路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【中山知子の取材備忘録・04.08】:人情も責任感もないトカゲの尻尾切り…裏金問題でにじんだ、岸田首相の足元で崩れる自民党の良識

2024-05-20 07:45:10 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【中山知子の取材備忘録・04.08】:人情も責任感もないトカゲの尻尾切り…裏金問題でにじんだ、岸田首相の足元で崩れる自民党の良識

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・04.08】:人情も責任感もないトカゲの尻尾切り…裏金問題でにじんだ、岸田首相の足元で崩れる自民党の良識 

 昨年から自民党内を混乱させている派閥政治資金パーティー裏金事件が4日、ひとつの通過点を迎えた。党が認定した関係議員39人への処分内容が党紀委員会で決まり、安倍派座長を務めた塩谷立・元文科相と、世耕弘成前参院幹事長が、党の処分で上から2番目に重い、離党勧告処分となった。

「離党勧告」処分を受け、事務所で取材に応じる塩谷立元文科相(2024年4月4日撮影)
「離党勧告」処分を受け、事務所で取材に応じる塩谷立元文科相(2024年4月4日撮影)

 真相解明が進まず、しかし、処分はしないと国民は納得しない(今回の処分が出てもだれも納得しないのだが)ということで、急がれた処分。裏金づくりがいつ、だれの支持で始まったかをだれも口にしない中で、衆議院と参議院でともにトップの立場にいた人に、いちばん重い処分をする「詰め腹」対応になったのも、「処分のための処分」を象徴する内容だ。

 そんな「処分ありき」が大前提となる中、昨年10月の参院代表質問で岸田首相の政治姿勢やリーダーシップなどに難癖をつける「身内批判」をしたのが世耕氏だったのは、記憶に新しい。公の場で顔に泥をぬられた形の首相は、これを根に持っていたのではないかと指摘する声は多いのだ。そんな冷えた関係を考えると、抵抗しても無駄だと世耕氏が早々と処分に応じたのは、自然の流れだったのかもしれない。

 一方で、塩谷氏は処分が出た後、死去した安倍晋三元首相の遺影に使われた写真が飾られた議員会館の自室で取材に応じた際、内容が不服として再審査請求を検討すると明らかにした。党側から処分内容の具体的な説明はなく、39人の処分内容が書かれた、メディアにも配布された「一覧表」がメールで一方的に送られてきただけだとも暴露。自身は派閥のトップだが、そもそも自民党トップの立場にいる岸田首相が処分をまぬがれたことへの疑問、「恨み節」のようなことも口にしていた。

 塩谷氏は2021年の自民党総裁選で、安倍派の議員ながら岸田首相を支持するほど、首相とは近い関係にあった。まだ安倍派が存在していた昨年秋にも、今年の総裁選では首相の再選を支持するのが基本路線と、明言していた。翌5日の記者会見では「まあ、何かひとこと(首相から)あるかなと思った。『自民党の窮状で、やむを得ず処分した』という言葉があれば、はい、分かりました、と言ったかもしれません」と、首相の政治家としての義理人情のなさを嘆く場面もあった。

 会社を揺るがす問題が起きた時、トップが責任をとるのは民間企業では当たり前だが、塩谷氏が就いていた「座長」は、派閥の会長のような実権のない「お飾り」ポストだったことは、周知の事実。それなのに「トップ」ということだけで処分されたことに不満があるのであれば、裏返せば責任感がないのに責任ある立場に就いていたことになり、これでは本末転倒だ。一方で、自民党関係者は「本当のトップが責任をとらない中で、塩谷氏は『トカゲの尻尾切り』になったことで、裏切られたという感情的な思いがあったのだろう」と指摘した。

 温厚で知られるベテラン塩谷氏が「晩節を汚す」(党関係者)とまでいわれる対応を取らざるを得なくなったことの背景に、岸田首相の存在があるのは間違いないが、岸田首相の心はすでに週明けからの米国訪問への準備に飛んでいるようだ。長い期間外務大臣を務め「外交の岸田」を自任する首相が、外交で点数を稼ぐことで事態打開をねらっているとする声はとても多く耳にするが、いつもの「外交、やってます感」の枠を超える結果を残せると見る向きは、「身内」の間でも少なかった。

 そこまで岸田首相への信頼感は、急速に消えていってしまっているのだ。

 真相がまったく解明されず、形だけの処分という形で幕引きされようとしている裏金問題。でも実際は、何にも解決していない。それにもかかわらず、自民党の責任者である岸田首相を筆頭に、全員逃げてしまっているような状態だ。

 「かつてはかろうじてあった自民党の『良識』は、もう崩壊してしまったんだ」。古き良き時代の自民党を知る人物の、あきらめの言葉だ。【中山知子】

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2024年04月08日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・03.31】:自民がすがる小池都知事が会見で繰り返した「ゲームチェンジ」衆院東京15区補選支援では前面に

2024-05-20 07:45:00 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【中山知子の取材備忘録・03.31】:自民がすがる小池都知事が会見で繰り返した「ゲームチェンジ」衆院東京15区補選支援では前面に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・03.31】:自民がすがる小池都知事が会見で繰り返した「ゲームチェンジ」衆院東京15区補選支援では前面に 

 裏金問題が影響して支持率上昇のきっかけがつかめない岸田政権。今後の大きな命運を握る1つが、4月28日投開票の衆院3補欠選挙だ。細田博之衆院議長の死去に伴う島根1区は、与野党ガチンコ対決の見通しだが、キックバック問題で辞職した谷川弥一氏の辞職に伴う長崎3区は、自民の「不戦敗」が指摘される。

