【社説①・12.22】:道東道釧路延伸 幅広い活用策に知恵を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.22】:道東道釧路延伸 幅広い活用策に知恵を
道東自動車道の阿寒インターチェンジ(IC)―釧路西IC間(17キロ、釧路市)がきょう開通する。釧路の市街地と札幌が高速道路で直接結ばれる。全線未整備時と比べ、所要時間は夏季で計2時間24分短縮される。
先行して開通している釧路西IC―釧路別保IC(釧路管内釧路町)にもつながり、根室方面とのアクセスも改善する。
物流や災害対策への効果が期待される。地元が力を入れている「ひがし北海道」の広域観光にも追い風となろう。高速道路をどう活用し、経済の底上げや安心できる暮らしにつなげていくか、知恵を絞ってほしい。
延伸により、苫小牧港や小樽港経由で首都圏などに出荷する釧路・根室の水産物などの輸送効率化が見込まれている。
トラック運転手の労働時間規制強化で物流が滞る「2024年問題」の緩和や、釧路港の振興にも生かすことが肝要だ。
釧路西IC近くには、太平洋沿岸で想定される巨大地震などの大規模災害に備えた専用の活動拠点が設けられた。
道央や釧路空港から駆けつける自衛隊や行政機関などの指揮・宿営拠点となるほか、道路の補修やがれきの撤去に使う物資や機材の集積地となる。
海沿いから離れている道東道は、大規模災害発生時には重要な役割を担う。住民の避難にも有効に活用してもらいたい。
千歳恵庭ジャンクションを起点とする道東道の開通は1995年、「飛び地」の十勝清水IC―池田ICから始まった。
当初は交通量が少なく、道路公団改革の論議で道東道はやり玉に挙げられたが、2011年に札幌と帯広が直結すると利用も増加した。高速道路はつながってこそ、本来の機能を発揮することを示していよう。
だが札幌から函館、北見へはまだ届いていない。函館へのルートでは、道内最長の自動車トンネルとなるオオヌマトンネル(仮称、7キロ)の工事が30年代後半までかかる見通しだ。
全国高速道路建設協議会によると、24年3月末時点の高速道路整備率は全国の86.9%に対して北海道は65.7%にとどまる。高速道路は救急医療にも欠かせぬインフラだ。必要な道路は着実に整備すべきである。
マイカーや高速バスと競合するJR北海道は、来年3月のダイヤ改正で一部特急の所要時間を短縮し、利用者増を狙う。
高速道路の利便性は整備が進むにつれて一層高まろう。国と道は、道路と鉄路それぞれの特性を生かした総合的な交通体系を考えていく必要がある。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月22日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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