりだ。信じられない弛緩である。この間にも市場では狂乱の円安が進んでいる。市場は「レームダック政権だから安心」となめている。それなのに、平然と居座り、居直る首相。政権交代への国民の興奮も束の間、それが悲鳴に変わるかもしれない。

 ◆規正法次第で総裁選前倒しの展開も

 この先、政局はどう展開していくのか。いつまでこんな政権が続くのか。国民の高揚が冷えていくのを待つ気なのか。有権者は気が気じゃないが、前出の野上忠興氏の見立てはこうだ。

 「基本的には今度の補選で岸田首相の退陣は決まったとみています。首相は会期末の減税解散を模索するでしょうが、この補選結果でできるわけがない。羽交い締めにされるだけです。ただ、今すぐ岸田おろしになるかというと、コップの中の嵐をしていては、ますます国民から見放されてしまう。派閥も解体し、反主流派を形成しにくい事情もあります。9月の総裁選まで様子見、総裁選で引きずりおろせばいい。そんな考えが党内の主流ではないですか。総裁選をやり、新総裁で支持率が上がれば解散・総選挙。上がらなければ、裏金問題の風化を待つ。限りなく、任期満了に近い選挙になるかもしれません」

 だとすると、国民から総スカンの政権があと半年も続くのか。

 「補選3連勝で勢いづく立憲民主は後半国会でもガンガン、政治と金を追及していくでしょう。政治資金規正法改正がのっぴきならなくなる事態もあり得ます。そうなれば、首相退陣や総裁選の前倒しが現実味を帯びてきます」(野上忠興氏=前出)

 立憲は規正法改正で政治資金パーティーの全面禁止を掲げている。自民党はのめるわけないが、国民世論は抜け穴だらけの自民党案に呆れている。自民党内では茂木幹事長の更迭、「石破幹事長で目くらまし」なんて案もあるらしいが、そんな小手先で流れが変わるとも思えない。

 今後は鉄面皮首相を立憲がいかに追い込み、それを国民世論が後押しするか。岸田退陣を一刻も早めることが国民生活にとって肝心だ。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・岸田政権・衆院3補選】  2024年04月30日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【選挙】:東京15区補選“大惨敗”でハッキリ…「小池都知事」「日本維新の会」両ブランド凋落と限界

2024-05-01 07:15:20 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【選挙】:東京15区補選“大惨敗”でハッキリ…「小池都知事」「日本維新の会」両ブランド凋落と限界

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【選挙】:東京15区補選“大惨敗”でハッキリ…「小池都知事」「日本維新の会」両ブランド凋落と限界

 野党第1党の立憲民主党が全勝した週末の衆院3補選で自民党の尻に火が付き、岸田首相の退陣カウントダウンが始まった。下馬評通りだが、予想外の退潮を印象付けたのが学歴詐称問題が再燃中の東京都の小池知事だ。東京15区に擁立し、全力支援した作家の乙武洋匡氏が大惨敗。集票力の低下はゴマカしようがなく、国政復帰どころか、知事3選も危うくなってきた。

<picture>組織がついていながら唖然の結果…(小池百合子都知事)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

 組織がついていながら唖然の結果…(小池百合子都知事)/(C)日刊ゲンダイ

 2人続けて逮捕者を出した自民が不戦敗した東京15区には、9人が立候補。立憲が公認した前江東区議の酒井菜摘氏が大混戦を制して初当選した。知名度を誇る乙武氏は「裏金問題に非常に強く憤りを感じている」と正論をブッて自民の推薦を蹴っ飛ばした末、次点にも絡めずに5位。小池知事と関係良好な公明党が終盤に腰を上げたものの、トップからダブルスコア以上も離され、箸にも棒にもかからなかった。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。

 「乙武氏は無所属で立候補し、小池氏が特別顧問に就く(地域政党)都民ファーストの会国民民主党の推薦を受けましたが、都ファが母体の『ファーストの会』の副代表。組織がついていながらア然の結果です。乙武氏の得票は、小池氏や都ファ都議が江東区で得た票をはるかに下回る。4年前の都知事選、3年前の都議選と比べると惨憺たるもの。先日の目黒区長選でも小池氏が推した候補は敗北した。神通力は今は昔ですよ」

 ◆都ファは「選挙妨害」条例制定で焼け太り

 9日間も応援に入った小池知事は落胆が隠せず、乙武陣営は「選挙妨害のせいだ」と息巻いている。嫌がらせをした政治団体「つばさの党」の候補者や代表らに対し、警視庁は公選法に抵触する可能性があるとして警告を発出。渡りに船とばかりに都ファは早速、対策を練っているという。

 「都ファは悪質な選挙妨害を許さない条例案の議会提出を検討していて、自民党にも賛成するよう呼び掛けるようです」(都議会関係者)