東京都議会閉会後、取材に応じる東京都の小池百合子知事(2024年3月28日撮影)
東京都議会閉会後、取材に応じる東京都の小池百合子知事(2024年3月28日撮影)

 一方、昨年の東京都江東区長選をめぐる公選法違反事件で柿沢未途氏(自民党離党)が辞職したことに伴う東京15区(江東区)はこれまでに、保守系、野党系の候補予定者が乱立、激戦が予想される。当初、小池百合子東京都知事の出馬も「取りざた」されたが、小池氏は3月29日の定例会見で「取りざたしているのは、(メディアの)みなさんではないですか」と反論するように述べ、作家の乙武洋匡氏(47)に出馬を打診し、受諾を得たと明かした。15区補選への小池氏の出馬問題は収束したが、小池氏は乙武氏への選挙戦での「全面支援」も明言。候補者が乱立する中の負けられない戦いで前面に立ち、かかわることになりそうだ。

 江東区では、昨年の出直し区長選で東京都の元幹部職員、大久保朋果氏が自民、公明、国民民主各党と、小池氏が特別顧問を務める都民ファーストの会の推薦を得て初当選した。「ガチの小池氏系」といわれた大久保氏に自民党などが相乗りした構図だったが、実際に小池氏はこのところの東京の選挙で「自民党の駆け込み寺」のような存在になっている。

 昨年末に裏金問題が発覚する前から、物価高や少子化対策などで的確な政策を打ち出せない岸田政権は、国民の不信感から支持率が低下。次期衆院選での候補者調整をめぐる公明党との一時関係解消もあって、自民党は昨年9月以降、立川、青梅の2市長選と立川市議補選で3連敗した。そこで頼ったのが小池氏という形に。小池氏側近に相乗りした江東区長選に続き、今年1月、一時、自公が推薦した元都職員の劣勢も伝えられた萩生田光一前政調会長の地元、八王子市の市長選では終盤に小池氏が応援に入ったことで巻き返し、裏金事件が直撃する中、デッドヒートを制して自公推薦候補が辛勝。「小池知事にとっては自民党に大きな貸しになった」(与党関係者)との声も出たほどだ。 

 小池氏が2016年、最初に都知事選に出馬した際、自民党は対抗馬を擁立し、その後も両者はしばらく緊張関係が続いた。しかし今では「小池氏なしで自民党は東京の選挙を戦えない」(政界関係者)関係に。今回の東京15区補選でも、独自候補の擁立は難しい自民党。関係者によると、自民が小池氏系の乙武氏に「相乗り」することには、過去の女性問題報道も影響してか、一部では慎重な意見も出たというが、背に腹は代えられないのも事実。「今回も小池知事のペースに巻き込まれている」との声も聴いた。

 裏金問題で厳しい状態の自民党、ひいては岸田政権を、東京の選挙では間接的に小池氏が支えるような不思議な構造。その2人は3月30日、小池氏肝いりの「フォーミュラE」東京大会の会場で同席した。場所が東京15区補選がある江東区でもあり、違う側面からも関心が注がれた。その小池氏の今後について「都知事選3選出馬が既定路線」とする声がある一方、小池氏自身は何も語らず、これまでもご本人が否定しても消えない国政復帰への臆測は、なかなか消えない。

 その小池氏は3月30日の会見で「ゲームチェンジ」という言葉を3度、口にした。補選に擁立する乙武氏への評価の一環に加え、補選をめぐって自身の知名度や影響力に期待する声があると質問を受けた際も、「ゲームチェンジ」に言及した。裏金事件や派閥、国会のあり方などに対する改革の必要性に触れながら「(自民党は)与党の時と野党の時と言うことは違い、結局何も変わらないというのが、これまで続いてきたと思う。そういった仕組みを変える、まさにゲームチェンジが必要なのではないかと思う」と語った。

 ビジネス用語としての「ゲームチェンジ」は、従来とは違う視点や価値観をもとに、市場で変革を起こすことを指す。小池氏が政治を舞台に思い描く「ゲームチェンジ」とは、これからどんな形になっていくのだろうか。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2024年03月31日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:規正法の自民案 金権腐敗への反省欠く

2024-05-20 07:27:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説①】:規正法の自民案 金権腐敗への反省欠く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:規正法の自民案 金権腐敗への反省欠く

 自民党が派閥パーティーの裏金事件を受けた政治資金規正法改正案を衆院に単独で提出した。企業・団体献金禁止や政策活動費廃止などの抜本改革は含まれず、与党の公明党にも同調を拒まれた。
 
 岸田文雄首相は「政治とカネの抜本的解決策」と強調するが、自党に都合の良い政治資金を温存する意図は明らかだ。野党の賛同を得られるはずはなく、今週始まる衆院政治改革特別委員会での審議は難航確実だ。
 
 自民党案は企業・団体献金の取り扱いに触れず、裏金事件の舞台となった政治資金パーティーに関しても、パーティー券購入者の公開基準を現在の20万円超から10万円超に引き下げるにとどめた。
 
 自粛中のパーティーもほとぼりが冷めれば再開するということにほかならない。企業・団体のパーティー券購入を引き続き認め、公開基準未満のパーティー券収入を裏金にする「抜け道」は残る。
 
 政策活動費は50万円超を受け取った幹事長ら党幹部が使途を9項目に分けて党に報告すると定めたが、党幹部からどの議員に流れ、どう使ったのか、明細を明らかにしなければ透明化には程遠い。
 
