【社説・11.12】:第2次石破内閣発足 成果なければ先はない
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.12】:第2次石破内閣発足 成果なければ先はない
少数与党下の特別国会で、自民党の石破茂総裁が30年ぶりの決選投票の末、首相に再選出された。石破首相は直ちに組閣に踏み切り、第2次内閣をスタートさせた。
衆院本会議での首相指名選挙は、1回目で誰も過半数に届かず、自民、公明党が推す石破氏と立憲民主党の野田佳彦代表の上位2人による決選投票にもつれ込んだ。事前に予測された通りの展開である。
決選投票の結果は、石破氏221票、野田氏160票。造反組の出現も見られず、ここでも政権の思惑通りの決着となった。
仮に野党がまとまって野田氏に投票していれば、「数の力」で政権交代につなげることは可能だった。
しかし日本維新の会は馬場伸幸代表、国民民主党は玉木雄一郎代表に投票することを決めており、共産党を除く野党6党派が、代表らの名を書いたため計84票が無効票となった。
結果を見れば、野党の無効票は、立民を中心とした野党連立政権ではなく、自公連立政権の継続を選択したことになる。
それにしても84票という無効票の多さには疑問が湧く。1回目と違い、決選投票は上位2人から選ぶというルールである。
衆院選での議席減から代表選に立候補しないことを表明している馬場氏、不倫報道を認め謝罪したばかりの玉木氏。どちらにもくみしない姿勢を貫くのであれば、白票を投じるか、棄権するという道もあったのに、なぜ一度蹴られた名前を書いたのか。
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衆院選で自公の連立与党は大敗を喫した。自民党の派閥裏金事件への怒りが有権者を動かし、政権へ不信任を突き付けたのだ。
衆院選後、共同通信が実施した世論調査で、自公政権の継続を望まないとの回答が53%と半数を超えた。
ところが立民の野田氏は決選投票で自身への投票を他党に呼びかけたものの一部を除いて応じてもらえなかった。
一方、与党は過半数割れしたにもかかわらず、国民との「部分連合」に乗りだし、政権を継続させることに成功した。
国民が野党でも与党でもない、その中間の「ゆ党」のスタンスを取り続ければ、連立政権の可能性はますます遠のく。
どのような条件が整えば野党連立政権ができるのか。野党はこの問いに正面から向き合い、有権者に考え方を示すべきだ。
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国会召集に先立ち首相は立民、国民の党首と会談した。俎上(そじょう)にのるのは政治資金規正法の再改正。企業・団体献金の禁止も含め協議を深めるべきだ。
少数与党下の国会で欠かせないのは、野党との協調である。与野党伯仲の緊張感は、国会を活性化させ、民意を反映させる、またとないチャンスでもある。
もし仮に野党が一致して石破政権の不信任案を提出すれば成立する可能性がある。首相はそのことを片時も忘れず、合意形成に努力し、新しい政治を根付かせなければならない。
元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月12日 04:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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