 敗因の論点ズラシで言論統制じゃ焼け太り。注視する必要がある。

<picture>もはや「日本維新の会」の党勢拡大も限界(左が馬場伸幸代表、藤田文武幹事長=右)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

もはや「日本維新の会」の党勢拡大も限界(左が馬場伸幸代表、藤田文武幹事長=右)/(C)日刊ゲンダイ

 一方、野党第1党を狙う日本維新の会は地域政党の本領発揮。2021年衆院選に続いて再挑戦した金沢結衣氏はまたも3位どまり。この間、支持を広げられずに得票を4割近くも減らし、完全無所属で出馬した須藤元気前参院議員にも敗れた。

 「維新の党勢拡大には限界があることがハッキリした。馬場代表は〈立憲を叩き潰す〉〈立憲に投票しないで〉とか言ってましたが、ああいうのは東京ではウケない。全く響かない。大阪・関西万博をめぐるデタラメがダメ押しになっている」(角谷浩一氏)

 この際、自民も補完勢力も全滅一択だ。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・衆院東京15区補選】  2024年04月30日  13:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田内閣】:岸田首相含め政務三役31人、渡航費用12.6億円!円安放置し“血税ごっつぁん”外遊三昧のア然【リスト付き】

2024-05-01 07:15:10 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【岸田内閣】:岸田首相含め政務三役31人、渡航費用12.6億円!円安放置し“血税ごっつぁん”外遊三昧のア然【リスト付き】

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田内閣】:岸田首相含め政務三役31人、渡航費用12.6億円!円安放置し“血税ごっつぁん”外遊三昧のア然【リスト付き】

 歴史的な円安・物価高に苦しむ庶民を尻目に、税金で海外出張とはいいご身分である。ゴールデンウイーク(GW)期間中の閣僚の外遊ラッシュが今年も繰り返される。岸田首相は5月1日から6日までの日程で、フランス、パラグアイ、ブラジルを訪問する。

<picture>ユーは何しに?(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

  ユーは何しに?(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ

 岸田首相は南米訪問に先立ち、フランスのパリに本部がある経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会で2日に基調演説を行い、マクロン大統領と会談する予定。日本の首相としては約10年ぶりとなる南米への個別訪問でも首脳会談を予定しており、新興・途上国「グローバルサウス」との関係強化を狙うという。

 GW期間中に日本を離れるのは、岸田首相を含め大臣20人中14人。すでに外遊へと旅立った副大臣・政務官をあわせると、計31人が37カ国を訪問予定だ(別表)。雁首そろえて何しに行くのか。

 OECD閣僚理事会やG7会合への出席など、目的がハッキリした外遊もある一方、「政府要人との会談等」など、あいまいな内容も。すべてが物見遊山ではないにせよ、「ファーストクラスで渡航する大臣は1回あたり1000万~2000万円程度の費用がかかると見込まれる」(政府関係者)というから出費はバカにならない。

 2016年5月に野党議員が出した質問主意書への政府答弁によれば、当時1回分の外遊費用は首相が約2億円、大臣が約3000万円に上る計算だった。副大臣・政務官が大臣の半分の費用と仮定して、今回の渡航費用をはじき出すと、全体で約8.4億円。

<picture>単純計算で12・6億円の出費。独自外交の展開も乏しく、外遊の成果が見えない(C)日刊ゲンダイ</picture>

単純計算で12・6億円の出費。独自外交の展開も乏しく、外遊の成果が見えない(C)日刊ゲンダイ

 ◆費用は2016年の約1.5倍増

 16年が平均1ドル=108円だったことを加味すれば、足元の水準1ドル=160円では約1.5倍も費用がかさむことになる。今年の外遊も例年の規模感と同じなら、単純計算では12.6億円の出費である。

 「個人的に行くのならまだしも、問題は国民から預かった税金を使って何をしているのかということです。そもそも、対米追従ばかりで独自外交を展開していないのだから、外遊の成果が見えない。だから毎度、『物見遊山に行っているだけ』との批判が出る。政府にとって慣例になっているだけで、円安・物価高に苦しむ庶民なんて知ったことではないのでしょう」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 しかも、外遊先として集中しているのが欧米だ。最多7人がフランスを訪れ、次いで4人がベトナム、ベルギー、イタリア、アメリカを訪問する。ことごとく円の価値が下がっている国である。

 一方、庶民の選択肢は対照的だ。大手旅行会社JTBの推計では、4月25日~5月5日に海外旅行に出かける人は前年比約68%増の52万人の見込みだが、人気旅行先ベスト3は上位から、円安の影響が小さい韓国や東南アジア、台湾。ちなみにコロナ禍前の19年のベスト3は上から東南アジア、ヨーロッパ、ハワイだった。