 与党実務者協議に加わった自民党の鈴木馨祐衆院議員は企業・団体献金やパーティーを禁止する野党案に対し「自民党の力をそぎたいという政局的な話」と語った。
 
 企業や業界団体からの資金を権力の源泉にし続けるなら金権政治は改まらない。自民党は金権腐敗を反省していないのではないか。
 
 参院政治倫理審査会は17日、これまで弁明していない裏金議員29人に対して出席と説明を求めることを決め、衆院政倫審も同様に44人の審査を可決している。だが、対象者には「けじめはもう終わっている」(衛藤征士郎衆院議員)と出席に否定的な声が多い。
 
 世論との乖離(かいり)を自覚できないなら、自民党にはもはや厳しい再発防止策を示す能力も、実現する熱意もないと断じるほかない。
 
 このままでは首相が明言した今国会での抜本改革は実現しない。国会が機能しないなら、私たち主権者が選挙を通じて政治を改めるしかないことを再確認したい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月20日  07:27:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:国スポ見直し論 大会の意義見つめ直せ

2024-05-20 07:27:40 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【社説②】:国スポ見直し論 大会の意義見つめ直せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:国スポ見直し論 大会の意義見つめ直せ 

 各都道府県の持ち回りで開かれる国民スポーツ大会に対し、全国の知事から抜本的見直しを求める声が上がっている。開催自治体の重い財政負担が最大の要因だ。
 
 以前から「開催地の優勝至上主義」などの問題点も指摘されてきた。一方、特にマイナー競技にとっては貴重な「晴れ舞台」であり続けているのも確かだ。財政面の議論に終始せず、まずはスポーツ大会としての意義を見つめ直す視点こそ必要ではないか。
 
 大会は1946年に国民体育大会(国体)として始まり、日本スポーツ協会(JSPO)、文部科学省、開催地都道府県の共催。今年から名称が国民スポーツ大会に変わり、2035年から3巡目に入る予定だ。
 
 議論の口火を切ったのは全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事。行政のスリム化の一環として「廃止も一つの考え方」と言及し、各地の知事からも現行のままでの継続は困難との意見が出た。実際、約2万人が参加するスポーツの祭典の開催費は莫大(ばくだい)で、22年の栃木国体の総額は829億円に上る。
 
 かつて「国体」は地域の施設整備やスポーツ普及に寄与し、国民の注目度も高かった。だが、プロスポーツが隆盛し、競技ごとの全国大会も増えると関心は低下。さらに、開催地ばかりが総合優勝する不自然さが、大会の価値の低下に拍車をかけてきたといえる。
 
 開催地優勝は有力選手200人を体育教員で採用したという1964年の新潟国体から始まった。以来、他県選手を一時的に住まわせ地元代表とする手法は常態化。64年以降、開催地が優勝を逃したのは5度だけで、過去には地元有利な判定が疑われた例もある。
 
 いくら選手が誠実に試合に臨んでも、出来レースのような仕掛けがあってはスポーツ大会としての魅力が損なわれて当然だろう。
 
 東日本大震災後、2016年の岩手国体は開催が危ぶまれたが、県は復興への希望と感謝を伝えたいと実施。復興優先のため総合8位を目標としたが、地元の声援を受けた選手の健闘で総合2位となった。本来の「国体らしい」姿だったと言えるのではないか。
 
 今後、JSPOや全国知事会は国スポのあり方を協議する。今も大会を目指す選手が多いことにも留意し、質実で、かつ、都道府県代表が真摯(しんし)に競い合える大会の方向性を見いだしてほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月20日  07:27:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗・05.20】:『前略おふくろ様』などの脚本家、倉本聰さんは北海道の富良野…

2024-05-20 07:27:30 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【筆洗・05.20】:『前略おふくろ様』などの脚本家、倉本聰さんは北海道の富良野…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・05.20】:『前略おふくろ様』などの脚本家、倉本聰さんは北海道の富良野…

 『前略おふくろ様』などの脚本家、倉本聰さんは北海道の富良野に移り住んで間もないころ「廃屋」をよく訪ね歩いていたそうだ

 ▼捨てられた家を見つけては中におじゃまする。その昔は居間だった場所に座り込む。散乱した室内に放り出されたランドセルや少女雑誌…。寂しい光景にかつて住んだ家族がこの地にやってきたときの夢や家を出るしかなかった事情を想像する。廃屋は「哀(かな)しい博物館」だという。廃屋に着想を得て書いたのが『北の国から』という

 ▼以前は笑い声があふれた家だが、今は誰もいない。そんな「哀しい博物館」の建設ラッシュが日本中で起きているのか。空き家問題である

 ▼総務省の住宅・土地統計調査(速報値)によると全国の空き家数は900万戸と過去最多。住宅総数に占める割合は13・8%で、約7戸に1戸は空き家ということになる

 ▼ひとり暮らしの高齢者が亡くなり、そのまま空き家になるケースが相次いでいる。相続する人がいない、相続して売りに出したものの買い手がつかない、解体費が払えない-。少子高齢化の進んだ社会では空き家の増える理由はいくらでもあるのだろう

 ▼2035年には3戸に1戸が空き家になるとの推計もある。空き家は都会でも増えている。政府の対策も効き目が見えない。「哀しい博物館」を再び、誰かの「楽しいわが家」に戻す有力な手はないものか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年05月20日  07:07:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説①】:選挙妨害で逮捕 過度な規制招かぬよう

2024-05-20 07:25:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【社説①】:選挙妨害で逮捕 過度な規制招かぬよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:選挙妨害で逮捕 過度な規制招かぬよう

 4月に行われた衆院東京15区の補欠選挙で他候補の演説を妨害したとして、警視庁は公選法違反(自由妨害)の疑いで、政治団体「つばさの党」の代表黒川敦彦容疑者ら3人を逮捕した。

 選挙の公正さを損なう行為が許されないのは当然だ。同時に「表現の自由」に対する過度な規制を招かぬよう、注意も要する。
 同党は他候補の街頭演説の場に乗り込んで、大音量で発言を重ねた。拡声器を使用して長時間に及んだほか、選挙カーを車で追い回す事例もあった。
 聴衆が演説を聞き取れなかったり、演説が中止に追い込まれたりして有権者の知る権利が損なわれた。選挙への影響は重大だ。
 個人が発する肉声のやじとは全く異なる。組織的で悪質性が高く到底、容認できない。
 同党は自らの行為を「表現の自由」の範囲内だと正当化する。
 しかし、表現の自由は憲法が保障する重要な権利でも、最高裁が「公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認する」と判示するように、どんな行為でも許されるわけではない。ヘイトスピーチが条例で禁じられるのが一例だ。
 表現の自由が、他人の自由や人権の侵害までは許容していないことを確認する必要があろう。
 選挙妨害容疑で、政治団体の幹部や元候補者本人が逮捕されるのは異例だ。言論弾圧とのそしりを招かぬよう、警視庁には厳正かつ慎重な捜査が求められる。
 選挙は民主主義の根幹だ。違法行為も辞さない傍若無人な手法が横行すれば、選挙や政治に対する有権者の信頼が失われかねない。
 同党は警告後も一連の行為を交流サイト(SNS)などで配信しており、ネットでの配信が妨害行為を過熱させたことは否定できまい。サイト運営業者には、こうした配信が妥当か、自主規制の在り方を再考するよう求めたい。
 一部の政党からは、妨害行為の明確化や罰則強化など、公選法の改正論が出ている。法制度をネット時代に即して見直すことは必要だとしても、過度に規制して言論の自由を侵してはならない。
 政党や候補者が望ましいかどうかは、選挙結果で示すしかない。ライバルの中傷ではなく、正々堂々と言論で戦っているか、国や地域の目指すべき進路と課題解決の方策を示しているか。それを見極めることこそ有権者の役割だ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月18日  07:12:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗・05.19】:古代ローマの都市ポンペイはベズビオ火山の噴火によって、一夜…

2024-05-20 07:25:40 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【筆洗・05.19】:古代ローマの都市ポンペイはベズビオ火山の噴火によって、一夜…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・05.19】:古代ローマの都市ポンペイはベズビオ火山の噴火によって、一夜…

 古代ローマの都市ポンペイはベズビオ火山の噴火によって、一夜にして壊滅した。<赤い火をふく あの山へ 登ろう 登ろう>-。イタリア歌謡の「フニクリ・フニクラ」(1880年)はこの火山の登山鉄道のCMソングである

 ▼大ヒットし、勘違いする人も。ドイツの作曲家リヒャルト・シュトラウスはこれをイタリア伝統の民謡と思い込み、自分の曲の中に取り入れてしまった。それほど地元に溶け込んだCM曲なのだろう

 ▼<とれとれぴちぴち かに料理><あーらよ、出前一丁>。この人のCM曲だって負けていまい。作曲家のキダ・タローさんが亡くなった。93歳。何も知らない異国の方が聞けば大阪あたりの民謡と勘違いされる…ことはないかもしれないが、時代を超えて広く浸透し、愛されたのは確かである

 ▼覚えやすく、高度成長期にマッチした朗らかな曲調。当時の子どもはよく歌った。商品名を曲に乗せるのが巧みで名を売りたいスポンサーには頼りになる人だったはずだ

 ▼<アリマヒョウエノコウヨウカクヘ>。昔、兵庫出身の友人がよく口にしていた。聞き慣れぬ文句に民謡か何かかと尋ねて恥をかいた。関西では有名な老舗旅館のCM曲である

 ▼漢字だと「有馬兵衛の向陽閣へ」。わずか3秒少々の曲に場所と旅館名と誘い文句の「へ」まで入っている。これも「浪花のモーツァルト」の名人芸である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年05月19日  06:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【与党・自公】:積年の悪政、成れの果て「決裂」ではなく「共倒れ」

2024-05-20 07:24:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【与党・自公】:積年の悪政、成れの果て「決裂」ではなく「共倒れ」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【与党・自公】:積年の悪政、成れの果て「決裂」ではなく「共倒れ」

 自民党の派閥パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法の改正をめぐり、合意文書を交わしたはずの自公が具体的な法案の中身で決裂。

<picture>一蓮托生(岸田首相と公明党の山口代表)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

 自民は17日、単独で衆院に改正案を提出した。野党は、立憲民主党と国民民主党、衆院会派「有志の会」が改正案を来週20日に共同提出する方針。日本維新の会も来週前半に独自の改正案を出す。22日の衆院政治改革特別委員会で、各党案が審議入りとなる方向だ。

 「政治とカネの問題に対する抜本的解決策。実効性のある再発防止策だ」

 岸田首相は、17日の参院本会議で自民案についてこうヌカしていたが、一体、どうやったら抜本的に解決するというのか。

 自民案は“なんちゃって改革”の噴飯モノだ。議員本人が責任逃れできるいわゆる連座制。裏金づくりの温床となったパーティー券は、購入者の公開基準を現行の20万円超から「10万円超」へとわずかに引き下げただけ。政党から議員個人に支給される“掴み金”の政策活動費も、使途公開は1件当たり「50万円超」と条件をつけたうえ、「組織活動費」「選挙関係費」など項目を報告するだけの曖昧さ。裏金を温存したい意図がアリアリで、与党とはいえ公明がソッポを向くのは当然である。