 円安のせいで海外旅行は、すっかり高根の花。一体どこまで“貧乏”になってしまうのか。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・岸田内閣・ゴールデンウイーク(GW)期間中の閣僚の外遊ラッシュ】  2024年04月30日  11:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日本銀行】:なぜ辞退しない? 円安物価高の“A級戦犯”黒田東彦・前総裁に「叙勲」のブラックジョーク

2024-05-01 07:15:00 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【日本銀行】:なぜ辞退しない? 円安物価高の“A級戦犯”黒田東彦・前総裁に「叙勲」のブラックジョーク

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日本銀行】:なぜ辞退しない? 円安物価高の“A級戦犯”黒田東彦・前総裁に「叙勲」のブラックジョーク

 よりによって、である。一時、1ドル=160円を突破するほどの超円安が加速する中で、この事態を招いた“A級戦犯”に勲章が授与される。黒田東彦・前日銀総裁のことである。

<picture>底ナシ円安の元凶(「異次元緩和」政策を説明する黒田東彦日銀総裁=2013年当時)/(C)共同通信社</picture>
底ナシ円安の元凶(「異次元緩和」政策を説明する黒田東彦日銀総裁=2013年当時)/(C)共同通信社

 政府は29日付で春の叙勲を発表。4108人が受章し、「公務等に長年にわたり従事し、成績を挙げた方」が対象となる瑞宝大綬章の1人が黒田氏だった。本人は「私の勤務した財務省、アジア開発銀行、日本銀行の功績に対する叙勲と考え、感謝いたします」とコメントしたが、このニュースが流れるとSNSは、ほぼブーイング一色。

アベノミクスで、国債を買いまくって政府の財政ファイナンスを助けて、日本円を棄損させた黒田に、叙勲なんて、この国どうなっているんだ?》《黒田だけは無いよね。むしろ国を混乱させた罰を受けるべき》など、「叙勲に納得いかない」という意見があふれた。

 当然だ。底ナシの円安・物価高地獄は黒田氏が10年も続けた異次元緩和の副作用に他ならない。安倍元首相が人気取りで始めたアベノミクスの円安・株高誘導に、黒田日銀が全面協力。2年で終えるはずがズルズル引っ張って、デフレ脱却どころか悪いインフレを招いた。後任の植田総裁は行き過ぎた緩和策の後始末に右往左往でますます円安を招く悪循環。まさに安倍・黒田コンビこそが日本経済と国民生活をメタメタにした張本人である。

<picture>ついに160円台、物価高地獄が国民を待ち受ける(C)共同通信社</picture>

 ついに160円台、物価高地獄が国民を待ち受ける(C)共同通信社

 ◆罪の意識も反省もゼロ

 「戦犯に叙勲とは、ブラックジョーク以外の何ものでもない」と言うのは経済評論家の斎藤満氏だ。こう続ける。

 「だから最初は笑っちゃったんです。でも、岸田自民党の体質が現れた結果だと、ある意味、納得しました。国民に奉仕した人ではなく、政府に協力した人に勲章を授与する。黒田さんは自民党政権を支える上で大きな貢献をしましたからね。国民の認識との乖離は大きい。もっとも、岸田首相が国民感覚からズレているから、補選で全敗したのでしょうが」

 黒田氏は現在、政策研究大学院大学や京大大学院で教鞭を取り、新たなライフステージを謳歌している。今月1日に米コロンビア大で講演した際は、植田日銀のマイナス金利解除について「正常化の第一歩」だと評価し、「足元の円安は行き過ぎ」とも指摘していたと日経新聞が報じていた。罪の意識も反省もゼロ。能天気にもほどがある。

 叙勲には過去に辞退者もいる。最近では、一昨年に参院議員を引退した二之湯智・元国家公安委員長が、「国家公安委員長として、安倍元首相の銃撃死へ責任を感じている」との理由で、昨秋の旭日大綬章受章を辞退している。

 勲章の親授式は来月9日に皇居で行われる。まだ間に合う。黒田氏も辞退したらどうか。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・日本銀行・超円安が加速する中で、この事態を招いた“A級戦犯”に勲章が授与される。黒田東彦・前日銀総裁】  2024年04月30日  10:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・04.18】:万博まで1年/伝わってこない開催意義

2024-05-01 07:06:10 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説・04.18】:万博まで1年/伝わってこない開催意義

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・04.18】:万博まで1年/伝わってこない開催意義

 大阪湾の埋め立て地・夢洲(ゆめしま)が会場となる2025年4月13日の大阪・関西万博開幕まで、1年を切った。パビリオン建設は徐々に進み、前売り入場券も発売されているが、全国はもとより大阪に接する兵庫でも、期待感は高まっていない。