 岸田自民は来月23日の国会会期末までの改正法成立を目指しているが、自民は参院では単独で過半数に達しておらず、先行き不透明だ。

◆自民案を蹴ったのは衆院選対策

 とはいえ、公明がいつまでも自民と反目するのかどうか。公明はパー券の公開基準で「5万円超」を譲らず、「10万円超」の自民と決裂した。だが、政治資金パーティーなどほとんどやらず、パー券収入に頼っていない公明が、なぜ「パーティー禁止」の抜本改革に踏み込まないのか。自民に配慮したのは明らかで、「5万円超」という修正の落としどころを自民のために用意してあげた、ということではないのか。

 つまり、自民案がヒドすぎるのは間違いないが、公明だって乗らないふりの目眩ましだ。その証拠に、山口那津男代表は一昨日の党会合で「法改正が成し遂げられるよう自民、公明が力を合わせ、推進していきたい」と発言している。なんだ、やっぱり協力するわけだ。

 公明が自民案を蹴った理由と目的はハッキリしている。早ければ今夏にあるかもしれない衆院選対策だ。政治改革に本気なワケじゃない。

 公明は衆院の選挙区で現状、9議席を保有している。うち4つが大阪、2つが兵庫だ。「常勝関西」と言われてきたが、前回までは維新との選挙協力ですみ分けしたから6議席を確保できたまでで、次回は選挙協力がなく、全面対決する。

 税金無駄遣いの大阪・関西万博への批判などで全国的には評判ガタ落ちの維新ながら、大阪や兵庫では依然、強く、公明は関西全敗もあり得る状況。公明は全体でも選挙区擁立を11に増やし、必勝体制を敷くが、「勝てても1つか2つ。全滅してもおかしくない」というのが選挙のプロの見方だ。比例単独から埼玉14区に移った石井啓一幹事長も当落線上だとされる。

 政治評論家の野上忠興氏がこう言う。

 「公明党にとって結党以来の最大の危機です。『どこまでも ついて行きます 下駄の雪』でやってきたが、今回ばかりは自民党の道連れはゴメンということでしょう。支持母体の創価学会は高齢化が進んでいるうえ、池田大作名誉会長が昨年、死去した。組織の衰退と比例するように公明票がガタ減りし、比例は過去最悪だった2022年参院選の618万票が、次は600万票割れどころか、500万票を切るのではとも言われています。明確な自民党離れを支持者に見せないとマズい、と相当焦っている。ただ一方で、自公は『選挙区は自民、比例は公明』の掛け声で長年“選挙互助会”を続けてきた。規正法改正をめぐる亀裂も、お互いに離れられない関係だというお家事情を分かったうえでの茶番に見えます」

 ◆戦争国家と安いニッポンを招いた因果応報


国民の総意(C)日刊ゲンダイ

 焦る公明、自業自得だ。「平和の党」を掲げながら、国民生活そっちのけの強権・腐敗政党に、ただただついていく下駄の雪に成り下がった。

 安倍元首相が第2次政権で、集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲と安保法制に突き進んだ際は、創価学会員のモーレツな反対や署名運動まで行われたのに、結局、戦争国家への道に加担した。

 失敗したアベノミクスが招いた安いニッポンもそうだ。ガッポリ献金をもらって大企業優先の政治に邁進する自民と、一蓮托生で庶民生活を苦しめてきた。裏金自民だけでなく、公明に厳しい目が向けられるのも当然の因果応報である。

 慶大名誉教授(憲法学)の小林節氏が言う。

 「1990年代の細川連立政権時に小選挙区比例代表並立制という今の選挙制度ができました。当時、私は参考人として国会でこの新しい選挙制度に賛成しましたが、それは『政権交代によって権力の腐敗を掃除できる』ということだったからです。公明党は当時、連立側にいて、自民党と敵対していた。それがいつのまにか自民と結託し、全国の各小選挙区に1万~2万票あるという公明票によって、自民党を絶対的権力に増長させ、政権交代があり得ない状態にしてしまいました。いまや公明は自民のいち派閥。権力のうまみを覚えさせられ、戦争法では『ダメよダメよ』と言いながら、ちゃっかり自民に手を貸した。今回も出来レースでしょう。気づけば日本は貧乏な国になってしまいました。国民は大きな苦労を背負わされ、さすがに怒っている」

 ◆次の選挙は自公過半数割れ

 国民の怒りは、各種世論調査で政権交代を望む声が増えていることに象徴されている。自公も自らが崖っぷちに立たされつつあることを分かっているだろう。規正法改正をめぐる自公のゴタゴタは、権力からの転落危機に右往左往する様であり、醜悪としか言いようがない。

 自民はここへきて、維新を取り込もうと、旧文通費(調査研究広報滞在費)の使途公開で秋波を送る。ずっと公開に反対し、放置してきたのに、やることが分かりやす過ぎる。規正法改正の自民案については、自民党内の了承手続きギリギリになって「小手先の改革ではダメ」だとか、「問題を起こした自民がとがった案を示すべき」などの声が上がったというが、何を今ごろ、というマンガだ。

 そして、そんな自民に距離を取ろうとする公明も、何を今さら、である。長年やりたい放題をしてきた権力亡者の両党は「同じ穴のムジナ」。国民はお見通しだ。積年の悪政の成れの果て。自公は「決裂」ではなく、「共倒れ」がふさわしい。

 前出の野上忠興氏が、5月6日付の本紙で今国会会期末の衆院解散・総選挙となった場合の議席予想をしているが、自公で81減の207議席、過半数(233議席)を割り込むという結果だった。