 膨れ上がる事業費や建設の遅れ、そして能登半島地震の復旧復興に影響する可能性など、開催を巡る懸念が山積している点が、国民が抱く万博への印象に影を落としている。

 問題は、説明を尽くして懸念を解消しようとする姿勢が、主催する日本国際博覧会協会や政府、誘致した大阪府、大阪市に乏しい点だ。

 参加企業・団体などに対する共同通信のアンケートでは、開幕への機運醸成に危機感を抱く回答が8割を占めた。開催ありきでは国民の関心を引きつけられない。博覧会協会や政府は省みる必要がある。

 主催者側の姿勢を象徴するのは、3月に表面化した「2億円トイレ」の対応だ。会場内で若手建築家が手がける8カ所の公衆トイレのうち2カ所が2億円近くで落札された。断水が続きトイレの確保も困難な能登との対比などで批判が高まった。

 万博担当相らは「一般的な公衆トイレと比べ高額ではない」との説明に終始したが、他の実例などを示さねば、説得力を持たない。

 設計した建築家は、移設や転用が可能で災害復興にも資する新たな発想を目指したという。賛否は別にしても万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を具現化しようとした点は理解できる。本来は主催者側がこうした理念を丁寧に説明するのが筋だろう。

 同様に批判を集めた350億円の木製「リング」も、万博の基本理念である持続可能な開発目標(SDGs)などとの関連は明確に語られず、閉会後の再利用も不明確だ。

 博覧会協会は「機運醸成行動計画」をまとめ、各地でのイベントや交流サイト(SNS)発信を通じ博覧会の内容をアピールするというが、今なぜ万博なのかという根本的な疑問をいまだに多くの国民が抱いている点から、目を背けてはならない。

 大阪府と市の昨年末の調査では、万博への来場意向を示す回答は地元でも37%にとどまった。よもや主催者側は、「始まってしまえば国民は必ず来る」と楽観的に考えているわけではあるまい。

 前回の万博開催の1970年と異なり、海外文化や最新技術に触れる機会は、万博のほかにもいくらでもある。それでも巨額の税金を投じて開催する意義はどこにあり、次代に何を伝えるのか。国民の理解を得るため、説明と情報公開に改めて力を注ぐべきだ。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月29日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【適菜収 だから何度も言ったのに・04.26】:「いのち輝く」万博から「いのち失う」万博へ 維新と自民党が引き起こす絶望のスパイラル

2024-05-01 07:06:00 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【適菜収 だから何度も言ったのに・04.26】:「いのち輝く」万博から「いのち失う」万博へ 維新と自民党が引き起こす絶望のスパイラル

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【適菜収 だから何度も言ったのに・04.26】:「いのち輝く」万博から「いのち失う」万博へ 維新と自民党が引き起こす絶望のスパイラル

 大阪万博を本当にこのまま開催するつもりか? 会場からはメタンガスが発生。爆発事故が発生したが、吉村洋文はそこに100万人の子供を呼び寄せようとしている。一方、岸田文雄はバイデンと会談。属国ぶりをあらわにした。誰のための万博であり、防衛なのか? 主体性なき日本の狂気が誰の目にも明らかになってきた。『日本人は豚になる 三島由紀夫の予言』(KKベストセラーズ)の著者適菜収氏の「だから何度も言ったのに」第62回。 


吉村洋文

 ■「いのち輝く」万博から「いのち失う」万博へ

 最近、昔のことをよく思い出す。インドはこの30年行っていないが、変わったかな。多分、変わっていないと思う。そう思わせるところが、インドのすごいところ。

                   *

 1994年頃の話。インド人は大言壮語することが多い。プーリーという町に、10歳くらいの子供が3人でやっているジュース屋があった。会議室にあるような長方形のテーブルが一つあるだけで、手でオレンジを絞るだけなのに、店名は「インターナショナル・オレンジジュース・センター」だと。

                   *

 カルカッタの町はずれを歩いていると、空き地に子供がまたがる車の遊具があった。別に動くわけでもない。近くにいたインド人に「あれはなにか?」と聞くと「万博だ」と言う。「万博ということは、今からここにパビリオンを作るのか?」と聞くと「いや、この乗り物だけだ」と言う。大阪万博もこのくらいの規模に縮小したほうがいい。

                   *

 メタンガス万博が、ネットでも炎上中。今度は、軟弱地盤のため、乗り物で展示を楽しむ「ライド型」のパビリオンがゼロになる可能性があるという。これまで「空飛ぶクルマ」と大法螺を吹いていた吉村洋文も、ついには「(クルマではなく)ドローンです」と認めるに至った。大言壮語にも程がある。