「控えめに分析しても、過半数割れです。自公はもっと減らす可能性もあり、81議席減どころか最悪、3ケタ減だってあり得ます。国民に物価高や負担増を押しつけ、自分たちだけヌクヌクなんて、世論は許しませんよ」(野上忠興氏)

 今回ばかりは、国民は冷ややかだ。20年超にわたった自公連立政権の終わりが見えてきた。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・政局・自民党の派閥パーティー裏金事件・政治資金規正法の改正をめぐり、合意文書を交わしたはずの自公が具体的な法案の中身で決裂】  2024年05月18日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:春闘の賃上げ 非正規を置き去りとは

2024-05-20 07:23:50 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【社説①】:春闘の賃上げ 非正規を置き去りとは

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:春闘の賃上げ 非正規を置き去りとは 

 今年の春闘では、働き手の4割弱を占める非正規労働者の賃上げ回答が低調だった。大企業を中心とする大幅賃上げの波が、労働組合への参加率が低い非正規労働者には及ばず、無防備のまま物価高にさらされている形だ。
 国や経済界は、賃上げから取り残された非正規労働者を置き去りにせず、支援する必要がある。
 非正規支援に取り組む「非正規春闘実行委員会」によると、同委が賃上げ要求した107社のうち半数に近い48社が賃上げに応じない「ゼロ回答」だったという。5月上旬に実施したアンケート(251人回答)にも7割以上が「賃上げがなかった」と答えた。
 非正規雇用で働く人は約2100万人に上り、労働者全体の37%を占める。厚生労働省の2022年調査によると、非正規の月給は正社員・正職員の7割程度にとどまる。
 もともと給与水準が抑えられている上に、賃上げの波からも取り残された非正規労働者の暮らしが深刻な状況に追い込まれていることは想像に難くない。働き手が1人の非正規世帯などでは、子どもの教育費や食費さえ削らざるを得ない例も多いのではないか。
 政府は近年、非正規労働者の就労訓練を後押しするリスキリング(学び直し)事業に力を入れ、非正規労働者の正規雇用への転換を図ろうとしている。
 ただ、リスキリングの効果が出るには時間がかかる。足元の物価高に苦しむ非正規世帯の家計支援には不十分だ。
 政府は、正規雇用への転換に前向きな企業への助成金を拡充したり、優遇税制を導入したりするなどの支援策を検討すべきだ。
 春闘は昨年以降、経団連や経済同友会、中小企業を束ねる日本商工会議所がそろって賃上げを呼びかけ、一定の効果を上げた。経済団体は今後、非正規の賃上げの必要性も訴えてほしい。
 経済を支えている非正規労働者が長く雇用の調整弁として扱われてきた。しかし、こうした非正規を軽視する雇用の在り方がもはや許されないことも、社会全体で共有したい。  

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月17日  08:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:頼政権と中国 火種としない知恵絞れ

2024-05-20 07:23:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説②】:頼政権と中国 火種としない知恵絞れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:頼政権と中国 火種としない知恵絞れ

 台湾で与党・民進党の頼清徳(らいせいとく)氏が総統として率いる新政権が20日にスタートする。1月の総統選で中国は頼氏を台湾独立派と敵視して「戦争か平和の選択」になると主張。軍事演習も行って「圧力」をかけたが、中国が当選を望んだ野党・国民党候補などを破り、頼氏が当選した。

 1996年に総統直接選挙が実現して以降、同一政党が初めて3期連続で政権を担うことになる。その民意は、統一も独立も求めない蔡英文(さいえいぶん)政権の「現状維持」の継続による東アジアの平和・安定にあるといえる。中台双方が台湾海峡を地域の火種とせぬよう知恵を絞ることが肝要だ。
 船出する頼政権の不安要因の一つが頼総統の「独立志向」だ。行政院長(首相)時代に立法院(国会)での答弁で「私は台湾独立のための堅実な仕事人」と発言し、物議をかもしたが、総統候補になってからは独立色を抑え、蔡路線の継承を訴えてきた。
 頼氏は政権発足に先立って4月に記者会見を開き、蔡政権で行政院秘書長を務めた卓栄泰(たくえいたい)氏を新内閣の行政院長に任命すると発表した。蔡路線の継承を示唆する人事は、各種世論調査で「現状維持」支持が約7割を占める台湾の人たちに安心感を与えたといえる。
 一方、中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席は中台統一を歴史の必然とし「武力行使の放棄は決して約束しない」と強調している。だが、軍事的威圧を強めれば、安定を求める台湾の民意を中国から離反させることは総統選結果からも明らかだ。
 中台双方に何よりも求めたいのは、2016年の蔡政権の発足時から中国が拒否している政治レベルの対話再開への努力である。
 日米など民主主義の価値を共有する関係国も、台湾との結束を強め、中台の政治対話再開の動きを後押ししたい。日本は台湾との正式な外交関係はないが、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出など経済的な結びつきは深い。
 頼政権には直面する台湾東部沖地震の対策のほか、賃金格差や住宅価格高騰など内政の課題も山積している。悩ましいのは、立法委員選挙で民進党51対国民党52で敗れ、国民党に議長ポストを握られた「ねじれ議会」となることだ。
 頼氏は台南市長時代から野党との対決も辞さない姿勢で知られてきたが、野党との調整を含め柔軟な議会運営に努める必要がある。
 
 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月17日  08:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【筆洗・05.18】:中山道大湫(おおくて)宿は江戸日本橋から数えて47番目の宿…

2024-05-20 07:23:30 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【筆洗・05.18】:中山道大湫(おおくて)宿は江戸日本橋から数えて47番目の宿…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・05.18】:中山道大湫(おおくて)宿は江戸日本橋から数えて47番目の宿…

 中山道大湫(おおくて)宿は江戸日本橋から数えて47番目の宿。現在の岐阜県瑞浪市大湫町に当時の面影が残る

 ▼旧宿場で語り継がれる出来事は1861年、徳川14代将軍家茂に嫁ぐ皇女和宮らの宿泊である。京からの一行は約5千人。宿場に招集された人馬は2万8千人と820頭に上った。4日間にわたって大湫宿に泊まったという比類なき大行列である

 ▼53年のペリー来航以来、世は騒がしくなった。外敵と向きあうため朝廷と幕府が団結しようと、別に婚約者がいた和宮を将軍家に嫁がせることに。国策たる結婚である

 ▼現代の国策たるリニア中央新幹線が地下を通過する予定の旧大湫宿で、井戸やため池の水位低下が相次いでいる。昔、旅人も飲んだ古い井戸も枯れたと聞く。リニア建設工事の影響らしい

写真・図版
 地元の人が枯れたことがないという「天王様の井戸」の底にも亀裂が入っていた=2024年5月6日、岐阜県瑞浪市大湫町

 ▼JR東海は代替水源となる深い井戸を掘り、トンネル掘削を一定程度進めてから工事を中断して詳しい原因を調べるというが、水位低下が見つかったのは2月。最近になって問題が報じられてから、バタバタと対策が示されたようにも映り「対応が遅い」といった声が地元で聞こえる。喫緊の課題は不信解消か

 ▼国難を前に、江戸で生きる決意をした和宮の歌は知られる。「惜しまじな君と民とのためならば 身は武蔵野の露と消ゆとも」。民らのため惜しむものなどない-。古今を問わず民の心を捉えるのは、そんな態度だろう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年05月18日  07:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ぎろんの森・05.18】:権力に厳しく、人に優しく

2024-05-20 07:23:20 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【ぎろんの森・05.18】:権力に厳しく、人に優しく

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ぎろんの森・05.18】:権力に厳しく、人に優しく

 東京新聞が16日に掲載した社説「報道の自由度 権力監視の決意新たに」に対し、読者から激励の声をいただきました。うれしい限りです。

 
 社説の内容は、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が発表した2024年の報道自由度ランキング=地図は自由度の一覧=で、日本が180カ国・地域中の70位になったことを受け「報道の自由度の順位が低いことは謙虚に受け止めつつ、報道・言論機関として権力監視の役割を誠実に果たし、権力の圧力には屈しないとの決意を新たにしたい」というものです。
 
 これに対し、読者から「全くその通り。今後も歴史の検証に堪える記事を期待する」「日本でも報道の自由が脅かされている。報道の自由を守るためにしっかり主張しているので応援したい」との意見や要望をいただきました。
 
 報道の自由度は旧民主党政権当時の10年、11位に上昇した後、下落していますが、私たちは順位にかかわらず、報道の自由が失われていると感じたことはありません。
 
 権力側の動きは常に監視、警戒する必要があるものの、本紙の論説委員は欧米メディアが問題視する記者クラブに頼っていませんし、報道への圧力が強まったとされる第2次安倍晋三政権以降も自由に主張してきたからです。
 むしろ旧民主党政権は発足当初、次官らの記者会見を禁止するなど政府の情報発信を統制しましたので、報道の自由度が11位と高かったことに違和感を覚えます。
 
 読者からは「新聞は世論を代弁して、しっかり発言してほしい。政府や米国だけでなく、野党や中国、ロシアに対しても堂々と意見を言ってほしい」との声も届きます。
 
 私たちは社説を書くに当たり「権力に厳しく、人に優しく」という心構えで臨んでいます。日ごろの自民党政権に対する厳しい論調は、たとえ政権が代わろうが、相手が外国政府であろうが、変わることはありません。 (と)
 
 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【ぎろんの森】  2024年05月18日  07:12:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説①】:同性パートナー 権利擁護の流れ加速を

2024-05-20 07:21:50 | 【LGBTQ+=ジェンダー・アイデンティティ、レズ、ゲイ、バイセクシャル、

【社説①】:同性パートナー 権利擁護の流れ加速を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:同性パートナー 権利擁護の流れ加速を 

 同性パートナーと同居する男性が、相手と同じ名字への変更を求めていた審判で、名古屋家裁は変更を認める決定をし、確定した。国民意識の変化などが底流にあり同性婚など性的少数者(LGBTQ)の権利を擁護する司法判断が相次ぐ。国はこの流れに沿い、早期に法整備へと踏み出せないか。
 代理人弁護士によると男性は2017年、パートナーと公正証書による「結婚契約」や相互の任意後見契約を結び、翌年から同居。23年からは里子も養育している。
 男性は普段、パートナーと同じ名字を使っていたが、クレジットカード名義(戸籍上の氏名)と姓が異なる説明を求められ、意に沿わずカミングアウトするリスクがあった。一方、パートナーは性的指向や男性との同居を周囲に打ち明けておらず、里子との関係を詮索される危険性もあったという。
 家裁は2人の関係について「異性同士の夫婦と実質的に変わらず婚姻に準じる関係」と認めた。性的指向を意に沿わずカミングアウトせねばならない状況は「社会生活上の著しい支障」と男性らを擁護し、名字の変更は、戸籍法107条1項の「やむを得ない事由」に当たると結論づけた。
 共同通信の世論調査で同性婚を「認める方が良い」との回答は年々上がり、今年は73%に達した。また、同性カップルを法的に認める「パートナーシップ制度」を持つ自治体は400を超えた。
 家裁の決定もその流れに沿い、「国民意識が肯定的に捉える方向に変化しつつあり、異性カップルと同様の法的保護は一定程度、許容されるべきだ」と指摘した。
 同性婚を認めていない現行法が憲法違反かどうかが争われている訴訟でも札幌高裁や名古屋地裁で「違憲」、東京地裁などでも「違憲状態」の判決が出ている。動きの鈍い政府や国会に対し、司法判断が現行の法体制の見直しを迫っているといえよう。
 もっとも今回の申し立ては「夫婦同姓」の枠組みの中、同姓でないと夫婦と見なされない現実が背景にあるのも確かだ。しかし、法務省の世論調査では「選択的夫婦別姓」や「旧姓使用の法的位置付け」への支持が多数で、「夫婦同姓の維持」を支持する人は3割弱にとどまる。婚姻や婚姻後の姓のあり方で、人々の意識が旧習へのこだわりを見直す方向へと傾いていることを政治は直視すべきだ。
 