                    *

 参加国が独自に設計・建設する「タイプA」の海外パビリオンも減少を続け、工事業者すら決まっていない国も多い。入場券も売れていない。万博協会の販売目標は2300万枚だが、4月3日時点では目標の6%にも達していない。

                    *

 吉村は昨年8月、大阪府内の4歳から高校3年生まで、100万人あまりを万博に無料で招待すると表明。しかし、無料ほど怖いものはない。いつどこで命を落とすことになるのかわからないところに、子供を送り込むのは狂気の沙汰である。令和の学徒動員。大人の都合のために犠牲になるのはいつも若者である。

                     *

 大阪府教育庁は、府内の学校に対して、希望する来場日などを回答するよう求めたが、さすがに大阪教職員組合などが反発。安全性を確認できるまでは、万博の招待事業に参加するかを確認する意向調査を中止すべきだと主張した。当たり前。

                     *

 2020年、大阪で新型コロナによる感染者、死者が急増し、後手後手の対応が批判される中、吉村は会見で「先手の対応をすべきというのが僕自身の考え方」と発言。誰もが唖然としたが、万博で死人が出ても、平気な顔で「先手を打って対応したい」とか言うんだろうね。

                     *

 万博テーマの「いのち輝く」は「いのち失う」状態になっているし、万博コンセプトの「未来社会の実験場」は731部隊状態。万博の即時中止が求められる。


日本維新の会。左から馬場伸幸, 足立康史, 梅村みずほ

 ■維新の会、自民党という絶望

 ユーチューバーの女性が、日本維新の会の足立康史の発言で名誉を傷つけられたとして損害賠償などを求めた件で、東京地裁は足立に慰謝料など支払いを命じる判決を言い渡した。足立は2021年6月の国会質疑で、女性がユーチューブで発信した内容について「ひどいデマ」などと発言。この質疑の一部に、女性の顔が分かる写真などを加えた動画を自身のユーチューブチャンネルで配信していた。

                   *

 そもそも足立とはどのような人物なのか。2017年の選挙前には「今回小選挙区で落ちれば比例復活はなし。政界を引退することが決まっております!」と発言。「改めて約束する」「足立に二言なし」と繰り返したあげく、選挙区で落選し、比例復活してそのまま居座った。2018年には「立民は北朝鮮の工作員」とデマツイート。維新クオリティ。

                   *

 大村秀章・愛知県知事の解職請求(リコール)運動を巡る署名偽造事件で、地方自治法違反に問われた元日本維新の会衆議院愛知5区選挙区支部長の田中孝博に対し、名古屋地裁は懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。判決は田中が署名偽造を主導したと認定。維新クオリティ。

                   *


河野太郎

 河野太郎が、自民党所属国会議員に対し、「マイナ保険証」の利用ができない医療機関を国の窓口に連絡するよう、支援者に呼びかけることを要請する文書を出していた。ある意味不幸中の幸いだ。つい最近まで、政策の間違いを密告と圧力で乗り切ろうとする無能な男が、「次期総理」などと持て囃されていたのだから。マイナ保険証はいらないが、河野太郎はもっといらない。

                   *

 愛知県碧南市長選で元市議の小池友妃子が当選。統一教会と深い関係にある現職の市長を追放した。大阪府大東市長選では元市課長の逢坂伸子が当選し、維新の拡大を封じ込めた。少しずつでも、日本が正常化していくといいですね。

                     *


杉田水脈

 杉田水脈は、政治資金収支報告書を訂正する際、宛名が未記入の白紙領収書を添付していた。いずれも居酒屋、スナックなどでの「会合費」だったという。杉田個人の支払いを杉田の資金管理団体「なでしこの会」に付け替えた場合、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いが生じる。杉田はスナックでアニメソングをよく歌うというが、次の選挙で落選した後、スナックで働くための就職活動か。

                      *


岸田文雄

 岸田文雄がバイデンと会談。岸田は自衛隊と在日米軍の関係について「指揮統制枠組みを向上させ安全保障・防衛協力を強化する」「日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化が急務だ」「国際社会の平和と安定、繁栄を支え、国際秩序を維持・強化していく日米の決意を表明した」などと言っていたが、安倍のときからの既定路線で、アメリカの命令に従っているだけなのに、あたかも日本が主体的な選択をしているかのように振る舞う岸田が絶望的に気持ち悪い。

                        *

 岸田は、島根県安来市で開かれた「政治刷新車座対話」に出席し、裏金問題で「国民に大きな政治不信を招いた」と陳謝。参加者は「党員として恥ずかしい気持ちでいっぱいだ」と苦言を呈した。猿芝居。党員であること自体が恥ずかしいということに早く気づいたほうがいい。文:適菜収

 ■適菜 収 てきな おさむ
 1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 元稿:BEST TiMES 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・連載「適菜収 だから何度も言ったのに」】  2024年04月26日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・02.26】:嫌われた大阪万博 せめて大屋根リング木材を輪島朝市再建へ

2024-05-01 07:04:50 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【大谷昭宏のフラッシュアップ・02.26】:嫌われた大阪万博 せめて大屋根リング木材を輪島朝市再建へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・02.26】:嫌われた大阪万博 せめて大屋根リング木材を輪島朝市再建へ 

 大阪・関西万博について腰の定まらない在阪メディアだったが、やっと態度を明確にする社も現れた。2月半ばの毎日新聞は、ついに<能登と万博 保証なき両立>と書き、万博工事が能登復興の妨げになると危惧。<建設業界・政府「支障なし」を強調>としながらも、<延期論は強くなる可能性も>としている。

リングの内側に当たる位置から見た大屋根の建設現場。一部が通路ともなる屋根面(床面)へのCLT(直交集成板)の敷き込みも始まっている(写真:大林組)

 リングの内側に当たる位置から見た大屋根の建設現場。一部が通路ともなる屋根面(床面)へのCLT(直交集成板)の敷き込みも始まっている(写真:大林組)

2022年7月の公表時点における大屋根の完成予想図(資料:2025年日本国際博覧会協会)
2022年7月の公表時点における大屋根の完成予想図(資料:2025年日本国際博覧会協会)

 政治も動く。お膝元の兵庫県議会では維新の抵抗で「妨害にならないよう」と修正されたが、一時、自民会派から「能登復興の妨げになるなら万博延期やむなし」の意見書を国に提出する動きがあった。

 政や官だけではない。町でタクシーの運転手と話していると、とりわけ万博アンバサダーの芸人の口にするのもおぞましい性加害が報じられてからは、「万博」は完全にタブー。特に女性から嫌われているという。

 建設費2350億円。交通網など関連経費1兆円超をつぎ込んで、これほどまでに嫌われた国家的イベントが過去あっただろうか。

 そんななか、来年の万博開幕日まで1年となる4月13日は目の前だ。それまでに万博中止を決定すれば参加国に払う違約金は全部で350億円。だが開幕日まで1年を切ると、844億円にハネ上がる。とはいえ、中止も延期もままならない現状。

 だったらこれはどうか。先の毎日の記事には、輪島の朝市の焼け跡と万博会場で建築中の世界最大級木造建造物、大屋根リングの写真が添えられていた。350億円の巨費をつぎ込んで史上最大の“日傘”と揶揄(やゆ)されるリング。即刻建設を中止して木材すべてを朝市再建にあてたらどうだ。ささやかであっても、共感のさざ波が起きると思うのだが。

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2024年02月26日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2024年は世界の底が抜ける年になる予感】:⑥大阪・関西万博の延期「確率ほぼ100%」と識者断言! そして待ち受けるさらなる混乱

2024-05-01 07:04:40 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【2024年は世界の底が抜ける年になる予感】:⑥大阪・関西万博の延期「確率ほぼ100%」と識者断言! そして待ち受けるさらなる混乱

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2024年は世界の底が抜ける年になる予感】:⑥大阪・関西万博の延期「確率ほぼ100%」と識者断言! そして待ち受けるさらなる混乱

 いよいよ大きな決断を迫られそうだ。

 あと数カ月で開幕まで1年を切るのに、難問山積の大阪・関西万博。会場建設費と運営費は倍々ゲームで、会場までのインフラ整備費を含めると、関連費用は1兆円を突破する。

<picture><source srcset="https://c799eb2b0cad47596bf7b1e050e83426.cdnext.stream.ne.jp/img/article/000/334/172/ab8de1a904530fc0537071092c0fc17f20231228172536351_600_resize.webp 600w" type="image/webp" /><source srcset="https://c799eb2b0cad47596bf7b1e050e83426.cdnext.stream.ne.jp/img/article/000/334/172/ab8de1a904530fc0537071092c0fc17f20231228172536351_600_resize.jpg 600w" type="image/jpeg" /><source srcset="https://c799eb2b0cad47596bf7b1e050e83426.cdnext.stream.ne.jp/img/article/000/334/172/ab8de1a904530fc0537071092c0fc17f20231228172536351.jpg 1200w" type="image/jpeg" />責任者の皆さん(C)日刊ゲンダイ</picture>
責任者の皆さん(C)日刊ゲンダイ

 万博の華である海外パビリオン建設の遅れも絶望的。参加159の国と地域のうち、23年内に自前で建設するタイプの起工式にこぎつけたのはイタリアのみ。当初計画では24年7月中に建設を終える予定が、実現の見込みはゼロだ。英紙フィナンシャル・タイムズは〈欧州のある国は、日本最大手の建設会社から「希望通りのパビリオンをつくることはできるが、完成は万博が閉幕してから1カ月後になる」と告げられたらしい〉と報じていた。万博は無事に25年4月の開幕を迎えられるのか。