 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月16日  07:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説②】:報道の自由度 権力監視の決意新たに

2024-05-20 07:21:40 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・NHKの功罪・マスコミ・雑誌・著作権】

【社説②】:報道の自由度 権力監視の決意新たに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:報道の自由度 権力監視の決意新たに 

 2024年の報道自由度ランキングで、日本は昨年から二つ順位を下げ、180カ国・地域中の70位となった。先進7カ国では最下位。欧州の価値観が反映された、一つの指標に過ぎないとの見方はできるが、日本のメディアと権力に対する海外の視線が厳しいことだけは自覚せねばなるまい。
 順位はパリに本部がある国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が02年から発表。メディア関係者や弁護士、学者らへの調査を基に、報道機関の活動のほか政府の報道規制を「法的指標」として順位付けている。
 日本は民主党政権時代の10年に11位まで上昇したが、東京電力福島第1原発事故に関する情報が透明性に欠けるなどとして13年には53位に下がった。
 日本が今回、順位を下げた理由の一つは本格運用が始まった「土地利用規制法」。対象となる防衛施設や原発周辺へのジャーナリストを含む立ち入り制限と罰則規定は「反基地や反原発の市民運動を萎縮させる」との指摘もある。
 日本の順位の長期低迷は「法的指標」が改善されないためだ。
 12年に政権復帰した安倍晋三首相の下、特定秘密保護法や「共謀罪」法が成立した。今国会では機密情報の保護を経済安保分野に広げる法律も成立した。いずれも報道機関による公的情報へのアクセスを制限する恐れがある内容だ。
 政府は「取材・報道の自由には十分な配慮がなされ、国民の知る権利は損なわれない」と繰り返すが、安倍政権では報道機関への圧力も問題視された。
 国境なき記者団は、日本は民主主義国で、報道の自由は尊重されているとしつつ「政治的圧力や男女の不平等により、ジャーナリストが監視機能を十分に果たせないことが多い」とも警告。
 日本の記者クラブ制度が「自己検閲」を促し、外国人ジャーナリストらへの差別につながるとの分析も一貫している。
 報道の自由度の順位が低いことは謙虚に受け止めつつ、報道・言論機関として権力監視の役割を誠実に果たし、権力の圧力には屈しないとの決意を新たにしたい。
 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月16日  07:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【筆洗・05.17】:日本人を「米食民族」と呼ぶことがあるが、むしろ「米食悲願民…

2024-05-20 07:21:30 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【筆洗・05.17】:日本人を「米食民族」と呼ぶことがあるが、むしろ「米食悲願民…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・05.17】:日本人を「米食民族」と呼ぶことがあるが、むしろ「米食悲願民…

 日本人を「米食民族」と呼ぶことがあるが、むしろ「米食悲願民族」と呼ぶのが正しい。稲作文化に詳しい渡部(わたべ)忠世さんが著書で語っていた。長い歴史で皆が常に米を食べられる時代は最近に限られる。民は長く、もっと食べたいと渇望してきたという

 ▼なるほど米は年貢であり、武士への給料であり、権力の基盤であったが、農家でも白米は特別な日のごちそうだったと聞く。一回でも多く食べたいと願う私たちの祖先は可能な限り田を開いた。山の斜面の棚田は、日本人の米への執着の象徴らしい

 ▼奥能登・輪島の日本海沿いの棚田「白米千枚田(しろよねせんまいだ)」で田植えが始まった。地震で亀裂が入るなどしたが、1004枚のうち被災を免れたり修復したりした約120枚で植える

日本海を背に白米千枚田で田植えをする田のオーナーや白米千枚田愛耕会のメンバー=石川県輪島市で2024年5月11日午前11時32分、阿部弘賢撮影 © 毎日新聞 提供

 ▼作業をする地元有志団体の代表は田植え開始の式でマイクを握ると、途中で言葉を詰まらせた。寛永期に用水が開かれたという千枚田。今年も何とか伝統をつなぎ、思いがこみ上げたか

 ▼千枚田に限らず奥能登の田の被害は大きいが、今年は無理でも来年はと修復に励む農家がいる。米への執着が絶えぬ人の存在に希望を見出(みいだ)したくなる

 ▼渡部さんの本によると昔、海を望む佐渡の棚田を守る老人は「田植えの日は酒や餅などを供え、田を開いた知る限りの先祖の名を空と海に向かって叫ぶ」と語ったという。奥能登のご先祖様たちも見てくれているだろうか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年05月17日  07:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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