 「現行計画を抜本的に見直さない限り、延期の確率はほぼ100%」とは、建築エコノミストの森山高至氏だ。こう続けた。

 「会場の夢洲は大阪湾のゴミの島。想定を上回る地盤対策はまさに底なし沼で、現行計画の最大のネック。一部のパビリオンは基礎工事をあきらめ、デザイン変更を余儀なくされたようですが、全ての参加国にそれを押し付けるのは厳しい。国内コンペを勝ち抜いたデザイナーにすれば『何を今さら』で、調整は難航必至です。そもそも、夢洲を会場にしたのが大きな間違い。万博にかこつけ、カジノを含むIRのインフラ整備を進めたかったのでしょうが、ハナから無謀な計画でした」

 それでも大阪府の吉村知事は「国主催の事業」を強調し、責任逃れに終始している。

 「いっそ『国の事業』を逆手に取って、政府は大阪から万博を召し捕り、東京や横浜などの既存の緑地公園を活用し、分散開催にした方がいい」(森山高至氏)

 もともとは15年の暮れ、安倍元首相、菅前首相、大阪の橋下元市長、松井前市長の4人がおだを上げ、誘致を決めた“おちょこ万博”だ。延期となれば、さらなる混乱が待ち受けるが、亡くなった安倍以外はどう落とし前をつけるのか。責任者出てこい!

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックスニュース】  2024年01月02日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・05.01】:国スポ改革 開催の意義問い直そう

2024-05-01 07:01:55 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【社説・05.01】:国スポ改革 開催の意義問い直そう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・05.01】:国スポ改革 開催の意義問い直そう 

 都道府県の持ち回りで毎年開かれる国民スポーツ大会(国スポ=旧国民体育大会)の見直し論が高まっている。

 開催地の財政負担の重さを理由に、全国知事会の会長を務める宮城県の村井嘉浩知事が「廃止も一つの考え方」と問題提起したのが発端だ。

 2030年に開催を控える島根、33年の鳥取など全国の知事たちからも、改革を求める発言が相次ぐ。スポーツを取り巻く環境が変わり、国民の関心が薄れた側面もある。

 いったい誰のための、何のための大会なのか。2巡目の開催が終わる10年後に向け、開催の意義そのものから問い直す機会としたい。

 大会は日本スポーツ協会と文部科学省、開催地が共催する。1946年、敗戦に打ちひしがれた国民の健康や体力の向上、地方のスポーツ振興などを旗印に始まった。

 スポーツ施設や道路など各地の社会インフラ整備に果たした役割も大きい。1980年代に2巡目に入ったのも、こうした地域振興への期待からだ。2巡目を終えた広島、岡山、山口も例外ではない。

 ただ、自治体の財政が厳しさを増す中で、開催は重荷になってきた。250億円にも上る開催経費の約9割は開催地が担う。特に小規模県では負担への批判が根強い。

 「血の小便を出して何とかやれる」「松江市役所が二つぐらい建つ」―。島根の丸山達也知事が強い言葉で不満を表現したのは特筆される。

 選手強化の負担もある。2巡目以降の8割以上の大会で開催地が総合優勝したのは明らかに不自然だ。身の丈を超え、有力選手の獲得に奔走する慣例は改める時だろう。

 開催地は大会の10年ほど前に決まり、約5年前に準備が本格化する。34年に2巡目が終わる前に、大会の目的と意義を再設定したい。見いだせねば廃止もやむを得まい。

 二つの負担を減らして継続する一案は、インターハイのような地域ブロック開催への移行だ。例えば中国地方なら、5県の既存施設や人材を活用した運営が可能になる。

 約40の競技や種目にもスリム化の余地がある。秋は日程が立て込むため、国スポから脱退を望む競技団体もあるかもしれない。総合得点を競う意味も含め、各団体の本音を把握して改革に生かしたい。

 もちろんプラス面の検証も必須だ。選手や役員で約22千人、応援者を含めると延べ50万人規模が集う。費用対効果を高められれば、地域経済への大きな刺激となろう。

 陸上男子100メートルの日本記録保持者・山縣亮太選手のように、古里広島から出場し続ける選手もいる。選手の郷土愛に触れられるのは、都道府県対抗の国スポならではだ。

 住民のボランティア参加も特長の一つ。町を美化したり、運営を手伝ったりする経験はまちづくりの礎になっている。子どもたちが得る財産も数字だけでは測れない。

 開催地と、選手を派遣する側の双方が望む大会でなければ3巡目に入る意味はない。まだ時間はある。慣例や惰性と決別し、改革への議論を深めてほしい。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月01日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・05.01】:台湾と能登

2024-05-01 07:01:50 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【天風録・05.01】:台湾と能登

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・05.01】:台湾と能登

  豆乳に酢を入れ、ほろほろになったスープは朝一番の口に優しい。夜市では香辛料の利いた焼き肉まんを頬張った。台湾への旅行中、現地ガイドから13食全ての外食は茶飯事と聞いた

 ▲胃を満たし熟睡していた翌日夜明け前、横揺れで飛び起きた。台湾東部沖地震の余震は、100キロ以上離れた台北市の宿泊先にも及んだ。頭をよぎったのは4月初旬の本震の映像である

 ▲ビル損壊や崖崩れは怖いが、避難所は日本と違った。発生から1日もたたないうちにテントが整備され、日常の外食文化をほうふつとさせる温かい食事も。温水シャワーやクリーニングの衛生面だけではない。無料WiFiと、かゆいところにも手が届く

 ▲日頃から行政とボランティア団体が連絡を取り合うらしい。必要な物資や被災者のニーズに沿い、事前に役割分担する。過去の台風や地震の教訓を生かす仕組みだ。災害大国のこちらはと、ため息をつきたくもなった

 ▲きょう能登半島地震の発生から4カ月。行政が当初制限したボランティアは増えつつある。なりわいの再開や、復興まちづくりで東日本大震災や熊本地震の被災者が手を貸す。日本らしい助け合い文化を見せる番でありたい。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年05月01日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・04.30】:衆院3補選立民全勝 政治とカネ、解決できねば

2024-05-01 07:01:45 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説・04.30】:衆院3補選立民全勝 政治とカネ、解決できねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・04.30】:衆院3補選立民全勝 政治とカネ、解決できねば 

 おととい投開票された衆院3補欠選挙はいずれも立憲民主党が勝利を収めた。派閥の政治資金パーティー裏金事件という自民党への大逆風に乗じ、政権批判票を幅広く取り込んで圧勝した形だ。

 とりわけ自民党がこれまで一度も敗れていなかった島根1区で、元職の亀井亜紀子氏が自民党新人を下した意義は大きい。亀井氏が「保守王国といわれる島根県での今回の結果は、大きなメッセージとなって岸田政権に届く」と述べたのもうなずける。

 ただ、勝利は自民党の自滅によるものだ。3補選の結果を喜んだところで、与党が圧倒的多数を握る国政の現状が変わるわけではない。政治とカネの問題に後ろ向きな自民党をただすには、野党間の連携も必要になる。正念場はむしろこれからである。

 泉健太代表は、選挙結果を受け「自民が政治改革に本気で取り組まないなら、衆院解散すべきだ」と力を込めた。自民党に政治改革を迫り、今国会会期末での内閣不信任案提出をちらつかせてもいる。

 国民の注目が政治とカネの問題の解決に集まったのが、今回の結果という判断なのだろう。3補選とも投票終了と同時に当選確実が伝えられるという強烈な追い風を受け、意気が上がる泉代表の気持ちは分からないでもない。国会で今後、政治とカネの問題を厳しく追及してもらいたい。

 しかしながら、次期総選挙を見渡せば党の現状は心もとない。小選挙区で目標とする200人擁立も人選が進まず、裏金が指摘された自民党議員の選挙区も候補者が内定していないところが目立つ。

 泉代表はこれまで補選で勝利したことがなかった。単独で政権交代を目指すのは現実的でないと考えたのかもしれないが、党の活動方針が「自民党を超える第1党となる議席の確保を全力で追求する」という表現はいささか物足りない。与党に解散総選挙を求めるのならば、国民にもっと政権交代の選択肢を明確に示すべきだろう。

 自民、公明両党による連立政権は10年以上続いている。裏金事件に代表されるおごりや緩み、強引な国会運営を許してきたのは、足並みのそろわない野党の非力さにも原因があるはずだ。

 ところが、日本維新の会の馬場伸幸代表は「立憲民主党をたたきつぶす」という発言をした。国民民主党の玉木雄一郎代表も共闘には否定的な考えを示している。

 泉代表は「まず裏金一掃・政治改革救国内閣を目指す」とし、一致できる政策を絞って連立を組む「ミッション型内閣」を呼びかけている。どこまで野党が歩み寄って連携ができるか、立民の調整力が問われることになろう。

 低い投票率も気にかかる。与野党対決だった島根1区は54・62%、東京15区は40・70%、長崎3区は35・45%でいずれも過去最低だった。

 政治への不満が高まっている中、これだけ多くの有権者が投票しない現状は見過ごせない。次期総選挙に向けて、国民の投票意識を高めることにも取り組んでほしい。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月30日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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